「気になる10代名鑑」の857人目は、石井百香さん(19)。高校生のころから『Get CHANCE』という学生団体に所属し、中学生向けの無料のオンライン塾を運営するなど、教育格差の解消を目標に活動しています。『日本の次世代リーダー養成塾』への参加が活動のきっかけだという石井さんに、活動についてあれこれ聞いてみました。
石井百香を知る5つの質問
Q1. いま、力を入れていることは?
「学生団体『Get CHANCE』に所属して、教育格差の解消に向けた活動をしています。
メインの活動は、中学生を対象とした、授業料無料のオンライン塾の運営です。塾に通うのは経済的に難しいけれど、勉強をしたい中学生と、教える経験をしたいボランティアの先生とを結びつける形で実現しています。いまは約20人の生徒がいて、ひとりひとりに合った学びを提供することが目標です。
勉強のほかにも、学校ごとの進路指導とかの面でも格差はあると思っていて。進路選択に関する講演会や、参考書を集めて必要な人に配る活動など、いろんなアクションを起こしています」
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Q2. 活動をはじめたきっかけは?
「高校1年生のとき、『日本の次世代リーダー養成塾』に参加したんです。全国から200人くらいの高校生が集まって、2週間にわたって、各界で活躍されている人の講演を聞いたり、社会問題に関して議論したりするイベントで。いくつかのクラスに分かれて議論をおこなうんですけど、わたしたちのクラスでは、教育格差をテーマにしました。それがひとつのきっかけになって、クラスのメンバーを中心に『Get CHANCE』を立ち上げて。
もともと、教育には少し関心があるくらいだったんです。でも、このイベントを通じて全国の高校生と知り合ったことで、地域ごとの教育格差を身をもって実感して。それも大きなきっかけになりましたね」
Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「活動資金集めのために、街頭募金をおこなったときのことです。
はじめは、とにかく手探りで。誰にどんな声掛けをしたら興味を持ってくれるのかとか、いろいろ考えながらやっていました。そうしていると、たまに財布をひっくり返す勢いで募金してくれる人とか、『頑張ってね!』って言って、握手しながら手渡ししてくれる人がいるんですよ。それに感動して。自分が声を上げれば、応援してくれる人がこんなにいるんだって分かって、原動力になりました。
あと、普段は基本的にオンラインで活動をおこなっていることもあって、直接、人のあたたかさに触れられたことも印象的でした」
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Q4.最近、新しく始めた挑戦はありますか?
「8月から一時的に休団して、学童でアルバイトをしています。
これまでとは違う環境を知りたくて、クラスの全員が受験するような地域の、学童と塾を兼ねたような施設を選びました。働いてみて感じたのは、子どもにとっては、周りの人の関わり方が何よりも重要だってことです。もちろん、経済的な格差は、教育の機会格差を生んでしまうけれど、たとえ機会に恵まれていても、そこで保護者や周りの大人とのコミュニケーションがきちんと取れていなければ、子ども自身は必ずしも幸せなわけじゃない。経済格差だけが原因じゃないんだって気付いて。
わたしも改めて関わり方を勉強したいと思ったし、子ども自身の意思を尊重して、本人がやりたいと思えるように働きかけていきたいなって思うようになりました」
Q5.今後の展望は?
「団体としては、新たなプロジェクトを立ち上げようとしているところです。いままでは子どもたちの受験そのものを目標にやってきたんですけど、それより先、大学に入った後のことも見据えた活動を展開していこうと思っていて。あとは、オンラインだけじゃなくて、対面での活動もより増やしていくつもりです。
個人としては、まずは大学生の間、いまの団体での活動を続けていきたいと考えています。あとは、『日本の次世代リーダー養成塾』に学生アドバイザーとして参加したいと思っていて。自分の活動の原点だし、人に教えたり、自分の経験を伝えたりすることも好きなので、次はそうした立場からも関わってみたいです」
石井百香のプロフィール
年齢:19歳(2005年10月6日)
出身地:佐賀県
所属:早稲田大学 文学部、Get CHANCE
趣味:旅行、外国語を勉強すること、読書
特技:一輪車
石井百香のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Fuka Hagai