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国立科学博物館でマンガ⁉︎「学習マンガのひみつ」に迫る企画展をチェック【Steenz Breaking News】

国立科学博物館でマンガ⁉︎「学習マンガのひみつ」に迫る企画展をチェック【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は国立科学博物館にて行われる企画展「学習マンガのひみつ」についてご紹介します。

「学習マンガ」というジャンル

日本語だけでなくさまざまな言語に翻訳され、今や日本の文化として、世界中に広がりを見せているマンガ。中でも、近年注目されているのが「学習マンガ」というジャンルです。『日本の歴史』や『○○のひみつ』といったハードカバーのマンガのことで、図書館や児童書のコーナーで見かけたことがある方、幼い頃に愛読していた方も多いはず。

広く親しまれている学習マンガですが、全体を俯瞰するような展示や書籍がなく、実は「見えないマンガ」とも呼ばれているのだそう。そんな学習マンガの世界を紐解く異色の企画展「学習マンガのひみつ」が、東京・上野の国立科学博物館(以下、「かはく」)にて、2025年11月9日(日)までおこなわれています。

学習マンガの誕生と発展

企画展「学習マンガのひみつ」では、内容や表現方法の歴史的な変遷に注目し、学習マンガの誕生から紐解いていきます。

最初に学習マンガが世の中に登場するのは第二次世界大戦中のこと。マンガは誕生していましたが、娯楽性の高い荒唐無稽な内容が多かったのだそうです。しかし、それでは科学教育を受けた人材が育たないとして、科学的な根拠のあるマンガが子ども向け新聞に掲載されるようになりました。

この頃の新聞や単行本も展示されていますが、単調なコマ割りで淡々と説明していくのが印象的です。

戦後も学習マンガの出版は続いていましたが、あくまでも主力は娯楽マンガ。学習マンガは、その脇でひっそりと並べられる存在でした。とはいえ1960年代には、娯楽マンガは「悪書」とされ、なんと集められ燃やされたこともあったのだそう。作り手たちはそんな中でも、マンガが果たせる役割は?と考え続けます。そこで誕生したのが、『日本の歴史』や『○○のひみつ』といった学習マンガでした。

80年代には、大人向けの学習マンガが赤塚不二夫や石ノ森章太郎などの人気マンガ家によって描かれ、ベストセラーになりました。マンガによって、歴史や科学などの内容がわかりやすく解説されるため、この辺りから、大人もマンガで勉強することが一般化していきます。ずらりと並ぶ展示マンガは壮観です。きっとこの辺りのラインナップは、読んだことがある方も多いはず。両親や祖父母など、年齢の離れた方と行ってみるのも楽しそうです。

学習マンガの未来

監修者のひとり、京都精華大学国際マンガ研究センター特任教授 伊藤 遊氏

学習マンガ界の2000年以降の大きなトピックは、エンタメ性を打ち出した韓国発の学習マンガシリーズが大ヒットしたことなのだそう。というのも、学習するためのマンガという制約を自ら課し、娯楽性を打ち出さないよう、淡々とした流れのものが作られがちだったのです。しかし、学習マンガにも、従来のマンガの表現である「見せゴマ」や、見開きで大きく描く表現などを使っていいんだ、という考えが広まってきたことで、より幅広い表現の学習マンガが作られるようになりました。


さらに最近では、一般のマンガでも体内の細胞を擬人化しその働きが学習できたり、科学技術を失った世界で主人公が一から科学文明を作り上げていくマンガが大ヒットしています。学習マンガとして作られてはいませんが、学習もできるマンガが熱烈な支持を受けるようになったのです。

学習マンガが果たす役割とは

近年では、企業や国、自治体もマンガによって広報をおこなうことが一般化。展示も、かはく内が舞台になっているマンガの紹介で締めくくられています。伝える手段として、マンガの役割が広がっていっていることがよくわかる展示でした。展示されているマンガは手に取ることはできませんが、一部は開いた状態で展示されており、紙や線の描かれ方、セリフなどが時代と共に変化していく様子を見ることができます。ぜひ、描かれ方の変遷に注目してみてくださいね。

[開催情報]

国立科学博物館 企画展「学習マンガのひみつ」
https://www.kahaku.go.jp/event/2025/10gakushuumanga/
開催場所:国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階 企画展示室及び中央ホール
開催期間:2025(令和7)年10月10日(金)~11月9日(日)
開館時間:9時~17時 ※入館は閉館時刻の30分前まで
休館日:月曜日、11月4日(火)※11月3日(月)は開館
入館料:一般・大学生630円、高校生以下および65歳以上:無料

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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