
「気になる10代名鑑」1102人目は、北川颯姫さん(18)。学校行事の照明担当をきっかけに、照明演出にのめりこむ高校生です。インプットとしてさまざまな舞台を観に行った結果、「演出はあくまで演出」と結論づけた北川さんに、活動のきっかけと将来の展望を聞きました。
北川颯姫を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「創作ダンスや演劇などの、照明をつかった演出です。
わたしが通っている高校には、全国でおそらく唯一の、学校のホールでの照明と音響操作を担当する活動があって。そこで、照明の仕込みからオペレーションまでひとりで担っています」
Q2. 活動を始めたきっかけは?
「高校1年生のときに、新入生歓迎でのステージを見たことがきっかけです。
もともと、入学前から照明スタッフに興味があって。実際のステージを見て、音響に合わせて臨場感ある照明の演出に魅せられたんです。特に、客席通路にある間接照明まで、細かく演出されていたのは、とても感動しましたね。ステージ上のパフォーマンスを見ながらも、照明がずっと気になって見ていたのを覚えています。
あとは、これは漠然とではありますが、小さい頃からやっていた一輪車の舞台に出たときにも、『照明かっこいいな』と思ったことを記憶しています」
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Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?
「照明のことを何も知らなかったため、まずは『百聞は一見に如かず』と思い、演劇やミュージカルなどいろんな舞台を観に行きました。
いちばん最初に観に行ったのは、シェイクスピアの演劇でした。たくさん役がある脚本を3人の役者で演じるという舞台だったのですが、さまざまな方向から光を点滅させながら当てることで雷を表現していたシーンが印象的でしたね。
また、高校の修学旅行で宝塚の舞台を観に行ったときも勉強になって。常に役者に光が当たっていたのですが、それは宝塚が役者目当てで来る観客も多く、常に役者の顔を見れるようにするための工夫なのだと感じました。舞台によって、照明の演出の違いがあるのが面白いです」
Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「公演ごとに、演者や監督に舞台のイメージを照明に落とし込むことです。練習の間にそのイメージが頻繁に変わって、対応していると本当に時間が足りなくて。
でも、舞台を観に行くと『照明で魅せる舞台』に出くわすこともあるのですが、そういう舞台は、照明しか記憶に残らないんです。わたしがいいと感じた舞台は、特出した演出だったわけではなくて、ひとつの作品としてまとまりがあった作品だなと気づいて。
だから、『演出はあくまで演出』『その場で物語を作り出している人たちが、本質なんだ』ということは忘れずにいます。大変だけど、そうやって悩んでいる時間も、結局は楽しいなと感じています」
Q5. 将来の展望は?
「照明の演出は、あらゆる技術を取り入れて変化しつつあると感じています。なので、将来は大学に進学し、プログラミングや、3Dモデルや映像、情報技術を勉強して、そうやって技術の変化に追いつきながら、照明を続けたいです。この世界で生き残っていくために、わたしにしかできない新しいスタイルを追求していきたいですね。
いま、照明のイメージをすり合わせるときに使っていたアナログのシートを、プログラミングでデジタル化することに取り組んでいて。
アナログでは、色の雰囲気がはっきりしなかったり、舞台上に吊るサスや手動で動かすピンスポットライトなどの照明機材の位置が曖昧だったりして……。でも、デジタルに起こすことで、もっと汎用的になると思っています。いずれは、全国のホールで使えるようなものにしていけたらいいなと思って、少しずつ改良を加えている最中です」
北川颯姫のプロフィール
年齢:18歳
出身地:神奈川県
所属:神奈川総合高等学校舞台芸術科、ホールスタッフ、デザイン部
趣味:舞台の照明を見ること
特技:一輪車(世界大会出場)
大切にしている言葉:人生なんて一度きりだし、自分自身の気の向くままに
北川颯姫のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa