Steenz Breaking News

これから世界で流行るかも?アフリカのアンダーグラウンドな音楽を紹介!【Steenz Breaking News】

これから世界で流行るかも?アフリカのアンダーグラウンドな音楽を紹介!【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカのアンダーグラウンドな音楽をご紹介します。

アフリカの「アンダーグラウンドな音楽」に注目!

みなさんは日頃、どんな音楽を聴きますか? 邦楽、洋楽、K-POP……など、魅力的な音楽はたくさんありますが、アフリカの音楽も非常に興味深く、奥が深い世界です。

アフリカで有名な音楽というと、以前、Steenz Breaking Newsでも取り上げたナイジェリア発のポップ音楽「アフロビーツ」や、南アフリカ発のハウス音楽「アマピアノ」などがあります。しかし、アフリカ各地には、このような世界でも人気を集めている音楽ジャンル以外にも、アンダーグラウンドな独自性の高い音楽も存在しています。

今回は、アフリカのアンダーグラウンドな音楽シーンで働く筆者が、日本ではまだ知られていないアフリカ発の音楽ジャンルやアーティストをご紹介します。これらのジャンルやアーティストは、世界で今後ますます人気を集め、大きな存在となっていくかもしれません。ぜひチェックしてみてください!

長く紛争が続くスーダンで生まれた音楽ジャンルとは?

北東アフリカに位置するスーダンでは、2023年春ごろから、国の軍隊と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による紛争が続いています。この紛争は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東・パレスチナ自治区ガザへのイスラエルの攻撃などが同時期に発生したことから、世界ではあまり注目されることがなく、「忘れられた紛争」とも言われています。

スーダンでは、以前から反政府組織などによる内戦が勃発し、政情は不安定でしたが、2年前に発生した軍事衝突で、現在は過去40年間で最も深刻な人道危機に直面しているとも言われています。約1,300万人が家を追われ、故郷を失っている現在。スーダン出身のラッパーがつくりあげる、苦しみと希望に焦点を当てた「スーダンラップ」というジャンルに脚光が当たりつつあります。

ちなみに、スーダンで音楽などの文化が大きな飛躍を遂げたのは、ここ最近の話です。なぜなら、スーダンではこれまで、国家によって数十年にわたって自由な表現などが統制されてきたから。しかし、2018〜2019年の独裁者の失脚によって、表現の規制が以前と比べて緩やかになりました。そのため、音楽や映画が発達してきたという背景があります。

いま注目すべきスーダンラップのアーティスト

筆者が注目するスーダンラップのアーティストを2組ご紹介します。

まず取り上げたいのが、「Rap Shar3」です。彼らは、アラブのカルチャーから影響を受けたラップを作るアーティスト集団。まだ無名ながらも才能のあるアーティストに音楽を発信する機会を提供する、プラットフォームの役割も果たしています。

彼らの楽曲の中でも、12人の異なるスタイルをもつラッパーがスーダンについて歌うストリートラップが注目されています。まだ世界的に注目されることの少ないスーダンの若いラッパーですが、彼らは紛争下での苦難や社会風刺などを歌う力強いリリックを作っています。

また、スーダン出身のA.G. Nimeriは、政治的な内容について歌うことを得意としたラッパー。彼の作る楽曲は、政治批判をしながら、人種差別や部族主義について触れつつ、ときに希望を歌っており、いまのスーダンに対する激しい抗議の気持ちが感じられます。

HIPHOPやラップは、1970年代から80年代にかけて、アメリカの黒人コミュニティから生まれた音楽ジャンル。当時根強く存在していた黒人への差別や偏見、抑圧的な社会条件に抗い、社会への怒りや、自分たちのプライドなどを表現するために、スラム街のストリートから生まれたものでした。そうした背景を持つHIPHOPやラップが、50年以上の時を超えたいま、スーダンで自己表現と社会評論の両方を強く担っているのです。

超高速ビートで誰もが踊り出すダンスミュージック!?

アフリカ、アラブ、インドの歴史と文化が融合したタンザニアの首都、ダルエスサラームからは、2010年ごろから「シンゲリ」と呼ばれる高速テンポの電子音楽が世界に発信されています。シンゲリは非常にテンポが速い音楽。こうした曲を「初めて聴いた」と感じる読者も多いのではないでしょうか。

この独特な音楽は、伝統的な太鼓「ンゴマ」や、エジプトなどの影響を受けた伝統音楽の「タアラブ」といったいくつかの音楽ジャンルが融合してつくられました。高速の音楽に合わせたダンスも特徴で、街中やクラブでシンゲリが流れると、人々はすぐに踊り始めます。

タンザニア出身のDJ Travellaは10代の頃からシンゲリ音楽をつくるプロデューサー兼DJで、彼がプロデュースした曲のうちのひとつ、「Crazy Beat Music Umeme 2」はまさにクレイジー。いまや世界中のフェスティバルで引っ張りだこの彼の音楽は、1度聴いてみればその衝撃的なビートにハマることでしょう。

伝統的な音楽と現代の電子音楽が融合してユニークさを極めたシンゲリは、全世代の人をつなげる音楽であるとして、ユネスコの無形文化遺産への登録も期待されています。

アフリカの音楽を探求してみて

アフリカのアンダーグラウンドな音楽はいかがでしたか。今回取り上げた音楽以外にもアフリカ各地で、常に新たな歴史を生み出す音楽がつくられています。これらのアンダーグラウンドな音楽は商業的な音楽ではなくとも、ユニークさを極めており、今後もどのような歴史が生まれるか注目です。

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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