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フランスパンが世界遺産に!文化遺産登録をした意図は?【Steenz Breaking News】

フランスパンが世界遺産に!文化遺産登録をした意図は?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、フランスのバゲットが無形文化遺産に登録されたことについてご紹介します。

バゲットが無形文化遺産に登録

 

2022年11月30日に、ユネスコがフランスの「バゲット」を無形文化遺産のリストに追加しました。

「無形文化遺産」とは、その土地の歴史や風習、生活などと密接に関わる「形のないもの」が対象となります。ではなぜバケットが、無形文化遺産に登録されたのでしょうか。

 

 

理由のひとつに、バゲットを作る職人や専門店の減少があります。スーパーでパンを手軽に購入できるようになったことに加え、人々の食の好みも、時代とともに少しずつ変化していきました。その結果、フランスでは、毎年400ものバゲット専門店が、お店を閉じることを余儀なくされているそう

さらに最近では、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、小麦などの原材料価格やエネルギー価格が高騰し、さらに状況は厳しくなる一方……。このまま専門店や職人が減少すれば、気軽にバゲットが買えなくなる可能性もあります。

つまり、今回の無形文化遺産登録は、バゲットそれ自体というより、「バケットを作る職人の技術」や「食文化」の保護が目的となっています。フランスは技術や食文化を守るために、6年もかけて申請に必要な資料を集めました。

日本にも22の無形文化遺産があるんです!

2022年時点で日本には、22もの無形文化遺産が存在します。登録されているものは、「歌舞伎」や「和紙」といった有名なものから、「チャッキラコ」や「題目立」など、あまり聞きなじみのないものまで。そのなかには、日本文化の象徴である「和食」も含まれています。

和食は、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」「栄養バランスに優れた健康的な食生活」「自然の美しさや季節の移ろいの表現」「年中行事との密接な関り」の4つのキーワードから、「日本人の伝統的な食文化」として申請され、2013年12月に登録されました。

 

しかし近年は、日本でも「和食離れ」が進んでいるのが現状です。原因としては、洋食が主流になったことや、インスタント食品の進化などもあるでしょう。つまり、和食の無形文化遺産登録にも、「和食の衰退」や「和食の希少化」を防ぐという意図が含まれているのです。

無形文化遺産は、伝統や技術を次世代につなぐ

技術の発展とともに、便利な世の中になっていく一方で、その影ではフランスやバケットや和食のように、これまで大事にしていた伝統や文化、技術などの存在が薄れていっています。それらを次の世代へつなぐためにも、興味を持ったり実際に触れる機会をつくったりすることはとても大切。

世界にまだまだあふれる、たくさんの文化財や歴史財。それらが、どういう意図を持って登録されているのか、その理由や背景を調べてみると、面白い発見があるかもしれません。

Text:Yuki Tsuruta

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Yuki Tsuruda

ライター

鹿児島県在住のフリーライター。販売職や事務職を経験後、2020年5月からフリーランスのライターへ。執筆ジャンルは、ものづくりやSDGsなど。

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