
「気になる10代名鑑」の1114人目は、井上ららさん(19)。同世代の複雑な心境を音楽にのせて表現するシンガーソングライターです。将来は、オランダを訪れて発想にいたったという、地域のコミュニティとしてのミュージックカフェを経営したいという井上さんに、音楽活動のきっかけや活動での印象的な出来事を聞いてみました。
井上ららを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「いまは、 『Lunaheart』というアーティスト名でソロ活動をしていて、自分で作詞作曲した曲を演奏しています。
直近では、高円寺のライブハウスでのライブや、月1回開かれる大学内での定期ライブに参加しました。
他にも、一昨年リリースしたアルバムをSpotifyやApple Musicに配信したり、YouTube や Instagramを活用して音楽活動の発信をしたりしています。
わたしは、失敗したときや落ち込んだときに、自分への前向きなアドバイスをあげるために曲を作っていて。でも、それが巡り巡って誰かの支えになればいいなと思って、活動しています」
この投稿をInstagramで見る
Q2. どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「いつも、『MY TiME LiNE』をテーマに活動しています。
これは、中学生から高校生の間に作った曲をすべて入れたアルバムのタイトルで。当時はテーマを決めずに作曲していたのですが、録音した曲を並べて聴いてみると、自分の音楽のスタイルや歌い方、歌詞の意味にちょっとずつ変化があり、成長を感じて。そんなわたしならではのタイムラインを曲を通じて伝えていけたらいいなと思って、このテーマに落ち着きました。
最近だと、『I wanna be a kid again』という曲を作りました。大学入学と同時に上京してきたのですが、長野の実家に帰省したときに『なんだか実家に自分がハマらないな』という感覚を覚えて。
居場所がないと寂しさも覚えたのですが、ある意味自分の成長を感じる瞬間でもありました。でも小さいときの写真を見て『子どもに戻りたい』とも感じたんです。この曲では、そんな心境を表現しました」
Q3. 活動を始めたきっかけは?
「作詞作曲を始めたのは、両親の影響でした。
小学4年生の頃、父の影響でギターレッスンに通うようになって。ギターの発表会では、もともと目立ちたがり屋な性格だったこともあり、誰かの曲をカバーしたり同じ曲を演奏したりすることに納得がいっていなくて。母から『発表するなら自分で曲作れたらかっこいいね』と言われて、『これだ!』と思いましたね(笑)。
ひたすら頭に浮かんだ言葉を並べてメロディーを考えて。自分は歌うのが好きなんだなと感じた瞬間でした。そこから作詞作曲が趣味となり、いまでは自分に欠かせない一部になったように感じています。
音楽を作るとき、最初はランダムでギターをいじっているのですが、『あっ、このコードすごくいい!』と感じる瞬間があって。その瞬間を発見できることが、自分にとってのしあわせですね。それが、曲づくりのモチベになっています」

Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「小学6年生の頃、自分が全校集会で歌っている夢を見て。朝目が覚めて『どうしてもやりたい!』と思い、その次の日音楽の先生のところへ相談に行ったんです。
でも、そのとき母に『生半可な覚悟でやるのはよくない』と大反対されました。母の前で即興で歌って、やっと発表を許可してくれて(笑)。数週間はいっしょに猛特訓しました。
その数週間後に、オリジナル曲2曲を全校集会で演奏したら、いろんな人が話しかけてくれて。音楽のすごさに気づいた出来事でした」
Q5. 将来の展望は?
「ミュージックカフェを経営することです。絵や物づくりなど好きなことを訪れてくれた人たちと共有できる場所にしたくて。
オランダで友人に会ったときに、彼らがやっていた老人のための空間がすごく素敵だったんです。コーヒーやスイーツを用意し、みんなで座ってゆったりと音楽を聴きながら周りの人たちと会話をする。そういう地域のコミュニティになれる場所を作りたいです。
そのために、どこかを貸し切って、音楽ライブとミニカフェを兼ねた1日限りのお店をやってみたいと思っています。アーティストとたくさんコラボをすることも、直近の目標です。
あと最近は、『Adolescence』をテーマにしたアルバム作成に力を入れていて。
わたしたち今年20歳になる代は、世間からは大人として見られるようになる中で、まだ子どもでいたい気持ちもあるという複雑な心境を表現していて。グレーで表現した大人の世界と、子どもらしいピンクを基調にしたジャケットになる予定です」

井上ららのプロフィール
年齢:19歳
出身地:長野県御代田町
所属:国際基督教大学、軽音、ゴスペル、キャンプ、ICU FRIENDS
趣味:絵を描くこと
大切にしている言葉: “In the little things, always”
井上ららのSNS
この投稿をInstagramで見る
★YouTube
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa






