
「気になる10代名鑑」の1042人目は、上野瑞妃さん(19)。舞台やワークショップに参加しながら、役者として邁進する大学生です。中学の演劇部から演劇を始めたという上野さんに、大切にしている「感情の揺れを描く」演技について聞いてみました。
上野瑞妃を知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「演劇です。特に、演技だけのストレートプレイをメインでやっています。
演劇鑑賞も好きなのですが、特に演じることに喜びを感じていて。自分で探しながら、舞台に出たりワークショップに参加したりしています。最近は、『道玄坂 PINKVIBE』という北千住での舞台に参加しました」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「最初に演劇に触れたのは、脚本と舞台美術をやりたくて入った中学の演劇部でした。
でも、『いい演技=観客に向けて大きく表現する演技』だと部活では教えられて。それができないわたしは演技が下手だと思わされていました。だから、見返したさで演劇をやっている面もあったかもしれません。
明確なきっかけというわけではないですが、それで『演劇を楽しんでやりたい』という気持ちが芽生えて、高校の舞台芸術科に入学して本格的に演劇を始めました」
Q3. 自身のクリエイティブに影響を与えたものは?
「アカデミー賞を受賞した『あんのこと』という映画に出ていた河合優実さんという俳優です。
厳しい境遇で生きる女性の話で、実際そういうひとがわたしの目の届くところにいるわけではないのに、その主人公があたかも存在しているように思えてしまう。そんな『嘘が本当になる』お芝居を、わたしは『人間を描いた』お芝居と呼んでいます。
わたしが出演する作品には、死や性的な描写があるものが多くて。それは、社会では隠されてしまうような人間の感情の揺れを描きたいと思っているからだと感じています。」
Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「『演劇』という言葉の指す範囲が広いので、わたしが目指す『人間を描いた演劇』のような同じ志を持ったひととなかなか出会えないことです。
わたしは『大きくわかりやすく、観客に向けて』という演技が苦手で。演じるときは、普段社会で生きているときには隠そうとするような感情の揺れを表現したいと思っているんです。日常では家族や恋人にしか見せられないような感情の揺れも、演劇では観客全員と共有する。そんな演技が理想です。
同じような志を持ったひとたちと出会うことに難しさを感じていますが、舞台やワークショップを探すときのひとつの指針になっています」
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Q5. 将来の展望は?
「ずっと演劇をしたいです。今年の夏に出演する『カルカ・ディクション』は、まさに人間の感情の揺れを表現した作品です。いまのわたしの最高点の演技を、たくさんのひとに観に来てほしいですね。
人間の感情の揺れをしっかり描いている作品は少ないと感じていて。前はそのことに少し悲観的でしたが、『どんな作品に出ても、わたしが演じることで人間を描けばいいじゃん』と気づいたんです。自分が出演することで、そんな作品を増やしていこうという思いで、これからも稽古に励んでいきます」
上野瑞妃のプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
趣味:舞台を観る、映画を観る、小説、エッセイ、戯曲を読む
特技:グレープフルーツを食べるのが上手い
大切にしている言葉:「扁桃体の奥を使え」(ゴーゴー幽霊船)
上野瑞妃のSNS
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『道玄坂PINK VIBE』
大学生の星名美咲役でした!
めちゃくちゃ楽しかったです!
これからもガンガン演劇続けたいので、またどこかで関われたら嬉しいです!!
ありがとうございました🙏🏻#べろべろガンキュウ女 #道玄坂PINKVIBE pic.twitter.com/J3AB9MC2jg— 上野瑞妃 (@mi_zu_ki_918) January 22, 2025
Photo:Nanako Araie
Text:Haru Ninagawa