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服の思い出やメッセージも循環させる 。新しいカタチの衣類回収「Community Loops」をご紹介【Steenz Breaking News】

服の思い出やメッセージも循環させる 。新しいカタチの衣類回収「Community Loops」をご紹介【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、衣類回収プロジェクト「Community Loops」についてご紹介します。

近年身近になりつつある衣類回収

日本では、年間約67万トンの不要な衣類が家庭から排出されているそうです。そのうちの3割が資源として回収され、リユースやリサイクルされていますが、依然、7割が可燃・不燃廃棄物としてゴミになっています。

そんな状況を打破しようと、新しいプロジェクト「Community Loops(コミュニティ ループス)」が始動しました。地域内で資源が循環するモデルを構築するという、このプロジェクトの内容を見ていきましょう。

服がめぐり人がつながっていくプロジェクト「Community Loops」

「Community Loop」は、サーキュラーエコノミーの社会実装を目指すソーシャルベンチャー「合同会社CYKLUS」と、Webメディア事業やサステナビリティ支援事業を展開する「ハーチ株式会社」の共同プロジェクトです。

プロジェクトの背景にあるのは、政府が打ち出している2030年度までに家庭から廃棄される衣類の量を、2020年度比で25%削減する、という目標です。「Community Loops」がおこなうのは、一過性の衣類回収だけではありません。衣類廃棄の削減目標を達成するために、市民や大学、企業、自治体が連携して、地域内で資源を循環させるモデルの社会実装を目指しているのだそうです。


2025年9月〜11月の期間に実施されるこのプロジェクト。国際基督教大学三鷹キャンパスや関西学院大学では、衣類回収ボックスが置かれ、回収が始まっています。大学や地域のコミュニティスペースに衣類回収ボックスを設置するまでは、従来の衣類回収の形と変わりませんが、回収した衣類は、就労継続支援B型事業所もしくは各大学内などで仕分けられ、必要があればリペアなどがおこなわれます。

さらに、NFCタグ(近距離無線通信技術)を活用し、服の回収場所や分別場所、リペアの記録、元の持ち主の思い出などのストーリーを記録することで、回収した衣類は「一点モノ」に。衣類への愛着が生まれ、従来の衣類回収の課題でもあった、改修後の行き先に関する透明性も確保されるのだそう。

 

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すでに、9月12日にキックオフイベントとして、横浜で洋服交換会が行われました。こちらでは、服を単純に交換するだけでなく、なぜ手放すことになったのかというストーリーまでシェアされました。服を交換というより受け継ぐと言った方がしっくりくるかもしれません。また、服のリメイクの方法やブランドのよもやま話がシェアされるなど、楽しみながら服の循環について学び深められる会になったのだそう。

こうした各大学や地域コミュニティ内での、リペアやアップサイクルの体験ワークショップ、古着の販売会などを通して、コミュニティの内部で衣類を循環させることを促進。衣類だけでなく、人と地域がつながって巡り、多様な循環が生み出されていく予定です。

「服の寿命を延ばす」という視点

実は、今、持っている服を1年長く着るだけで日本全体で約3万トンもの廃棄量が削減できるのだそう。不要になった衣類を回収ボックスに入れて終わりにするだけでなく、服を受け継いだり、リペアする方法を模索したりしていく「Community Loops」の取り組みは、服の寿命をポジティブに伸ばしていくに違いありません。

Reference:
Community Loops
SUSTAINABLE FASHION
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「2024年版 衣類のマテリアルフロー」

Text:Itsuki Tanaka

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Itsuki Tanaka

ライター

フリーランスのライター。食、農、環境領域 /博物館好き/コーヒー、アイス、チョコも好き。

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