「気になる10代名鑑」の789人目は、とわさん(16)。幼少期の舞台鑑賞をきっかけに演劇に興味をもち、演劇の可能性を探るために、イギリスへの留学を予定しています。『好きなもので世の中を少しだけでも良い方向に変えていきたい』というビジョンをもつとわさんに、活動を始めたきっかけや今後の展望について聞いてみました。
とわを知る5つの質問
Q1. いま、いちばん力を入れていることは?
「演劇の力で世の中の問題を身近にするというビジョンをもっていて。本格的に演劇を学ぶために、7月からイギリスに留学に行きます。いまはその準備として、イギリスの文化や演劇についてさらに勉強を重ねています。
もともと父が演劇の仕事をしていることもあって、演劇は小さなころから、生活の一部のような感じでした。中学生になったら演劇部に入って、演技や裏方にも挑戦してきましたが、高校には演劇部がなくて。それなら思い切ってイギリスに行って、本場の演劇に肌で触れようと思ったんです」
Q2. これまでに印象的だった出来事は?
「父の勧めで、National Theatre Liveの『Life of Pi』を観たことです。これは、イギリスのナショナルシアターが製作した舞台を、映画館で上映するプログラムで。
小道具から照明まで、すべてが新鮮で。演者が全力で自分の気持ちを演劇に乗せて表現している姿に、本当に衝撃を受けました。見終わった後、『何もしないではいられない!』という思いが止まらなくなって。でも当時は、身の回りでも演劇と関われる環境がなくて、自分を支えていた演劇から離れていたことで、心の居場所を失っていたんです。
そんなときに、たまたま『トビタテ留学』を知りました。日本で演劇ができないなら、いっそのことイギリスに行って、プロの演劇を自分の五感で感じようと思いました。世の中にある問題も、演劇の力で解決できることがあると信じているので、演劇の可能性を見つけることが、留学の大きな目的です」
Q3. 活動をする中でつらかったことは?
「演劇の研究以外にも、三年前から続けている子ども食堂での活動もあって。やりたいことと、やらなくてはいけないことがたくさんあって、身も心もクタクタになってしまって。結局、二兎追って一兎をも得ずの状況になっているような気もしています。
日々、本当にやりたいことに向き合う余地が許されていないことを実感するんです。でも、二兎追うことが悪いことだと思っていないので、たとえ二兎を捕まえられなくても、二兎とも仲良くしていく方法を模索しています」
Q4. 影響を受けた作品は?
「演劇以外にも、映画、本、音楽、絵画、芸術関係はほとんど好きです! 芸術は自分の知らない世界を教えてくれるので、新しいことに飛び込むことが好きなわたしにとってピッタリなんです。
特に、学校で観た『いまを生きる/Dead Poets Society』という映画には、大きな感銘を受けました。観た後の余韻もすごくて、学校のあるべき姿や、学ぶことの意味、芸術の意義と情熱について、ソファの上でずっと考えてしまいました」
Q5. 今後の展望は?
「まだ『これだ!』というものがないんです。でもずっと『演劇に触れつづけたい』という気持ちは心に残り続けていて。
世界をよりよくするためのアプローチって、多面的だと思うんです。でも結局、最後に物事を動かすのは人間なので、人の心を動かす『演劇』って最強なんじゃないかと。
わたしと同じように、好きなもので世の中を少しだけでも良い方向に変えていきたいと、情熱や探究心をもっている人はたくさんいるはず。そういう人がひとりぼっちにならないための、心の居場所をつくっていきたいなと思っています」
とわのプロフィール
年齢:16歳
出身地:愛媛県松山市
所属:佼成学園女子高等学校SGコース、西荻・寺子屋食堂 学生ボランティア、トビタテ留学Japan9期生、スズキ・メソード フルート科
特技:歌うこと
大切にしている言葉:物語が世界を動かす
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photo:Eri Miura
text:Mizuki Maeda