
タイムリーな話題から、カルチャー、さらには社会問題まで、さまざまなテーマについて、リアルな10代の声を聞くシリーズ「10代リアルVOICE」。
今回のテーマは、最近気になったニュースについて。政治、教育、テクノロジー、国際問題まで、ティーンはどんなニュースに注目し、どのように考えているのでしょうか? リアルな視点を聞いてみました。
1. 手島遊さん「サステナブルな舞台づくりに注目」

舞台美術家になるべく、大学での勉強や実際の舞台づくりに奮闘中の19歳。
「シアターグリーンブックの日本語版の公開についてです!
『シアターグリーンブック』は、イギリスで策定された舞台芸術における環境負荷軽減のためのガイドラインです。舞台美術・照明・衣装などの分野で、リサイクル素材を活用することや、エネルギー効率の高い運用方法などを提案していて、2024年には日本語版も正式公開されました。
以前からシアターグリーンブックについて興味があったので、日本語版が正式に公開されたというニュース。これからの舞台芸術にどう影響してくるのか、気になりました。
日本語版の公開は、環境配慮の視点が国内の舞台芸術にも広がっていることを意味している気がしていて、すごくワクワクした気分になりました」
2. 田嶋優太さん「AppleのWWDC、ソフトの進化に期待」

外国人観光客向けの案内板をよりよいものにしていくために探求する17歳。
「Appleの開発者向けイベント『WWD C』が個人的なビックニュースです。
もともと、ハードウェアに興味があり、普段からデスクトップパソコンやキーボードの組み立てや改造を楽しんでいます。WWDCは、おもにソフトウェアの発表が中心ですが、それに合わせて新しいハードウェアの発表が行われることも多くて。そんなハードウェアの情報に、すごく興味関心があります。
今回は、新しいハードウェアの発表はありませんでしたが、ソフトウェアの大幅な刷新が発表されました。新しいソフトウェアの体験や、これからのAppleの技術革新を、引き続き楽しみにしています」
3. 相笠美優さん「教員の働き方改革、その本質は?」

子どもたちが生きやすい社会を実現するべく、中高生のための居場所づくりをおこなう団体を設立した19歳。
「6月に成立した『給特法』改正が気になりました。
『給特法』は、公立学校の教員の給与や勤務条件に関する特例を定めている法律。基本的に、教員の先生たちには残業代が出ず、代わりに4パーセントの手当がついています。ですが今回の改正で、毎年1パーセントずつ上げられて、2031年までに最終的に10パーセントになるといいます。
この改正を受けて、わたしは金額の話だけではなく、働き方そのものを改善していく必要もあるんじゃないかと感じました。業務が多ければ、子どもに向き合う時間が削られるし、隠れ残業も増えかねません。結局は対処療法的な改革に留まっている気がしていて……。もっと、現場の声を反映した改革に本質があると考えています」
4. 東坂明憲さん「AIとの距離感、10代こそ基準になれる」

地元である東京都豊島区に魅了され、豊島区の魅力発信や調査から、地域の政治について研究する17歳。
「若者のAI依存に関するニュースが気になりました。
AIは、今後ますます生活に入り込むものだと思っています。どこからが依存なのかを考えることがすごく難しいです。ゲームは、『ゲームから距離をおく』ことが可能ですが、AIは生活の中に必然的に取り組まれていくものになってきていると思います。
このような、見えづらい課題を若者同士で語り合いたいです」
5. リニカさん「政治と性犯罪、どちらも目をそらせない」

ひとの心を動かすエンターテイナーになりたいと、謎解きの企画や運営に携わる18歳。
「最近は、内閣不信任案が否決されたニュースや、選挙関連の報道が気になります。
与党・野党問わず、本当に国を良くしようとしているのか、疑問に思うことが多いです。
あと、性犯罪についても。テレビやニュースで、取り上げられることは少ないですが、加害者への量刑の軽さや扱いの軽さを感じることもあって、時折悔しさや不安を感じます。そんな声を少しでも誰かが拾ってくれるだけでも、救われるひとがいると思っています」
6.よりさん「選挙への参加について、若い世代の実態」

大学に通いながら、コワーキングスペース「ThinkCamp」でのインターンや、学生と企業をつなぐ団体「TeenWorker」の運営に携わる19歳。
「いま、話題になっている参議院選挙についてです。
若者世代は、あまり行かないひとが多いイメージの選挙ですが、わたし自身は行かなきゃいけないと思っています。いまのままだと、日本はダメになってしまう気がして……。『時間がない』『予定がある』というひとも期日投票仕組みがあるので、もっと活用されればいいなと。
他にも、若者がもっと選挙に興味を持つことができる方法はないのだろうか……とつい考えてしまいます」
7. 中西眞緒さん「対話のない政治に、不安を感じる」

シンガーソングライターとして、曲づくりやライブ活動を積極的におこなう19歳。
「アメリカのトランプ大統領による一連の政策が気になっています。
イランへの攻撃や、留学生ビザ面接の停止、多額の出資で永住権を得られる制度『トランプカード』の発行など、どれも物議を醸す内容ばかりです。
グローバル化が進むいま、移民問題はたしかに複雑だけれど、アメリカのような大国が自国第一の姿勢を強めることは、国際社会に悪影響を与えかねないと感じています。特に、イランへの攻撃は、新たな悲劇を招く可能性もあり、とても懸念しています。
歴史から学び、戦争のない未来を目指して、もっと対話を重ねていく努力が必要だと感じています」
8. 篠原一騎さん「年金制度を、もっと自分ごとに」

声にならない声を拾い上げるため、政党へのロビー活動や街頭演説など、幅広く発信活動を続ける17歳。
「年金問題についてです。
年金は、私たちがこれから生きていくうえで非常に大切なテーマだと思っています。長生きするひとが増える時代に、必ず知っておかなければいけない問題。そんな中で、特に若い世代の政治への無関心がとても気になっています。
現時点でも、『将来もらえるかどうかわからない年金のせいで給料が減るなら、払いたくない』と感じているひともいて、それは、国の信用にも関わってくると思うんです。
なぜ、声を上げるひとが少ないのか、政府はどのように動くべきなのか、同世代の意見をぜひ聞いてみたいです」
あなたの“気になる”も、きっと誰かの問いのきっかけになるはず。これからも、「10代リアルVOICE」では、世の中のニュースを自分ごととして捉えるティーンたちの視点を伝えていきます。
Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano