Teen's Snapshots

痛みと向き合い、愛しながらトラウマを克服するアーティスト【鈴木紅璃・18歳】

痛みと向き合い、愛しながらトラウマを克服するアーティスト【鈴木紅璃・18歳】

「気になる10代名鑑」164人目は、鈴木紅璃あかりさん(18)。「紅璃を灯す芸術家」として、自分の経験や考えをテーマにしながら、強烈な叫びを形にするアーティスト。今回は、鈴木さんの内なる思いや、いま向き合っていることについて、聞いてみました。

■鈴木紅璃を知る10の質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「神奈川県出身で、芸術活動している18歳です。中学時代までにさまざまな抑圧を受けたことで、作品を通して表現する必要に迫られ、中学3年生のときから本格的に作品づくりをはじめました。

現在の主な活動は『活きること』です」

 

Q2. 「活きること」について詳しく教えてください。

「わたしは、自分自身と真剣に対話してはじめて『活(生)きている』と言えると思ってます。​​だから、集団や対人関係において起きる構造上の問題と、それによって生じる痛みと向き合って、作品をつくってます。

たとえば私は、赤毛でつくった赤ヘルをかぶって『紅軍』として学生活動をしてるんです。これはクォーターの私が赤毛という理由だけでいじめられた経験から、差別の警鐘として始めました。人間って、血とか赤信号とか、赤いものを見ると危険だと感じるじゃないですか。それに自分の赤毛と名前の『紅』、頭を守る髪とヘルメットをかけてみました」

Q3. 何を心掛けて活動していますか?

『みんなに伝わる表現』で自分の精神性が損なわれるくらいなら、恐れずにそのままでいること。

たとえば最近、『ビジュアルが怖いからマイルドに』とアドバイスされることがあるのですが、そういうのは無視してます。私より器用なアーティストはいくらでもいるけど、私より強烈な叫びを発するアーティストは少ないと思ってるから、マイルドになる必要はないと思うんです」

Q4. 宝物はありますか?

「人間じゃない友達(猫)と、心の痛みと傷を可視化する道具。あとは、自分の考えの道筋を書き留める、思考ノートです」

Q5. 趣味はありますか?

おじさんの顔の角栓を取ることです。自分の角栓よりも太くて、なんか負けたなぁって思います(笑)。お金を払ってでも取りたいくらい、楽しいです! なんかすっきりします」

Q6. 普段はどんな友達と過ごすことが多いですか?

「高校を退学して、通信制高校に移った理由のひとつに、人間と関わるのが嫌、ということがあるくらいなので、基本的にわざわざ人間と一緒に過ごすことはありません。

ただし、生きているとときどき奇跡的に『人知を超えたなにか』みたいな生物と出会うことがあるんですよね。ネアンデルタール系で宇宙混血のなみちえさんとはよく遊びます(笑)」

Q7. 生きるうえでのポリシーがあれば教えてください。

『人生は痛い。痛みは警告。痛みを無視しても、あなたが負った傷は治らない。痛みは痛いけど、あなたの味方』。

これは、自分の思考の道筋になるだろうと思ったことを残す『思考ノート』に書き留めた、わたしの言葉です。痛みに向き合い、読み解くべきだと思います」

Q8. 最近、新しく始めた挑戦はありますか?

新たな挑戦はとても体力のいることですが、傷に向き合い、傷と生きることです。1年ほど前、かなりショックな出来事があり、そこからトラウマ症状に苦しんで、美術のことをまったく考えられなくなっていました。いまもまだ、自分の世界が狭くなってしまったような感覚が残っています。

傷ついた原因を法に裁かせても、自分自身はひとつも救われないと思っています。傷つけてきた相手というのは、もはや自分の傷そのもの。自分の傷は、自分の一部として愛したいです」

Q9. 今後の展望や将来の夢を教えてください。

「将来の夢っていうものがあまりなくて……。強いて言えば、まずは生命維持。次に、行きたい大学に入学することです。そこでしか学べないことがあるので、絶対に行きたいんです」

Q10. 同じ時代を生きる10代にメッセージをお願いします。

「これからは、いままで人と人を結びつけていた土地や人種、階級などが意味をなさなくなって、自分自身という存在を常に把握していなければならない時代になると思います。世界は自分の目を通してしか見えていないということを理解するべき。究極の個人主義のなかでしか育めない人間同士の愛情を大切にすれば、この時代を幸せに生き、死ぬことができると思います。

あとは将来、孫に見られて恥ずかしい写真は、インスタにあげないほうがいいです。デジタルタトゥーの時代なので!」

■鈴木紅璃の今日のファッション

ショール・グローブ/手作り Tシャツ/NARACAMICIE スカート/UNIQLO バッグ/COACH シューズ/横浜ビブレのギャル靴屋さん

「八千草薫さんのショールを頭に巻いたクラシカルなスタイルがきれいだったので、自分で大判ショールをつくろうと手芸屋に行ったものの、私の赤い髪に合う絶妙な緑が見つからず、自分で布を染めてつくりました。グローブも同じ布でつくっています。映画『マレーナ』のモニカ・ベルッチの喪服のイメージも好きです」

■鈴木紅璃のSNS

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Photo:Eri Miura
Text:Tomoka Uendo
Edit:Takeshi Koh

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Steenz編集部

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