
「気になる10代名鑑」の923人目は、小島環さん(19)。小中高生向けの金融教育を目的に起業し、「金融すごろく」の制作・販売をおこなっています。最近、インバウンド向けの事業も新たに立ち上げたと話す小島さんに、活動をはじめたきっかけや、今後の展望について聞いてみました。
小島環を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「友人たちと起業した『株式会社エンターファイナンス』で、金融教育の事業に取り組んでいます。
おもに、小中高生向けのボードゲーム『金融すごろく』を作っていて、学校の授業に導入してもらったり、家庭向けに販売したりしてきました。いまは、そのデザインとかルールのリメイクに取り組んでいるところで、より多くのひとに届けることを目指しています」
Q2. 活動をはじめたきっかけは?
「高校のとき、帰国子女が約半分を占めるクラスに所属していたんです。休み時間とかに話していても、彼らは、自然にお金とか政治の話をするんですよね。それがずっと日本で過ごしてきた自分からすると、結構カルチャーショックで。
興味を持って調べてみたら、日本の金融教育が遅れていることに気づいたんです。他の国と同じように、子どものころから金融教育をおこなっていくのが重要なんじゃないかなと思い、高校2年生のとき友人たちと起業しました」
Q3.どんなことをテーマに活動をおこなっていますか?
「小学校くらいのころからずっと、宇宙と金融と農業に関心があります。いまは、金融というひとつの分野で活動しているけど、いつかは全部を掛け合わせて、宇宙で農業をやりたいと思っているんです。
そういう、やりたいことをやるっていう姿勢は小さいころからずっとあって。高校時代には、気がついたら自転車競技部、柔道部、地学部、社会研究部の4つの部活に入っていました。いまもアラビア語をやっていたり、茶道にハマっていたりします」
Q4.最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「『アンパサンド株式会社』の支援を受けながら、新たにインバウンドの事業を立ち上げました。これから、学生ガイドと外国人観光客をつなげるサービスを提供していく予定です。
この事業に関しても、帰国子女の友だちと話したことがきっかけになっていて。もともと、日本では英会話をやる機会があまりないのと、あったとしても料金が高すぎるのをどうにかしたいと思ってたんです。逆にその友だちは、日本は英語が話せるガイドの数が少ないし、ガイドはいるけれど内容もコモディティ化していて、リピーター層に刺さらないことが問題だって話していて。
であれば、学生が英会話を学ぶ機会として、観光ガイドがあるのではないかと思いつきました。外国人観光客も、また新たな視点から日本の魅力に気が付くことができるし、そこのニーズが合うんじゃないかなと考えたんです」
Q5. 今後の展望は?
「金融教育もインバウンドも、まだまだ駆け出しなので、これからはより多くのひとに届けていきたいです。でも、ただ届けるだけじゃなく、顧客視点を大切にしていきたくて。金融すごろくに関しては、実際にルールなどを教える先生とか、保護者へのサポートの仕組みも整えているところです。
自分はいま、闇バイトのようなお金に関する問題が多いなかで、小中高生が金融リテラシーを身につけることに、本当に価値があると思っていて。それが、結果的にはこの国を良くしていくと信じています。ゆくゆくは、日本だけじゃなく、アジアやアフリカにも金融教育を広めていきたいです」
小島環のプロフィール
年齢:19歳
出身地:東京都練馬区
所属:株式会社エンターファイナンス、アンパサンド株式会社、慶應義塾大学総合政策学部
趣味:茶道、サイクリング、読書
特技:納豆を混ぜること
大切にしている言葉:躬行実践
Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai