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東アフリカにおける“物乞い”と人身売買のリアル。標的にされる障がい者も【Steenz Breaking News】

東アフリカにおける“物乞い”と人身売買のリアル。標的にされる障がい者も【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、東アフリカにおいて、障がいをもつ人が物乞いの犠牲になっているという実態にについて、ご紹介します。

ビジネス化する物乞い

アフリカの多くの国で街中を歩いていると、頻繁に物乞いをされる経験をします。特に都市で物乞いをする人はかなり多く、その中には障がいをもった人も多くいます。物乞いというと路上生活者を思い浮かべることが多いですが、物乞いをするために早朝に街に出て、夜になると家に帰るという人もいます。

このように、物乞いがお金稼ぎの手段となっている中、東アフリカで、障がい者を対象とした人身売買が問題となっています。

貧しい家庭を狙う人身売買

物乞いのための人身売買。その舞台となるのは、周辺国の貧しい村です。人身売買のブローカーはこういった村に行き、「障がいのある子どもを数か月間、ケニアに送ることで、物乞いで稼ぐことができる」という口約束で連れて行きます。村に住む人は、発展した国の都市に行けば、物乞いとはいえ稼げると信じていて、貧しい家庭にお金が送られてくることを想定して、子どもを送り出します。実際、アフリカの貧困は非常に厳しく、子どもへの食事の提供も十分でないため、たとえ家から離れてしまっても、物乞いをさせるのが全員にとってよい解決策だと考えるのです。

しかし現実は、口約束の内容とは異なります。人身売買で連れて行かれた障がいをもつ子どもは、特定されにくいスラムで人身売買者と暮らすケースがほとんどです。朝になるとバイクやバスの運転手が迎えにきて、マーケットなど人の多いところに連れて行かれ、一日中物乞いをさせられます。そして夜になると同様に迎えがきて、スラムに帰ります。

驚くことに、1日1.9ドル以下で暮らす人が人口の約4割を占めるケニアで、物乞いの人が1日で手に入れる金額は約20ドルといわれています。しかし、そのお金はすべて人身売買者が搾取し、物乞いをさせられている当事者やその家族には、一切お金が入りません。

さらに、障がいをもつ人が家族のもとから離された場所で、自らその環境から逃げるのは困難です。新しい土地で助けを呼べる人はいないうえ、お金がなかったり、ひとりで自由に行動するのが不可能であったりするからです。物乞いをしている間に、逃げたり知らない人に声をかけられるのを避けたりするために、見張られている可能性もあります。

その施し、本当に彼らを救っている?

東アフリカの国々において、こうした人身売買は、管理をしているボスと、彼らに雇われて、子どもや障害をもった人の世話をする人が存在し、組織化しているともいわれています。こういったケースでは、実態を把握し、こうした人権侵害を防ぐことが難しくなります。さらに、賄賂も横行しているため、政府や警察が正当に機能することは稀です。警察が物乞いをする子どもを逮捕することがありますが、刑務所に収監され、数日後に解放されるケースがほとんどです。

わたしたちが海外を旅するとき、物乞いを見かけたり、接触したりすることもあるでしょう。しかし、彼らが必ずしもその行為によって助けられているとは限りません。また国によっては、物乞いの人に金銭を渡すことが法律で禁止されているところもあります。物乞いの人を支援したい場合は、信頼できる団体や組織を通して、透明性のある方法で支援しましょう。

Reference:世界銀行「PovcalNet」

Text:Hao Kanayama

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Hao Kanayama

ライター

16歳、初アフリカ大陸上陸。19歳、アフリカ10か国放浪。20歳、ウガンダ移住。ウガンダの現地の会社とNGOの職員として、ストリートチルドレン、シングルマザー、薬物中毒者、孤児の支援を行う。不条理で不都合な世界だけど、その先にある希望を求めて歩き続ける、アフリカの人々の暮らしをわたしの目線から伝え続けたい。少数民族と木登りとテクノがスキ。

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