Steenz Breaking News

国全体がサステナブルな取り組みであふれる!観光立国・モナコ公国で実現する全方位型サステナビリティ【Steenz Breaking News】

国全体がサステナブルな取り組みであふれる!観光立国・モナコ公国で実現する全方位型サステナビリティ【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、モナコのサステナブルな取り組みについてご紹介します。

人や環境に優しい国を目指すモナコ

世界で2番目に小さい国・モナコ公国(以下:モナコ)は、ヨーロッパ南部に位置し、高級リゾート地として知られる国です。F1の世界選手権「モナコグランプリ」や、親日家であった、故・モナコ公妃「グレース・ケリー」を思い、造られたヨーロッパ最大級の日本庭園など、世界的に有名な大会や観光名所も多数存在します。

そんな、華やかな部分が注目されることの多いモナコですが、実は、サステナブルな取り組みにも力を入れています。2020年12月に開催された「気候野心サミット2020」では、モナコのアルベール2世大公が、「2030年までに温室効果ガス排出量を1990年より55%削減し、2050年にはカーボンニュートラルをめざす」といった内容のスピーチをしました。

こうした強いリーダーシップが、さまざまな取り組みを後押ししています。

例えば観光面では、ホテルや観光名所、イベント会場などでは、クリーンエネルギーで動く空調設備を導入したり、ホテル内のレストランにて提供される魚介類を、持続可能な方法で獲られたものだけを使用したりと、その取り組みは徹底しています。

また交通面では、電気自動車「MOBEE」や電動アシスト自転車のレンタルもおこなっており、さらに、太陽電池で動く水上バス「BATEAU BUS」も、市民の足として活躍しています。

モナコ国内の駅や公園に設置された図書館「A picina bibliuteca」

そして、その取り組みはホテルやイベント会場にとどまらず、街中でおこなわれています。

例えば、モナコ国内に設置されている、簡易図書館「A picina bibliuteca」。この図書館では、不要になった本やレコード、CD、DVDなどを図書館へ寄付でき、寄付されたものを他の人が借りられるようになっています。「A picina bibliuteca」の利用者が増えることで、廃棄物の減少につながり、「使わなくなったら捨てる」という考えから、「循環して繰り返し使う」というカルチャーを根付かせると期待されているのです。

この取り組みは2019年から始まり、エコール・ド・フォンヴィエイユの近くにある庭園「ジャルダン・ドゥ・ランヌ」に初めて設置されました。その後、モナコ・モンテカルロ駅にもつくられ、現在も拡大を続け、国内全域に設置することをめざしています。

 

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また、プリンセスアントワネット公園とラ・コンダミーヌ市場にも、循環型経済の促進を目的とした、共有図書館「Làscia e Piya!」が2023年にオープンしました。プリンセスアントワネット公園の図書館では、一般向けの書籍や漫画、小説などがあり、ラ・コンダミーヌ市場には、幅広い年齢層を対象とした小説やエッセイなどがそろえられています。

修理専門のワークショップ「Mùnegu Repair Café」

 

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ラ・コンダミーヌ市場では、共有図書館以外にも、サステナブルな取り組みが行われています。それが、修理を専門としたワークショップ「Mùnegu Repair Café」です。

「Mùnegu Repair Café」は、ニースの修理や縫製の技術に長けたボランティアチーム「Repair Café Nice」の協力で2022年3月から開催されています。ミシンやヘアドライヤー、レコードプレーヤーなど、持ち運びが可能な製品と衣類が修理の対象。ワークショップは毎回、大きな成功を収めており、これまで数百台の製品が修理されてきました。

たとえ修理をする機会だけを提供しても、製品を持っている市民がいて、「直して使おう」という意思がなければ、ワークショップは成立しません。これだけ多くの修理を行ったということは、それだけ「物を大事にしたい」「廃棄物を減らしたい」と思っている市民が大勢いるということでしょう。環境配慮に対する、モナコ市民の意識の高さが伺えます。

日本でも広がる、ものを大切にする取り組み

日本でも、規模や対象者は異なりますが、「A picina bibliuteca」や「Làscia e Piya!」がおこなう共有図書館と似た取り組みを、旭化成ホームズなどでも実施しています。また、渋谷・原宿エリアにショップを構える多様なブランドが合同で行うリペアイベント「DO REPAIRS」が開催されて人気を集めるなど、ものを大切に扱い、直しながら長く使うというカルチャーが紹介されてきています。今後、日本でもますます、モナコで行われているような取り組みが広がっていくと嬉しいですね。

Reference:
モナコ基礎データ|外務省
モナコ公国 日本庭園|株式会社 別府梢風園
アルベール2世大公が「気候野心サミット2020」でモナコの温室効果ガスの排出量を2030年まで当初の目標50%減から55%減へ刷新することを発表|PRTIME
サステナブルな取り組みで世界をリードするモナコ公国での「レスポンシブル・ラグジュアリー」をテーマにした経営陣研修のご提案|株式会社チコ
モナコ政府観光会議局
MONACO STATION HAS NEW ATTRACTION FOR BOOK LOVERS|NEWSMC
“Làscia e Piya”: community libraries|Monservicepublic
“LEAVE AND TAKE” LIBRARIES LAUNCHED IN MONACO|monacolife
Munegu Repair Café : après le Réparathon, un rendez-vous à l’année au marché de La Condamine|La Gazette Monaco
Fix your broken appliances at Mùnegu Repair Café on Saturday|La Gazette Monaco

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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