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アメリカの家庭裁判所や小学校が導入!児童書の自動販売機「Inchy’s Bookworm Vending Machine」【Steenz Breaking News】

アメリカの家庭裁判所や小学校が導入!児童書の自動販売機「Inchy’s Bookworm Vending Machine」【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、アメリカで設置が進んでいる、児童書の自動販売機についてご紹介します。

アメリカの家庭裁判所に設置された児童書の自動販売機

アメリカのアラバマ州にある、ジェファーソン郡の家庭裁判所の2階には、少しめずらしい自動販売機が置いてあります。「Inchy’s Bookworm Vending Machine」という名前の自動販売機は、裁判所を訪れる子どもたちのストレス緩和を目的に設置されました。


この「Inchy’s Bookworm Vending Machine」の中にあるのは、普通の自販機にあるような飲み物や食べ物ではなく、さまざまな児童書。子どもたちは専用のコイン「トークン」を使って、無料で好きな本を手に入れられます。

この自動販売機は、ジェファーソン郡の児童政策協同組合やアラバマ大学バーミンガム校などの支援によって設置され、州内のテレビ局からは、就学前から小学3年生向けの児童書、6か月分が寄贈されました。

この「Inchy’s Bookworm Vending Machine」の導入は、子どもたちに読書の楽しさや大切さを伝え、識字率の向上を促進させるという目的から、現在、全米各地に広がっています。家庭裁判所以外にも、公共の図書館や小学校などにも設置されているのです。

どうすればトークンがもらえるの?

「Inchy’s Bookworm Vending Machine」の操作方法は、一般的な自動販売機と変わりません。専用のコインである「トークン」を自動販売機に入れ、本を選択するだけです。


設置した多くの学校では、「Inchy’s Bookworm Vending Machine」と、アメリカの教育に関するサポートプログラム「PBIS(ポジティブな行動介入と支援)」を、組み合わせた方法を採用しています。

ポジティブな行動を起こした生徒に対して、その報酬としてトークンをプレゼント。生徒はもらったトークンを使って、好きな児童書や書籍を手に入れます。これによって、子どもたち自身が、積極的にポジティブな行動を起こすようになるそう。さらに読書の習慣化にもつながるため、子どもたちにとってもいい取り組みだといえるでしょう。

2023年7月30日時点で、6,150台もの「Inchy’s Bookworm Vending Machine」が設置されていますが、まだまだ増えそうです。

すべての子ども達が平等に読書機会を得られるようにサポート

アメリカの教育省によると、恵まれない家庭環境で育った子どもたちは、文字を読んだり書いたりする能力が、他の子よりも遅れてしまうことが多いそう。その理由はさまざまなですが、本を読む機会が少ないこともひとつの理由だと考えられています。このような問題を改善するために、「Inchy’s Bookworm Vending Machine」は、家庭環境に関係なく、子どもたちの学びのサポートができる好事例として、積極的に導入が進められているのです。

同じような自販機を日本で設置するとなると、維持費や本の補充など、さまざまな問題が出てきそう……ではありますが、もし実施されたら、きっと子どもたちにいい影響を与えてくれるでしょう。

また読書体験というのは、識字能力の向上は勿論ですが、さまざまな言葉や考え方に出合うきっかけにもなります。そういった体験もできるからこそ、子どもだけではなく、10代やそれ以上の世代にも、この「Inchy’s Bookworm Vending Machine」のように、もっと気軽に本に触れる機会が生まれるといいですね。

Reference:
Book Vending Machines|Inchy’s Bookworm Vending Machine
Book vending machine at Jefferson Co. Family Court|WBRC
Birmingham adds children’s book vending machine to courthouse|AL.com

Text:Yuki Tsuruda

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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