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支援が、日常の選択肢になるように。マラウイの現状についてコーヒーを軸に出張授業を展開【みゆか・18歳】

支援が、日常の選択肢になるように。マラウイの現状についてコーヒーを軸に出張授業を展開【みゆか・18歳】

「気になる10代名鑑」の1080人目は、みゆかさん(18)。マラウイの子どもたちへ学校給食を支援する団体に所属し、都内の中学校での出張授業やコーヒー販売をおこなっています。マラウイの貧困問題を自分ごととして捉え、学びの連鎖が自然と生まれることで、貧困への支援が日常となる社会に目指したいと語るみゆかさんに、活動を通して印象に残っている出来事や将来の展望を聞いてみました。

みゆかを知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

アフリカ・マラウイ共和国に住んでいる子どもたちに給食の支援をする団体『NPO法人せいぼ』に所属して、教育担当として活動しています。

これまで、渋谷区の中学校で出張授業をおこなってきました。SDGsの視点から『マラウイの課題を渋谷から解決しよう』というテーマだったのですが、貧困や児童労働をただ説明するのではなく、現地のインタビュー動画を見せたり、クイズ形式にしたりすることで、興味をもってもらえるような問いかけを意識しました。

母校である光塩女子学園で授業をした際は、生徒からも『現地でコーヒーを生産している方の声を直接聞いてみたい』『給食と登校率にどんな関係があるの?』と想像もしなかった意見が飛び出すこともあって。授業がそのまま、生徒たちの探究活動へ発展していく実感があります。

ほかにも、文化祭や販売イベントでは、マラウイ産コーヒーのブースを出展し、活動を紹介する広報活動もしています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

高校1年生の終わりに、国際NPO法人の活動を体験する特別講座に出席したことがきっかけです。校内の授業で、学校外の団体から国際支援を学べる機会が初めてで、直感的に楽しそうと感じました。

もともと小さいころから、海洋生物や環境問題に興味があったのですが、国際的に起きている社会課題にどう関わっていけばいいのか模索していた時期でもあって……。それまでは、貧困支援といえば募金くらいしか思いつきませんでしたが、マラウイ産のコーヒーや紅茶を販売し、その売上を給食費に充てるという仕組みを授業を通して知りました。

商品を購入してもらうことが、子どもたちの食事につながるという新しい支援のかたちに衝撃を受け、この活動に参加しはじめたんです」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

「高校時代の親睦会で、マラウイ産のコーヒーを販売したことがとても印象に残っています。

準備の段階からどうすればマラウイについて知ってもらえるかをみんなで考えて。ポスターを作成したり、クイズを教室に設置したりと、工夫を重ねたおかげで、多くの保護者や生徒が立ち寄ってくれて……。

特にコーヒー販売では、20万円を超える売り上げを達成することができたんです。これは、マラウイの給食1万3千食分に相当し、数字として支援の成果が見えて、少しでも力になれていると実感することができました。

身近な学校や文化祭でのアクションが、遠い国の子どもたちの笑顔に直結する。この経験から、伝える側であり続けたいと思い、現在も活動を続けています」

Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?

わたしが描くビジョンは、支援が日常の選択肢になる社会です。

募金やニュースで知るだけではなく、コーヒーを飲む、授業で学ぶ、友達に話す。そんな日常の行動の中で自然に国際支援に関われる環境を広げたいと思っています。だからこそ出張授業では、生徒が『自分も関わってみたい』と思えるような工夫を特に意識しています。

知識が家庭や友人に広がり、学びの連鎖が社会に浸透していくことで、遠い国の子どもたちの笑顔と日本の子どもたちの探究心が同時に育まれていく社会を目指したいです」

Q5. 将来の展望は?

大学では海や海洋生物の研究を続け、NPO法人『せいぼ』での教育活動を取り組み続けていきたいです。

まだ将来の職業は決まっていませんが、好きな学びを追い続けること、人に伝える力を磨くことは両立させたいと思っています。

とくに、マラウイ現地の情報が限られていても、イラストやストーリーを工夫してわかりやすく伝えることは、自分の強みとして伸ばしていきたい部分です。授業の中で『もっと知りたい』『やってみたい』と思ってもらえる仕掛けを増やしながら、自分の専門や興味を教育や社会活動に結びつけていける道を探していきたいと考えています」

みゆかのプロフィール

年齢:18歳
出身地:東京都国分寺市
所属:東京海洋大学、NPO法人せいぼ
趣味:ダイビング

みゆかのSNS

★Instagram

Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

ライター兼ディレクターとして、東京と静岡県・東伊豆町の二拠点で活動中。インタビュー記事を中心に、学生、スタートアップ、まちづくりの現場まで、取材・執筆・編集・企画運営まで一気通貫で手がけています。“今”を懸命に生きる若者を応援したいという想いから、2024年より10代のリアルな声を伝えるメディア「Steenz」に参画。

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