世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカでのコーヒー農園の実態についてご紹介します。
ブルンジで出会った年収6000円のコーヒー農家の女性
アフリカ大陸の中心に位置するブルンジ共和国は、北海道の3分の1ほどの面積の小さな国です。筆者がブルンジのコーヒー農園を歩いているとき、ひとりのコーヒー農家の女性に出会いました。彼女の年入はおよそ6000円で、年に3か月間のみのコーヒー豆収穫時期に得られるのだそう。驚くことに彼女は「人生で一度もコーヒーを飲んだことがない」と話していました。
ブルンジは世界最貧国とされており、人間開発指数(HDI)によると、国民の70%以上が、1日約200円以下で暮らしています。また、国民の90%は農民として生計を立てているものの、輸出品のほとんどはコーヒーと紅茶であり、外貨収入の90%を占めています。
世界最貧国で生きるために
ブルンジ産のコーヒーや紅茶は、アジアやヨーロッパに輸出されており、中には世界各地でコーヒーや紅茶を販売している、グローバルな大企業とも取引があるような巨大なプランテーションが数多く存在します。しかし、そういった農園でいま問題になっているのが、性暴力をはじめとした、著しい人権侵害です。
大企業が経営する農園では、多くの女性が農家として働いていますが、管理職やマネージャー職の男性による性暴力の被害が報告されており、その多くは仕事を得るタイミングで起きています。
雇用先が少ない国で、農家として働く機会を求める女性に対して、仕事を与える見返りに性行為を要求したりまた、過酷な労働で体に痛みを訴える女性の農家に対して、楽な仕事を与えるという約束のもと、被害に遭ったというケースも報告されています。
経済が発展しておらず、農業という仕事が唯一の収入を得る方法である多くの女性にとって、組織内での性暴力を防いだり、回避することは非常に困難なのです。
500円のコーヒーのうち農家が得られるのは5円以下
ブルンジでは、ベルギーの植民地だった1930年に、コーヒーの苗木が持ち込まれ、コーヒー栽培が始まりました。ヨーロッパやアジアで暮らす人々たちにとって、コーヒーは毎日のように親しまれていますが、安さを追求する消費者によって、世界最貧国の農家が苦しんでいるという現状があります。
わたしたちは普段、500円ほどでコーヒーや紅茶を楽しむことができます。コンビニコーヒーなどはもっと手軽です。しかしそんなコーヒーで、生産者が手にする現金は、そのわずか100分の1だといわれています。わたしたちが飲んでいるコーヒーや紅茶には、いったいどのような背景があるのか、ティータイムに考えてみませんか。
Reference:
International Monetary Fund「GDP per capita, current prices」
BTI「BTI 2022 Burundi Country Report」
IFAD「Burundi」
The Fintech Times「Burundi: Fintech Landscape and Potential In The World’s Poorest Country」
Text:Hao Kanayama