
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、進路。進学や就職などの将来について、ティーンは親とどのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか。「話すタイミングが分からない」「理解してもらえないかも」という不安を抱える人もいれば、自然体で日常的に話せる人もいるようです。ティーンたちのリアルな本音や親に伝えるときの工夫を聞いてみました。
1. 外所もみじさん「反対されても、情熱が伝われば協力者になってくれる」

起立 起立性調整障害や不登校といった自身の経験を原点に、子どもたちが安心して学べる環境づくり目指して活動している17歳。
「進路については、完全に一任してもらっています。
やりたいことは、素直に言うようにしているのですが、両親はとても協力的で、悩んでいるときの救世主でもあります。本当にやりたいことがあれば、最初は反対されていてもいつかは分かってくれるのではないかと。
実際、学校に行かないという選択をしたときは猛反対されました。ですが、しっかりと対話をし、やりたいことへの情熱が伝われば、両親も協力してくれるということを経験から感じています」
2. 荒井あずささん「父には絵、母には勉強。ジャンルを分けて相談」

体のパーツを誇張したビビットなデザイン画を描き、3月に開催予定の個展に向けて準備に励んでいる17歳。
「幼い頃から絵の制作活動については応援してもらっていて、進路についてもよく両親と話しています。
お父さんには絵のことを、お母さんからは勉強のことを相談することが多いです。両親は、それぞれ悩みのジャンルに分けて、アドバイスをくれています。
なかなか両親に進路のことを話せずひとりで抱え込んじゃう人もいると思うけど、無理に正面から話そうとしなくてもいいと思っていて。むしろ、自分の進路と関係ない人に話してみることで、意外と新しい視点をもらえたり、自分の考えもリフレッシュできたりします。
まず、誰かに話すということとが、すごくいい経験になるんじゃないかなと思っています」
3. えあーどうがさん「反対されたら、覚悟と熱意を見せる」

劇場で自分の映画を上映することを目標に、YouTubeで動画投稿している18歳。
「正直、進路についての話題に触れたくないというのが本音です。
でも、自分が興味あることや、得意なことがあるのなら、それに向けて、全力で挑戦したほうがいいんじゃないかと思っています。実際に、自分自身もちゃんとした進路を歩めているのかわからなくなるときもあります。
もし、進路を反対されたときには、自分の考えを具体的に説明することが大切じゃないかなと。一度、冷静に話し合いをし、覚悟と熱意を伝えてみることが必要だと思っています」
4. 夏椰人さん「日常の延長で、自然に進路の話をする」

人気急上昇中の「モルック」というスポーツを広めるべく、学内で同好会を立ち上げた18歳。
「両親とは、進路の話を日常的にしています。
話を切り出すのは自分からが7割、両親からが3割程度。食事中や移動中、自然に会話が流れるタイミングが多くて、事あるごとに話題に上がります。とくに堅苦しくはならず、日常の延長で話している感じです。
両親は、『お金のことはあまり気にしなくてもいいから好きなことを自分で決めろ』というスタンスで、意見がぶつかることはほとんどありません。
いまは、同志社大学グローバル地域文化学部アジア太平洋コースを目指していて、映画『モアナと伝説の海』をポリネシア文化の視点から読み解きたいと思ってます。両親からも『お前らしい』って言われ、理解してもらっていることもあって、進路で悩む時間はほとんどありません。進路に悩むより、勉強ややりたいことに時間を費やした方が行きたい道に近づけると思ってます」
進路の話し方や親との向き合い方は、人それぞれ。反対されても情熱を伝える人、ジャンルごとに相談する人、日常の延長で自然に話す人……。自分の想いを言葉にしていくことで、少しでも納得のいく進路に向かっていけるようにしたいですね。これからも、「10代リアルVOICE」では、世の中のニュースを自分ごととして捉えるティーンたちの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano