Fashion&Culture

僕らにとっての「東京」、ってなんだったっけ。 東京という都市を。 【Unraveling the paradigm of Tokyoism】

僕らにとっての「東京」、ってなんだったっけ。 東京という都市を。 【Unraveling the paradigm of Tokyoism】

東京を代表するファッション団体Keio Fashion Creatorが、“未完成であること”そのものを肯定する、新しい都市感覚をテーマに東京をファッションで再解釈する新たな試み「Unraveling the paradigm of Tokyoism」。初回は、僕らにとっての「東京」。

都市、若者、ファッション。曖昧さを肯定する感性。

進学や就職を機にこの街に集まる若者たちは、大人と子どもの狭間で、まだ自分だけの「色」を模索している。そんな名前のない時間を、ファッションという手段で可視化する。

高校を卒業して、上京した。大人になる為の大きな一歩。東京の風景には夢が溢れていた。自由に服を着て、好きな場所へと向かう。子供のように好奇心の赴くまま歩いていく。

東京の雑踏に紛れる私。生まれた時からこの街にいるのに、ここを「居場所」だと思えたことは一度もない。規則的に流れる時間。均一に整えられた景色。このレールの上を歩き続けた先には、一体何があるのだろう。


黒のセットアップスーツに、艶やかな黒のレザーネクタイ、足元を締めるのはシックな黒革のローファー。そして、どこか気だるげで暗い印象を受けるこのルックは、単なるファッションを超え、都会で生きる若者の内面を映し出す。

この装いは、「社会はこうあるべき」という固定概念に囚われがちな東京の縮図だ。

彼らが足を踏み入れるのは、まるでシステムと化した街の象徴たるオフィスビル。そこでは、多くの人々が無表情で日々を消化し、まるで規則的に並んだ建物の一部であるかのように見える。地方から上京してきた若者にとって、この都会は無限の可能性を秘める一方で、「変われない自分」という苦い現実を突きつける場所でもある。

私だけの色を見つけたいのに、この街ではすぐに誰かと混ざり合い、埋もれてしまう。

それでも、私は足を踏み出す。たとえこの大都会にかき消されそうになっても、私だけの色を見つけるために。今はただ、未熟な自分と向き合いながら、東京という街の流れに身を任せる。

彼らが抱えるモラトリアム、そして未来への不安を内包した若者の葛藤を静かに物語るモードは、都会の冷徹に生きる若者の繊細な感情が混在する、東京独自の美学だ。

Keio Fashion Creator プロフィール

2002年設立の服飾学生団体。ESMOD JAPONと提携し、服作りを学びながら毎年テーマに沿ったファッションショーを企画・運営。2012年からはインターカレッジ化し、約200名の学生が衣装制作から広報までを担当。「服」を通じて思考を表現し、社会に発信することを目指している。

昨年度のショーテーマは「愛」。

12月25日に東京タワー麓のSTAR RISE TOWERで「How to Dress LOVE?」を開催し、44体のルックを発表。各デザイナーが自身のルーツをもとに、目に見えない「愛」を服で表現し、装いを通じてその形を探求した。

【関連リンク】
Instagram:@keio_fashioncreator
X:@keio_fc
note:https://note.com/k_fashioncreator
HP:https://keiofashioncreator.com/

SNS Share

Twitterのアイコン

Twitter

Facebookのアイコン

Facebook

LINEのアイコン

LINE

Steenz編集部

Steenz編集部

Steenzのコンテンツは学生を中心に10代〜Z世代の個性豊かなメンバーでコンテンツを制作しています。多様性の時代を駆け抜ける10代が、個性を手放さずに生きられる世界を目指して頑張っています!

View More