Teen's Snapshots

腰痛を当たり前としない世界へ。関西万博で発表した「1時間後に立ち上がれる椅子」の開発に挑戦中の高校生【森暖花・16歳】

腰痛を当たり前としない世界へ。関西万博で発表した「1時間後に立ち上がれる椅子」の開発に挑戦中の高校生【森暖花・16歳】

「気になる10代名鑑」の1090人目は、森暖花さん(16)。腰痛のない命輝く未来をビジョンに掲げ、腰痛の予防や改善に向けた椅子を開発しています。腰痛を当たり前としない世界を作りたいと語る森暖花さんに、具体的な活動をはじめ、開発を始めたきっかけや描く将来像について伺いました。

森暖花を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

腰痛の予防や改善を目的とした椅子『かたむとん』を開発しています。

いまは企業といっしょに実証実験を繰り返しながら、フィードバックを受け、改良を重ねているところです。

かたむとんは、1時間座ると座面が20度ほど傾き、自然に立ち上がることを促す仕組みになっています。長時間座り続けるデスクワーカーに向けたアイデアで、最近はコールセンターなどで試験的に導入しているところです。実際に『腰が楽になった』というお声もいただき、製品化できるよう日々試作に励んでいます。

また、少しでも腰痛で苦しむ人が減るように、SNSで腰痛の知識や危険性を発信しています」

Q2. この活動をはじめたきっかけは?

テスト期間中に、自分自身が腰痛に悩んだことがきっかけです。

わたしは、食事の時間も忘れて、5〜6時間ずっと座りっぱなしで勉強しているような学生でした。気がついたら、立ち上がった瞬間に、足や腰が痺れるような痛みを感じたことがあったんです。そこから、集中力も一気に途切れてしまって。

自分自身の腰痛がどうして起こるんだろう。そして、腰痛で苦しむ人が少しでも減る社会になるにはどうしたらいいのだろう。そう考えていたときに、ちょうど『命学生イノベータープログラム』で、立ったり歩いたりすることが難しくなる状態を意味する『ロコモティブシンドローム』をテーマに活動できる機会を見つけたんです。

もしかしたら、腰痛を予防するきっかけに繋がるかもしれないと、思い切って挑戦してみました。それが原点となり、現在の椅子開発に結びついています」

Q3. 活動にあたってのファーストアクションは?

まずは現状を知るためにアンケートを実施しました。

デスクワークの会社員50人、街頭インタビュー20人、学校の先生や生徒などあわせて、約500人にアンケートへ協力してもらって。その結果、年齢に関係なく、多くの人が長時間座ることで腰痛を感じたことがあると答えてくれたんです。

ほかにも、同時に整形外科の先生にもメールで相談し、腰痛は当たり前のことじゃなく、きちんと予防できるものだということを学びました。こうした声を、現在いっしょに活動している株式会社ニューネクストさんに共有しながら、試作品を改良に向けて、いっしょに考えています」

Q4. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

いちばん大きかったのは、大阪関西万博で発表できたことです。

全国から集まった学生の中で、現在も活動を続けているチームとして選出していただき、1年間の取り組みを伝えました。大きなステージで話すのは緊張しましたが、『当たって砕けろ』の精神でやりきった経験は、大きな自信になりました。

また、コールセンターに試作品を持ち込んで使ってもらったときには、使っていたら自然に立てて、腰が楽になったと直接言ってもらえたことも嬉しかったです。行動すれば応援してくれる人に出会えるのだと、実感できた出来事でした」

Q5. 将来の展望は?

わたしが掲げているのは、腰痛のない命輝く未来です。

日本人の3人に1人が腰痛を経験しているといわれますが、それを当たり前にしない世界をつくりたいと思っています。腰痛が減れば、個人の生活の質も、国の医療費も改善できると考えています。

将来は、学生のうちに得た経験を活かして、医療の分野で活躍したいです。子どもが好きなこともあって、小児科など子どもに関わる現場で、命と未来を守れる人になりたいと思っています。勉強との両立は大変ですが、この活動を広めつつ、社会実装に向けて挑戦を続けていきたいです」

森暖花のプロフィール

年齢:16歳
出身地:大阪府吹田市
所属:関西大倉高等学校、株式会社ニューネクスト
趣味:映画鑑賞、野球観戦
特技:初対面の人とすぐ仲良くなること
大切にしている言葉:努力に勝る天才無し。努力できることが才能

Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

10代名鑑ディレクター兼ライターとして、2024年1月にSteenzへjoin。東京と伊豆の二拠点で活動中。インタビューを中心とした記事をはじめ、学生、スタートアップ企業、まちづくりの現場まで多方面で活躍。

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