
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、「ソーシャルプロダクツ賞」についてご紹介します。
商品性と社会性を両立させる「ソーシャルプロダクツ賞」とは?
昨今、サステナブルプロダクツやソーシャルグッドという言葉が、私たちの暮らしに身近なものとなりつつあります。
では、「ソーシャルプロダクツ」はご存じでしょうか? ソーシャルプロダクツとは、人や地球、地域社会にやさしい商品・サービスの総称です。環境に配慮した製品はもちろん、オーガニックやフェアトレードを徹底した製品、社会貢献可能な取り組みへの寄付がついた製品、地域や伝統に根ざした製品などが当てはまります。つまり、購入するだけで持続可能な社会づくりに貢献できたり、そうした活動を行う団体に支援できたりするというわけです。
そうしたソーシャルプロダクツの普及・推進を通して、持続可能な社会を実現することを目的とした表彰が「ソーシャルプロダクツ賞」です。このジャンルでは日本初で唯一のアワードで、2025年で12回目の開催となりました。
社会変革をもたらす可能性が高い、ソーシャルプロダクツ。2025年の受賞サービスの中から、ピックアップしてご紹介します。
地域への還元で復興に貢献「ごろごろ果実の能登ブルーベリー」
ソーシャルプロダクツ賞では毎年、「年度テーマ」と「自由テーマ」が設定されています。2025年度のテーマは、「令和6年度能登半島地震からの震災復興につながる商品・サービス」です。
この年度テーマで大賞を受賞したのは、ひらみゆき農園の「ごろごろ果実の能登ブルーベリー」です。能登で育てられたブルーベリーを、規格外の果実も含めてジャムにしています。「甘さ控えめ」と「砂糖不使用」の2種類があり、カロリーが気になる時や料理に使いたい時など、用途によって使い分けることができる優れものです。
このジャムは農園のオリジナル商品で、全て手作業で製造しています。しかし、2024年1月の能登半島地震によって、一時は農園そのものの存続が危ぶまれてしまったそうです。取引先が代理製造という形で支援をしてくれたことで販売を継続。その後、徐々に能登での生産に戻しています。
「ごろごろ果実の能登ブルーベリー」は、収益を地域の農家へ還元し、産地全体の復興に貢献している点が評価されました。ジャムは農園の公式オンラインショップで購入できます。
海洋プラゴミ対策にもなる!「着られるエコバッグ」
自由テーマは「生活者が『持続可能な社会』づくりに参加できる商品・サービス」です。
自由テーマの「ソーシャルプロダクツ賞」の中からご紹介するのは、ユニファースト株式会社の「着られるエコバッグ」。エコバッグの底にファスナーがあり、開ければビブスやユニフォームとして着用できるという商品です。たしかに、レジ袋はビブスのような形ですよね。
企業のオリジナルグッズやSDGs・ESGに関するアイデア商品の企画、企業のプロモーション支援などを手がける同社。着られるエコバッグを発想したきっかけは、野球の応援ビブス製作を請け負った際、試合終了後に捨てられてしまっている様子を目撃したことだそう。
そこで、持ち帰りたくなる応援グッズの開発が始まりました。試行錯誤の末、海洋プラスチックごみからつくったリサイクル繊維である「REPREVE® Our Ocean」を活用し、「着られるエコバッグ」として完成したのです。
ユニークなアプローチで、社会課題の解決を生活者の利便性に転換した点が評価されました。こちらは一般販売はされていませんが、企業のプロモーションなどで手に入れたら、ぜひ活用してみてください。
1つで3通りのお役立ち!「スマホリング+キャップオープナー」
日本クロージャー株式会社が開発した「スマホリング+キャップオープナー」も、自由テーマの「ソーシャルプロダクツ賞」を受賞しました。
一見すると普通のスマホリングに見えますが、指を入れる部分がペットボトルのキャップにフィットする仕様になっています。
ペットボトルのキャップは普通に開けられるという方も多いかもしれませんが、熱が出た時や手を痛めた時など、開けられなくて困るという場面も多々考えられるもの。すでに便利グッズとしてキャップオープナーも販売されていますが、日ごろ使わないためにしまい込んでしまって、必要な時に手元にないということも起こりがちです。ですが、スマホにくっついていれば、常にキャップオーナーも持ち歩けます。
また、この「スマホリング+キャップオープナー」は、好みの角度でホールドできるので、ペットボトルに差し込んでスマホスタンドとすることも可能。1つで3通りの活用ができるお役立ちアイテムである点や、日本難病・疾病団体協議会(JPA)の公式オンラインショップで購入できることで、購入が直接社会貢献につながる仕組みとなっている点が評価され、受賞となりました。
さまざまな社会課題へアプローチするソーシャルプロダクツ
1つの製品で複数の社会課題にアプローチし、社会や生活を変えるきっかけとなるソーシャルプロダクツ。今回の「ソーシャルプロダクツ賞」受賞商品を見ていると、アイデア次第でさまざまな商品のあり方や活用の仕方があることを実感しました。こうした社会や環境、地域社会にやさしい商品が広がることで、私たちの暮らしが少しずつより良いものへと変わっていくのかもしれません。
Text:Itsuki Tanaka