
「気になる10代名鑑」の1038人目は、YURAさん(15)。全日本トップクラスのけん玉プレイヤーとして活躍しています。プレイヤーでありながらも幼少期から親しんできた絵や音楽の発信活動に励むYURAさんに、けん玉と芸術活動の共通点や今後の目標について詳しく聞いてみました。
YURAを知る5つの質問
Q1.いま、力を入れていることは?
「けん玉の選手として、ストリートけん玉大会・日本けん玉協会大会などさまざまな大会に挑戦しています。
ストリートけん玉の大会では、持ち手の部分『けん』と玉を素早く、アクロバティックに持ち替え、回転させながら、技の完成度を競います。まるでストリートダンスのような試合展開が特徴です。
技が決まった瞬間、会場全体が沸き上がるあの高揚感がたまりません。3年前の2022年には、練習の甲斐あって、Kendama World Cupのファイナリストになることができました。
また、ひとに教えたり伝えたりすることが好きなので、はじめてけん玉を手にする人から上級者まで、仲間にけん玉の技術や楽しさを伝えることや、音楽や動画、絵を通じてけん玉の魅力を発信することにも取り組んでいます。
昨年『Time』という楽曲をリリースしたのですが、この曲はけん玉ワールドカップで悔しい思いをしたひとに向けてつくった曲です。けん玉プレイヤーにしかわからない歌詞や効果音を随所に盛り込んでみました。『まだいけるぞ』と思ってもらえるような、ひとに寄り添えるような1曲になっていたらいいなと思います」
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Q2.活動を始めたきっかけは?
「けん玉は、小学校までは少し触ったことがある程度でした。
そんな自分がけん玉に興味を持ちはじめたのは、コロナ禍というタイミングです。それまで自分はドッジボールに夢中だったのですが、試合がすべて中止になってしまって。そんなときに、図書館で偶然ストリートけん玉の本を手に取りました。その格好良さにすごく驚いて、けん玉の練習本についていたDVDを観ながら技を練習し始めました。
また、音楽についてはもともとピアノを習っていて。鍵盤を叩く両手の動きには規則性があって、その動きを見て自分なりに規則を考えるのが好きだったんです。
ピアノでもけん玉でもそれは同じで、曲調や技を自分で組み立てながら繰り返し練習するなかで、少しずつ自分なりのスタイルや美しさを見つけ出すことができる。そんな共通するプロセスに強く惹かれているんだと思います」
Q3.活動で大切にしていることは?
「けん玉やピアノの技の練習をするときは、大体参考にする相手がいます。まずはそのひと自身のことを深くまで知り、『どうしたら相手の気持ちを自分なりに想像できるか』考えることを大切にしています。
これがなぜかというと、ただ動きを真似るのではなく、そのひとがどのような思いで取り組んでいるのかを感じ取ろうとすることが、技の本質に近づく鍵だと思うからなんです。
とくにけん玉には、精神状態がどうしても表れます。ひとの動きや表情、咄嗟のからだの反射、手の癖を観察してはいるけれど、同時にそのひとの性格や考え方を感じ取ろうとしている気がしていて。
技や表現に深みを出すには、自分と向き合いつつも、他者を深く観察し想像することが大事だと思うんです」
Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?
「けん玉を通じて、どんなひととも繋がってコミュニケーションできる社会にしたいです。
これまで活動していて、けん玉を持っているだけで話しかけてもらえたり、大会などで世界中のひととの繋がりが持てたりすることを強く実感していて。加えて、ひとりでいてもけん玉1つでゲームができる。けん玉とは、自分にとって1番の楽しい自己表現の手段であり、コミュニケションツールなんです。
だからこそ、自分のけん玉や音楽で誰かを勇気づけることができたり、それがきっかけでけん玉を手に取るひとが増えていったりしたら嬉しいです」
Q5.将来の展望は?
「けん玉ワールドカップで世界1位になることです。
1位になることは簡単なことではないので、もっと自分の技術を磨いていきたいです。でも、不思議と息のつまる感覚やプレッシャーはなくて。いまはずっと楽しいです。
もちろん、難しい技は最初からできるわけではありません。でも『なぜできないのか』じっくりと考えていくと、自分の中にいろんな理論が生まれてくるんです。こういった姿勢でひとつずつできることを増やしていくのがとても楽しくて。だからこそ、失敗すら楽しいものとして捉えられるんです。
これからも努力を重ねていきます。そして、世界一から見える景色が見てみたい。そこで何を思うのか、体感してみたい。けん玉の楽しさと自分の表現で、世界中のより多くの人の感性に触れられると嬉しいです。これからも挑戦していきます」
YURAのプロフィール
年齢:15歳
出身地:大阪府大阪市
所属:咲くやこの花高等学校、Eureka’s Next Innovation Team、kodamira kendama school & salon、大阪旭けん玉道場
趣味:けん玉、ピアノ、作曲、絵
特技:けん玉、ピアノ、作曲、絵
大切にしている言葉:高タンパク低脂質
YURAのSNS
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Photo:Mei Kawaguchi
Text:Taishi Murakami