2025.03.14 Fasion&Culture

また会えて嬉しいよ。Black Country, New Road「Besties」【21歳の音楽コラム渡辺青のこれ聴いて！】

初めまして！21歳、東京の郊外でぽけ〜っと暮らす、音楽ナードの渡辺青です。なんだかずっと音楽が好きです。中学生くらいからだから、もう10年くらい！　そんなわたしも大人の階段を登り始め、最近はレコード屋と古本屋で働いちゃったりなんてしています。この企画では私が日々のDIGりの中で出会ったさまざまな「これ聴いて！」な音楽たちを、新旧問わずに紹介していきます。

今回紹介するのは、ロンドンから少し離れた郊外で活動する、壮大で、力強い。でも可愛らしくて、くすぐったい。そんなアンビバレントな魅力を持ったポストパンクバンド、Black Country, New Roadの新曲「Besties」。

２年ぶりの新曲！帰ってきたBC, NR

やったぜ、彼らが戻ってきた！正確には、戻ってくる。

1月31日に、2018年に結成されたポストパンクバンド、Black Country, New Roadのニューアルバム『Forever Howlong』から先行シングル『Besties』がリリースされた。

イントロから、キリッとしたチェンバロと壮大なサックスの音。そして美しく力強いコーラスワークが嬉しい。まさにBC, NR！　おかえりなさい！　と言いたくなる。やっぱり彼らの音楽には、日々のどうしようもない悩みとか、一旦全部吹き飛ばしてくれるような強さがあると思うんですよね。

ブラックカントリー、ニューロード通称BC, NRは、ロンドンから電車で1時間のケンブリッジシャーからやってきた男女混合６人組のポストパンクバンド。ギター、ドラム、ベースといったスタンダードなバンドセットに加え、キーボード（アコーディオンも！）、ヴァイオリンやフルートなど、クラシック音楽の教育を受けてきたメンバーがいる構成で、異種格闘技的なのにまとまっていて、聴いていて耳が楽しい。

3年前、2022年の冬。突然入った中核メンバーで、多くの曲でヴォーカルを取っていたアイザック・へインズがバンドを離れるというアナウンス。彼の脱退直後に出たアルバムのツアー（夏にはフジロックにも出演した）から2023年の3月に新体制となってから新たに書き下ろされた楽曲が収録されているライブアルバムを発表してから、現在に至るまでの2年間。それまでデビュー以前から精力的に活動していたBC, NRはバンドとしてほとんど沈黙状態だったと言っていいと思う。

充電期間だった。と書いた方が正しいかも知れないな。

北風ピューピュー吹いてるけど、この曲を聴けばあったかい。

そんな中、突如発表された、アルバムリリースと新曲『Besties』の公開。ああ、めっちゃ嬉しい。また彼らの新しい曲を待つことができることがこんなに嬉しいことだとは！

Aメロから可愛らしく乗ってきたボーカルが少々かしこまったような歌い方で、優しく、くすぐったく耳に入ってくる。笑顔になってしまう。一足先に春がやってきた感じだ。全体的に少し柔らかく、ポップな楽曲になっている印象で、一度聞いただけで耳に残って、すぐに新たなお気に入りの曲になってしまうような。

そして、今回の『Besties』ではバンドでヴァイオリンを担当し、こちらもまた素晴らしいエレクトロユニットjockstrapでも活動しているジョージア・エラリーが初めてボーカルを取っている。

新体制となってから初のスタジオアルバム

彼らのニューアルバム『Forever Howlong』では、『Besties』で歌っているジョージアを含め、全編ほとんどの曲を女性メンバーが作詞、そしてリードボーカルのマイクを回していく作りになっているようで、アイザック脱退後、新体制となったBC, NRが1から作り上げた初のスタジオアルバムでまた新たな一面が見られるのも嬉しい。

今回公開された『Besties』から想像すると、これまでは少しお堅く聞こえる曲が多かった印象のBC, NRだけれど、新しいアルバムはもしかしたらもう少し間口が広く、どんな層でも聞きやすい曲作りになっているのかも。

ただ、油断していると切れ味の良いヴァイオリンと縦横無尽に広がるサックスやキーボード、そして彼らの熱気にぶっ飛ばされてしまうので、今はただ待とう。

新しい曲が出ると(そしてそれが本当に久しぶりだと)どうしても”これまで”と比べてしまうけれど、本当はそんなことしなくたって良いのだ。5月から、ニューアルバム『Forever Howlong』を引っ提げてのツアーも予定している彼ら。

今年の秋あたりまた、日本に来てくれたらいいな。

とにかく今は、4月4日。春の訪れと共にやってくる彼らのアルバムが楽しみで仕方ない。