
「気になる10代名鑑」の1059人目は、津辻舞幸さん(18)。幅広いアート経験をバックボーンに、現在は起業を目指してビジネスについて学びを深めています。過去の失感情症と抑鬱の経験が作品の大きなテーマになっていると話す津辻さんに、活動で大切にしていることや今後の目標を聞いてみました。
津辻舞幸を知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「自分の得意な美術を活かして、服や絵画、映像などマルチに創作活動に取り組んでいます。創作をするうえでは、『いのちを愛する』というテーマをもとに、生きている実感を感じられるような作品作りをしています。
特に力を入れているのは、中学時代のファッションアート部から続けているファッション。作品をつくることはもちろん、日常的に好きな洋服を着てアイデンティティを示すこと自体が、自己表現の一部だと思っていて。実は今日身につけている服も、スカーフを使って服のように仕立てているオリジナルのアレンジなんです。
また、自分の表現スキルを活かせるビジネスを模索しながら、いまは企業のチーフデザイナーとして業務に携わっています。SNSマーケティングやマネタイズについて勉強しながら、ビジネス関係者が集まるさまざまなイベントにも出かけていて。日々スキルを学びながら、ひととの繋がりを増やしています」
Q2.活動を始めたきっかけは?
「もともと色や芸術が大好きで、幼少期から自然と創作はしていました。
『いのちを愛する』というテーマを持つようになったのは、中学3年生の頃に抑鬱を発症し、『生きていてもこんなに楽しくないんだ』と思ってしまう時期を3〜4年ほど経験したことがきっかけです。
だんだんと感情が麻痺を起こして、感情が湧かなくなってしまった『失感情症』になったり、鬱の発症によって思考力や言語能力、注意力が低下したりしてしまいましたが、いまは回復しています。鬱を経験したからこそ、成長できた部分はあると思うし、作品を通して語れることも多いと思って。そんなこれまでの自分に対しても、いまは愛を持って作品を生み出すことができています」
Q3.活動で大切にしていることは?
「人種や見た目や価値観など、ひととのあらゆる違いを、美しいグラデーションとして受け入れることを大切にしています。
そう考えたきっかけは、小さい頃から色に興味があって、色に対して直感的にユニバーサルなイメージを感じていたことにあると思っていて。自分が50色の色鉛筆セットを買ってもらったとき、色鉛筆を絵を描くためにはほとんど使わず、それぞれの色鉛筆を並び替えて遊んでいたんです(笑)。どの色がいい悪いとかはなく、色の違いそのものを楽しむことが好きな子でした。
この色の考え方のおかげで、自分の個性や特徴も、さまざまな色の違いのように前向きに捉えるようになって。中学生の頃自分が体型にコンプレックスを抱えそうになっても、『だったら自分が一番輝いて魅せられる方法を開発してやろう!』と、ファッションに前向きになれたんです」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「自殺するひとをゼロにしたいなと思っています。いま、デザインやアートを続けているのも、芸術がひとの心を動かし、『生きている実感』を与えられると信じているからです。
失感情症と抑鬱に悩まされていた時期は、なんの感情も湧いてこなくて、ひとに会いたくないし、大好きだったはずの芸術に対しても何も思わなくなってしまって……。
でも、いまは普通に喜べて、普通に笑えて、普通に悲しいと感じられることがどれだけ豊かなことかわかります。だから自分は、多くのひとが、当たり前にそこにあるかもしれないけれど、『生きている実感』を与えてくれている芸術を通して、喜びを噛み締められるような世界を実現する一助を担えたらと思っているんです」
Q5.将来の展望は?
「お金で買えないもの、例えば友だちや、家族、愛、達成感などを大切にしていきたいです。なぜならこれらは、そのひと以外に替えの効かない、唯一無二の個性だからです。
自分の個性を徐々に愛することができるようになったわたしだからこそ、いのちに対してリアリティを持って向き合うことができている気がしていて。まず、芸術活動においては、ひとの冷たくなった感情にそっと息を吹き込むことができるような作品を世に送り出していきたいです。
活動は大学に入ってからは、起業などマルチに広がっています。ときに、『舞幸は結局何になりたいの?』と言われることもあります。ただ、生まれたからには、自分の人生も誰かの人生も良くして、みんなで幸せになりたい。そんな想いに尽きます。
コンプレックスがあるから、特別じゃないからと、自分を決め付けて、人生を諦めるのはもったい無い。生きることは素敵なことなんだと胸を張って言える、キラキラとした表現者であり続けたいです」
津辻舞幸のプロフィール
年齢:18歳
出身地:東京都葛飾区
所属:慶應義塾大学環境情報学部、CELL、株式会社sybersceneクリエイティブチーム
趣味:友達とご飯を囲んで熱く語り合うこと
特技:花の絵を描くこと
大切にしている言葉:人間は微力だが、決して無力ではない/しつこく生きよ
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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami