「気になる10代名鑑」の582人目は、萌日さん(18)。発展途上国に質の高い教育を届けたいという思いから、日本の絵本を英語に翻訳するというアクションを起こしています。将来は世界との架け橋になりたいと語る萌日さんに、活動を始めた理由や今後の展望について、詳しく聞いてみました。
萌日を知る5つの質問
Q1. いまいちばん力を注いでいる活動は?
「世界中のすべての人が、質の高い教育を受けることができるようなればという思いで、日本語の絵本を英語に翻訳する活動をしています。
発展途上国には、朝早くから水を汲みにいかなくてはいけなかったり、仕事をしなければいけなかったりする子どもがたくさんいます。そういう子どもも、日本と同程度の教育を受けられるようになればと思っています。
絵本は、子どもが最初に手にする知識だと思っていて、読んでいるだけでイメージがわいたり、わくわくした気持ちになれたりする、大切な教育ツールだと思っていて。ただ翻訳するだけでなく、背景知識や説明を交えながら翻訳することを意識しています」
Q2. そのテーマで活動を始めた理由は?
「高校2年生のとき、授業でSDGsと健康問題についてプレゼンをする機会があったんです。わたしは『水』をテーマに選んで、調査しました。その中で、発展途上国の水質の悪さや、水へのアクセスの問題を初めて知って……。日本で生きていると、清潔な飲み水が水道から出てくることが当たり前だったから、衝撃を受けました。
中学生のときに『カカ・ムラド‐ナカムラのおじさん』という本を読んでから、自ら行動を起こすことが大切だと考えているんです。小さくても一歩踏み出すことができれば、それに共感してくれる人が出てきて、いずれ大きな輪になって、課題解決につながっていくんじゃないかと思っていて。それで、自分で何か行動できたらと思って、活動をはじめました」
Q3. 課題に対するアクションの、最初の一歩目は?
「最初にやったのは、使い捨てのカイロ集めです。使い捨てのカイロを使って水質改善ができることを、テレビを見て知っていて。わたしが通っている高校は、幼稚園から高校まであるので、かなりの量が集まるんじゃないかなと思ったんです。
下校のときに入れてくれることを期待して、下駄箱の近くに回収の箱を設置しました。ただ箱があっても、なんで集めているのか理由が分からないと思ったので、どのような活動がしたいのか、現状はどうなっているのかなどを、朝礼や放送でプレゼンをしました。結果として、16kgものカイロを集めることができて。実際に巴川の水で実験をして、学園祭で結果を展示したりもしました」
Q4. 印象的だった出会いはありますか?
「NPO法人せいぼの山田さんとの出会いです。マラウイの現状について、話を聞くことができるイベントを学校の先生から教えてもらって参加しました。そこで、マラウイの現状だけでなく、コーヒーのフェアトレードの話なども聞いて、山田さんみたいにいろいろな活動ができたらと思うようになりました。
山田さんにはたくさんの素敵な機会をいただいていて。ただボランティアに参加して終わりではなく、つながりがつくれたり、当事者の人の声を自分の耳で聞くことができたりします。ほかにも、表現方法や相手に寄り添った課題解決方法の考え方など、山田さんのおかげで得られたものは数えきれません」
Q5. 今後の展望は?
「世界との架け橋になれるような人になりたいです。具体的にどんな仕事に就きたいかは、まだ考えている途中なんですけど、何かしらの形で英語を使っていけたらいいなと考えています。
進学予定の大学は、外国からの留学生も多くいるので、いろいろな人と積極的にコミュニケーションをとって、英語のスキルを高めつつ、仲良くなりたいです。そして声をあげられない、あげにくい国に住んでいる人たちの声を実際に聞いて、一緒に課題解決をめざしていけたらなと思っています。努力は人を裏切らないと思っているので、これからも勉強を続けていきたいです」
萌日のプロフィール
年齢:18歳
出身地:静岡県静岡市
所属:静岡サレジオ高等学校
趣味:なにわ男子を応援すること、友達とおしゃべりすること、飛行機が大好き
特技:すぐに友達を作れること、縄跳び
大切にしている言葉:I can do it.
Photo:Eri Miura
Text:Chikiri Kudo