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人類が宇宙で安全に活動できるように。「バイオシールド」の研究開発に取り組む大学生【山本若菜・19歳】

人類が宇宙で安全に活動できるように。「バイオシールド」の研究開発に取り組む大学生【山本若菜・19歳】

「気になる10代名鑑」の909人目は、山本若菜さん(19)。宇宙放射線や紫外線から人間を守る「バイオシールド」の研究開発に取り組んでいます。友人の「宇宙飛行士になりたい」という言葉が活動のきっかけだと話す山本さんに、活動の悩みや印象的な出会いについて聞いてみました。

山本若菜を知る5つの質問

Q1. いま、力を入れていることは?

「若者の活動を支援するプログラムである『100BANCH』を拠点に、『バイオシールド』の研究開発をおこなっています。バイオシールドとは、宇宙に滞在するときに、宇宙放射線や強い紫外線から身体を守るためのものです。

わたしは、地球に住む人類が他の惑星に移住する未来は必ずあり得ると考えていて。人類が新たなフィールドに飛び込んでいくのをサポートする製品を開発したいと思っています。バイオシールドはその第一歩です。

いまは、生物学の視点からバイオシールドに使用する素材を探していて。イシクラゲの色素が候補に挙がり、日々実験をおこなっているところです。あとは、安全面だけじゃなくて、地球の文化を受け継ぐ文様にするとか、生活の中で元気をもらえるような、デザインも重視したものを作りたいと考えています」

 

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Q2. 活動をはじめたきっかけは?

「小さいときから、両親が科学館や博物館によく連れて行ってくれていたので、ずっと宇宙や科学の分野に惹かれていました。

直接のきっかけになったのは、小学3年生のときのこと。サイエンスについて語り合う友達がいたんですけど、その子が『宇宙飛行士になりたいんだよね』って話してくれて。わたしも、宇宙飛行士には興味があったけど、それ以上に宇宙での被ばくが怖いなって思っていたんです。そういうのを恐れる自分がいたからか、話を聞いたときに『自分がその子のことを守るものを作れたらいいな』と漠然とした考えが浮かびました。

そのエピソードを昨年の春くらいに急に思い出したんです。振り返ってみると、高校で放射線の研究に少し触れたことがあったり、もともと生物学が好きだったり、それまでの自分の行動がバイオシールドの研究につながっていると気づいて。『わたしがやりたいことはこれだ』って思って、バイオシールドの実装のための活動をはじめました」

Q3.活動をする中でつらかったことは?

高校生のとき、文理選択や進路選択にすごく悩みました。

国語や社会にも興味があったけれど、理系を選んだら文系科目の学びがストップしてしまうじゃないですか。どちらかを選ぶことによって、せっかくいままで広げてきた視野が狭まってしまうのが、受け入れられなかったんです。それで、最低限の科目を取ったら、あとは自分は勉強するっていう選択をしたんですけど、そういうので悩んでいるうちに、自分の好きなこともよくわからなくなってしまって。

結局、高校3年生の1月に、いまは大学に行くのはやめようって決めました。でも、おかげで自分と向き合う時間が持てて。やっぱり宇宙が好きだなって気づけたし、バイオシールドの研究開発の内容もその期間で固めていくことができました。すると、おのずと自分に合う大学も見つかっていって、今年の春AO受験をして、9月に大学に入学しました」

Q4.活動をしている中で、印象的だった出来事は?

「高校生のころクマムシの研究をしたいと思っていたんですけど、学校には必要な設備が揃っていなかったし、教えてくれるひともいなかったんです。

でも、高校2年生のころ『UTokyoGSC』に参加したときの仲間が、東大赤門前の顕微鏡屋さんを紹介してくれて。顕微鏡の使い方とか、いろんなことを教わっているうちに、今度はそこで出会った人がクマムシの研究をしている先生とつなげてくれたんです。その先生は、それからずっとわたしの研究をサポートしてくれました。

この経験を通じて、自分の行動がいろんな出会いにつながっていくんだなっていうことに気付いて。でも逆に言えば、自分の行動がないとどこにもつながっていかないっていうことでもあるから、いまは考えるより前に行動しようって思って活動しています」

Q5. 今後の展望は?

今年の4月から、『100BANCH』での活動と並行するかたちで、いま通っている大学の山形にあるキャンパスを拠点に、バイオテクノロジーに関する研究を深めていくつもりです。

バイオシールドの研究開発は、徐々にパワーアップしながら、実現していきます。その他にも、人類の宇宙進出を支える新しいプロダクトをたくさん世に送り出していきたいです」

山本若菜のプロフィール

年齢:19歳(2005年4月23日)
出身地:東京都江東区
所属:慶応義塾大学SFC、100BANCH
趣味:イシクラゲ探しの散歩、一人旅、読書
特技:運動、料理
大切にしている言葉:可能性の限界に挑む

山本若菜のSNS

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Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai

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Fuka Hagai

ライター

2003年生まれ、愛知県出身。立教大学社会学部メディア社会学科 在学中。Steenzには2024年より参加し、学生ライターとして「気になる10代名鑑」のインタビュー記事制作に携わる。

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