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ナイジェリアで増えるイギリス発のボーディングスクール。増加の背景とは?【Steenz Breaking News】

ナイジェリアで増えるイギリス発のボーディングスクール。増加の背景とは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、ナイジェリアで増えているイギリス発のボーディングスクールの実態についてご紹介します。

ナイジェリアで開校が相次ぐ、イギリスのボーディングスクール

「ボーディングスクール」という名前を聞いたことがあるでしょうか。ボーディングスクールとは、全寮制の学校のことです。ハリー・ポッターシリーズに出てくる「ホグワーツ魔法魔術学校」を連想される方もいるかもしれません。同シリーズが生まれたイギリスでは、ボーディングスクールが多く、その数は公立と私立で合わせて525校とも言われています。有名な学校としては、イートン・カレッジやハロウスクールなどが挙げられます。

 

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そうしたイギリスのボーディングスクールが近年、相次いでアフリカで開校しています。中でも、人口が2億2,380万人とアフリカでいちばん多い上に、国民の平均年齢が18.1歳というナイジェリア連邦共和国は、イギリス発のボーディングスクールが活況です。

そんなナイジェリアは、人口に比例して富裕層の多い国です。New World Wealthの調査によると、2023年時点でナイジェリアは資産が100万ドル以上のミリオネアが約8200人存在するというデータが発表されました。また、アフリカ地域においてナイジェリアは3番目にミリオネアが多いという調査結果からも、アフリカにおいて富裕層の多い国だといえるでしょう。富裕層の家庭は、質の高い教育を求めて、子どもに海外で教育を受けさせるケースも多いもの。たとえば、ボーディングスクールとは少し観点が異なりますが、ナイジェリア富裕層の教育事例としてある市場調査会社のデータを挙げると、2021~22年度にイギリスの大学に通っていた外国人のうち、ナイジェリア人の学生は44,195人だったそう。この人数は、中国人とインド人に続く3番目の多さだといいます。

卒業後は世界に飛び出すことを視野に入れて

こうした「教育熱の高まり」に目をつけたイギリスのボーディングスクールは、イギリスよりも安価な価格で、かつ家族のいる母国で最高レベルの教育を受けられるということをうたい文句に、ナイジェリアを含むアフリカで開校数を増やしています。

 

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教師以外のスタッフは、現地の人を雇用することでコストを削減。安価な学費を実現しています。教育においても、従来のような座学中心のものではなく、リーダーシップの育成や課外活動、自己啓発などを取り入れ、バランスの取れたカリキュラムを重視。設備も、科学実験室や劇場、プール、複数のスポーツコートなど、充実した教育環境が整えられています。

 

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そもそもアフリカにおいて、特にナイジェリアのようにイギリスの植民地だった国では、いまでもイギリスの教育が取り入れられていることも多く、有名な私立大学ではイギリスの教授が教えていることもしばしばあります。だからこそ、イギリスの教育はアフリカの人々にとって受け入れやすく、大きな需要があるのです。

さらに、ナイジェリアを含むアフリカの子どもたちがイギリスの教育を受けるメリットとして、「将来性がある」ということも挙げられます。アフリカの多くの国では失業率の高まりが懸念される中、ナイジェリアのボーディングスクールは国際的にも質の高い教育を受け、卒業後に世界で活躍できる人を輩出することを目標としていますから、将来の可能性を広げることができます。

 

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アフリカの文化に合わせて運営することで、支持を集めている

しかし、イギリスのボーディングスクールの教育方針をアフリカでそのまま当てはめようとすると、学校運営上の課題も出てきてます。そのため、各校では現地の文化に即し、柔軟にルールなどを変更しています。たとえば、イギリスのボーディングスクールでは、LGBTQ+の方々にとって安心できる場所があることを示すために、レインボーフラッグを掲げているところもあります。しかし、ナイジェリアのボーディングスクールでは文化的背景から掲げていません。また、イギリスでは基本的に長期休みに学生の帰省は行われますが、ナイジェリアでは教会に礼拝に行く人も多いことから、学生は日曜日の礼拝のときには自宅に帰ることが許されています。

このような現地の文化に合わせた運営スタイルと、国際的に見ても高水準な教育提供が好評となり、ナイジェリアに住む富裕層などから、イギリス発のボーディングスクールが選ばれているのです。

成長が期待されるナイジェリアのボーディングスクール市場

ボーディングスクールは富裕層の多いナイジェリアの教育需要を満たすだけでなく、現地で雇用を創出するというメリットもあり、多くのイギリスのボーディングスクールがナイジェリア進出を視野に入れています。今後も成長が期待される市場のようです。

References:
ナイジェリア基礎データ|外務省
Data Commons「人口 別のランキング」
Worldometer「Nigeria Population」
Top 10 | Africa Wealth Report 2024 | Henley & Partners
Icef Monitor「Data shows a decline in Nigerian student searches for study abroad; UK may be hardest-hit」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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