
「気になる10代名鑑」の1084人目は、澤田実咲さん(19)。アフリカ・マラウイへの支援をおこなう、NPO法人せいぼじゃぱんで広報インターンとして活動しています。小学生の頃住んでいたアメリカと日本とのチャリティの捉え方の違いから、活動を始めた澤田さんに、大切にしていることやチャリティ文化に対するヴィジョンについて聞いてみました。
澤田実咲を知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「アフリカ・マラウイで学校給食を支援している団体『NPO法人せいぼじゃぱん』で大学生スタッフとして広報の活動をしています。
せいぼじゃぱんでは、現地産のコーヒーや紅茶の売上を、現地の学校給食に還元していて。
わたしはInstagramやホームページを通じて、その魅力や現地の子どもたちの声を発信しています。支援を受ける前はお腹が空いて学校に通えなかった子どもたちが、給食をきっかけに学びの場へ踏み出せるようになっていく姿にとても嬉しくなります」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「小学生の頃に住んでいたアメリカと、帰国して知った日本のチャリティ文化の違いに驚いたことがきっかけです。
アメリカの生活では、キリスト教の他者を思いやる精神が浸透しているからか、文房具の寄付やチャリティマラソン、レモネードスタンドなど、子どもでも気軽にチャリティに挑戦できる社会が身近だったんです。ところが日本に帰国すると『寄付は大人がやるもの』という雰囲気をひしひしと感じて……。こんなに文化が違うんだって感じさせられました。
そこで、高校生のときに日本にいてもできる活動を探す中で、せいぼじゃぱんのことを知って。『わたしが探していたのはここだ!』って、飛び込んでみたんです」
Q3.活動で大切にしていることは?
「自分の思いだけでなく、相手がどう思うかを意識して行動する、利他的精神を持つことを大切にしています。
日頃のひと付き合いでもそうですし、せいぼじゃぱんでの広報活動でもこの考え方を強く意識していて。チャリティ活動に多くの人が関わってくれるようにするため、自分と異なる価値観を持つひとの視点から考えてみているんです。広報用の投稿をつくるときも、『子どもたちが困っているから助けてください』と同情を引き出すように訴えるのではなくて、『現地の人たちがどんな思いで活動しているのか』に焦点をあてていて。
きっと、その思いに共感してくれる人が定期購買者や寄付者になってくださるはず。そう信じて、共感をベースに支援を広げようとしています」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「日本人にとってのチャリティを、身近で自然な存在として社会に根付かせていきたいです。
いま、多くの国際支援はあえて極端な例を取り上げて、感情に訴えかけるようなコンテンツを使って寄付を募っていて。けれど、同情に基づく寄付ではなかなか支援が持続しないですよね。
だからこそ、ただ寄付を募るのではなく、団体の理念やかかわるひとの思いを丁寧にストーリーにして、支援してくれる方との長期的な関係づくりをしているところです。
共感をそうやって積み重ねていくことで、チャリティを特別な行為ではなく、日常の延長にある体験にできたらいいですね」
Q5.将来の展望は?
「引き続き、日本のチャリティ文化に対する障壁を下げていきたいです。
日本ではまだまだこうした活動は、一部の人の特別な行動であるようにみなされがちですが、本来はもっと気軽に関われるものだと思っていて。自分がそうだったように、見える世界を広げるためにもチャリティってすごく効果的ですし。チャリティを他者への支援にとどめず、自分を成長させる機会として、誰でも気軽にチャリティに参加できるような雰囲気をつくっていきたいんです。
そのために、せいぼじゃぱんの活動をもっと多くの人に知ってもらえるよう、SNS発信やデザインを工夫したり、イベントを企画したりしたいと思っています。ゆくゆくは、マラウイに渡航し、現地の人たちと直接交流しながら理解を深めることもしてみたいです」
澤田実咲のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:立教大学GLAP、NPO法人せいぼじゃぱん
趣味:旅行、温泉巡り
特技:ピアノ、フィギュアスケート、習字
大切にしている言葉:「目には目を」では、世界が盲目になる “An eye for an eye makes the whole world blind”(ガンジーの言葉)
澤田実咲のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami