
「気になる10代名鑑」の1100人目は、中原さん(17)。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のボランティアとして、アフガニスタンで活動するなど、たくさんのボランティアに取り組んでいます。アフガニスタンの経験から、言語の壁を越えた信頼関係を築きたいと話す中原さんに、アフガニスタンでの出会いや将来の展望について聞いてみました。
中原を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアフガニスタン派遣ボランティアや国内の災害支援ボランティアなど、さまざまな地域や環境でボランティアをしてきました。
国内の災害支援ボランティアでは、地域行事の運営補助をおこなって。アフガニスタンでは、地震発生後の支援や難民キャンプでの生活環境の整備や食糧配布に携わりました。
アフガニスタンは、自分にとって初海外、そして初被災地で。背の高い5階建てのビルが完全倒壊している様子などを目の当たりにし、『はじめて触れる壊れてしまった異文化』に衝撃を受けましたね。地震発生前は、ここにどんな文化があったんだろう。そんな想像をしながら、活動をしていました」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「街頭で聞いたUNHCRの演説が最初のきっかけでした。
そもそもUNHCRが何をしている団体なのかすら知らず、好奇心から立ち止まって聞いていたんです。『知ることが喜び』だと感じる自分は、演説を通して『UNHCRの説明』や『災害現場で求められている支援』などを知って、自分も社会の一員として行動したいと考えるようになったんです。それで、UNHCRの会議やアフガニスタン派遣に参加することに決めました」
Q3. 活動をする中でつらかったことは?
「言語の違いから、自分の気持ちを伝えられなかったことですね。
通訳を通して現地の人と話すのは、やっぱり壁を感じて。そこに、支援物資や教育環境が限られる状況で、思うように手助けできないもどかしさも重なって、大変でした。
例えば、支援物資は目の前にあっても、何がいくつ必要かを聞いて、きちんと確認を取ってから渡すという支援の決まりがあって。だから、現地の人が『これをくれ』と伝えてくれても、すぐに渡すことはできないんです。それがどれを指すのかもわからないし、そんな決まりがあることを伝えることもできなくて……。どうすればよかったのか、とても悩みました。
でも、活動中に現地の人たちと礼拝に参加したことがあって。その後から、現地の人たちが『わたしたちの文化を尊重してくれてありがとう』と言ってくれ、とてもフレンドリーに接することができるようになりました」
Q4. 活動する中で、印象的だった出会いは?
「難民キャンプでの迷子の子どもとの出会いです。
迷子になってしまった子どもがいて、活動中ずっといっしょにサッカーをして遊びながら、見守りをしていました。サッカーなら、言葉が通じなくてもボールさえあればいっしょに楽しめるので。
そうしたら、活動最終日にそのご家族がお礼としてお家に呼んでくれて、アフガニスタンの家庭料理を振る舞ってくれたんです。信頼関係ができるって、こういうことなんだなと実感した思い出です」
Q5. 将来の展望は?
「将来は、人と関わる力を武器に、広告代理店の営業として働きたいと思っています。
実は、営業マンである父の背中をずっと見て育ってきて。広告って、ただ売ることだけじゃなくて、多くの人に商品を知ってもらうことが目的なんです。その『知らなかったことを知る』という喜びを多くの人に知ってもらいたいという思いがあります。
ボランティア活動を通して実現させたいのは、支援を受ける人と支援者が対等に関わり合える社会です。支援者が、ある種依存させる存在になってしまったら、支援を受ける人たちは自分たちで生活を再建していくことができなくなってしまうと、よく考えていて。だから、現場の人たちの意見や文化を尊重しながら、支援ではなく協力体制を築けていけたらと思います」
中原のプロフィール
年齢:17歳
出身地:神奈川県横浜市保土ヶ谷区
所属:日本航空高等学校、トライ横浜キャンパス、ボランティア部
趣味:キャンプ、スキー、アウトドアゲーム、ゲーム、読書、カフェ
特技:スキー
大切にしている言葉:What is the best way!! What is 自分
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa