
「気になる10代名鑑」の973人目は、Renさん(17)。メディアアートの制作を通じて、言葉に頼らない、世界の新しい見方を訴えかけています。常識を疑い、『善い』とは何かを探求していきたいと語るRenさんに、活動をはじめたきっかけや将来のビジョンについて、詳しく聞いてみました。
Renを知る5つの質問
Q1.いま、いちばん力を入れている活動は?
「おもにメディアアートを制作しています。1年前から、『僕らはどのように世界を認識し、その世界とどのように向き合っていけばいいのだろうか』というテーマに向き合っていて。観たひとに世界の新しい見方を提案するだけでなく、僕自身も制作を通して、常に認識との向き合い方を考えていますね。
どうしてメディアアートを手掛けているかというと、言語ではカバーできない新しいコミュニケーションツールが必要だと考えたから。
言葉って便利だけれど、表現の幅を狭めてしまう可能性もあると思います。僕が見ている青色と他のひとが見る青色は、違うかもしれないけれど、言葉にすると同じものになってしまうんじゃないかって。そんな気持ちでいろいろと模索してきた結果、メディアアートという新しいコミュニケーションのかたちが見えてきました」
Q2.活動をはじめたきっかけは?
「実は、はじめからアートに絞って活動しようとしていたわけではなくて。ビジネス系イベントの立ち上げや、学生団体に関わっていたんです。
でも、その活動が行き詰まってきて、『ワクワクさせたい』という気持ちが押し付けになってはいないかって悩んでしまって。ならば芸術作品であれば、思想の押し付けにはならないと思って、もともと興味のあったアートの方面に、だんだんとシフトしていった感じです。
昨年の12月には、千葉県の月崎で開催されたクリスマスマーケットに、折り紙作家の勝川東さんと、共同合作として作品を展示しました。勝川さんが制作した『偶発性を含んだ折り紙』がテーマのオブジェと、僕が制作した、周りの自然や人間が出す音を拾って映像に変換するシステムを組み合わせて、ひとつの作品にしたんです。僕以外の要因があってはじめて完成する作品は、いったどんなものになるだろうという、ひとつの挑戦でもありました」
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Q3.活動する中で、印象的だった出会いは?
「『すみだ向島EXPO』というイベントに参加したときの出会いが印象的でした。
そこで知り合ったひとたちが、とにかく型破りで。たとえば、世界各地をまわって、自分の体にタトゥーを掘らせることで自分自身が平和の象徴になろうとしているひとと出会いました。全身にタトゥーが彫られていて、一見関わりづらいけれど、めちゃくちゃいいひとでした。
このひとに限らず、イベントに参加していたひとと話していくと、ひとりひとりの考えが深いなって思って。世間一般で言われてる『これがいい』っていう評価軸って当てにならないし、評価の基準はひとつじゃなくていいんだって気づくこともできたんです」
Q4.活動の中で、悩みがあれば教えてください
「そもそも、『作品制作自体がいいことなのか』と考えちゃうことはあります。
僕の作ったものが、世に出たあとにいい影響を及ぼすことができるのか、もしくはそれが悪い影響になるのか。その点って、制作しているときにはわからないので。アートには絶対的な評価軸がないので、常識を疑い続ける姿勢を持ち続けるのが大変に感じたりもします。けれども、その姿勢を捨てたらどこか盲信的になってしまうので、根気強く取り組むしかないと腹を括っていますね。
願わくば、ぼくの作品を見たことによって世界の見え方がちょっと変わったらいいなと思います。最期に振り返ったときにそのひとの人生が満足のいくものになっているような、そんな影響力を持つアートを作りたいです」
Q5.将来の展望は?
「あまり活動のジャンルを狭めたくないという思いはありますね。直近だと、カレーを作りたいです(笑)。
ひとりでじゃなくて、大勢で作るイベントを開催したい。カレーって、簡単だし、美味しいじゃないですか。いっしょに作って、美味いねって言いながら食べることができるような、ひととひとを繋ぐ活動ができたら面白いんじゃないかと思ってます。
あとは、作品を作っていくうえで、『善い』とは何かを探究し続けたいです。というのも、ぼくの最終的な目標は『善い生き方をした』と思って死ぬことなので。『善い』ってなにか、ということを探すときに、消去法でやっていくしかないって思っているんです。正解かどうか分からないけれど、とにかくいろんなことを試していくしかない。だからこそ、固定した価値観を持たずに、制作活動をしていきたいです」
Renのプロフィール
年齢:17歳
出身地:東京都目黒区
趣味:ご飯を食べる事、HADO
特技:HADO
大切にしている言葉:何の為に死ぬのか
RenのSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Yuzuki Nishikawa