「気になる10代名鑑」48人目は、石月彩色羽さん(16)。昨年、中高生を対象としたファッションコンテスト『AFC-U18』でグランプリを獲得し、日本一の高校生デザイナーに輝きました。3月に控える修了展に向けて、彼女がつくりたいと考える「ウェルビーイングな服」とは何なのかを、じっくり聞いてみました。
■石月彩色羽を知る10の質問
Q1. プロフィールを教えてください。
「バンタンデザイン研究所高等部の2年生で、服づくりを勉強しています。1年生のとき、『AFC-U18』という中高生デザイナーの日本一を決めるイベントで、グランプリをいただきました。
アロハという名前は、ハワイが好きな親に、響きがいいからという理由でつけてもらったものです」
Q2. ファッションが好きになったきっかけは?
「Instagramでおしゃれな人を見るのが好きで、だんだんマネするようになっったんです。中学生のころから、ひとりで下北沢に古着を買いに行っていました。
クリエイティブなことは、昔から大好き。『大改造!!劇的ビフォーアフター』というテレビ番組がお気に入りで(笑)。番組に登場するような匠に憧れて、一級建築士を夢見た時期もありました。幼稚園のときも、他の子が外で遊んでいる中、ひとりで工作をずっとしていたんです」
Q3. グランプリを獲った『AFC-U18』では、どんな服をつくったんですか?
「なんとなくデザインを描いていたら、服全体がだんだん袖っぽく見えてきて、『全部が袖になっている』というコンセプトのドレスをつくりました。3日間の制作合宿があったのですが、そこで先輩デザイナーにいろいろと教えてもらいながら、デザインを形にして。裾のリブ編みは、毎日お昼休みに一生懸命編んだものです。
結果として、原宿のWEGOさんに展示していただいたり、めざましテレビにも取り上げていただいたりと、本当に貴重な経験ができたと思います」
Q4.普段は何をして過ごしている時間が多い?
「いまは3月に控える修了展のための準備で、めっちゃ忙しいです。もちろん、大好きなファッションの勉強なので、楽しくはありますが、普段から、制作以外にもプレゼンテーションの準備があったり、アルバイトも週3から週5くらい入れたりしているので、ごくたまにしか遊べないのはつらいですね(涙)。
あ、でもそんな中で友達と京都旅行に行ってきました。旅行やイベントのために服を買うのが好きなので、お気に入りのブランド『GANNI』のワンピースをゲットしました」
Q5. 石月さんの宝物を教えてください。
「BOSEのヘッドホンです。憧れのBiBiyuaちゃんのマネをして買って、かれこれ2年近く愛用しています。きちんとケースに入れて持ち歩いて、大切にしています。
あとは、今日も履いている、asics×kiko kostadinovのスニーカー。ひと目ボレしたのですが、全然手に入らなくて、海外のフリマサイトでがんばって購入しました。取引相手のカナダ人が『あなたがこのシューズを楽しんでくれることを願っています』というメッセージカードを箱に入れてくれていて、ちょっと幸せな気持ちになったり。サイズが大きくてブカブカなんですが(笑)」
Q6. 生きるうえでのポリシーがあれば教えてください。
「『挑戦を恐れない』といつも唱えていたら、それが癖になったような気がします。中学のころから、学級委員や班長に積極的に立候補していましたし、修了展のディレクターも、やりたい人!と言われたとき、思わず体が反応して、立候補しました」
Q7. 社会が「こう変わればいい」と思うことは?
「心身が健康で社会的にも満たされた幸福な状態、という意味の、ウェルビーイングが叶うような社会になったらいいなと思います。
ウェルビーイングという言葉は、VOGUEを読んで知りました。自分のつくる服にも取り入れている考えです」
Q8. 今つくっている「ウェルビーイングな服」とは?
「修了展では、スリットが入ったブラックのロングスカートと、ネイビーの超ミニのプリーツスカートをつくる予定です。私の中での『ウェルビーイングな服』とは、勝負服のような、着るだけで元気になる服。
でも、色が派手で元気というわけではなくて、黒や紺のようなシンプルな配色でも、タグがかわいかったり、ディテールが素敵だったりといったような、細かいところまで意思が行き届いている服が好きなんです」
Q9. 将来の夢は?
「まだ模索中なのですが、すべてのファッションに対してのリスペクトが根底にあるので、つくる側だけでなく、デザイナーのクリエイションをサポートする、ファッションインキュベーターの仕事に興味があります。
それに限らずどんな仕事でも、ファッションを通じて、自分が楽しみながら、人も楽しませられたらいいなと思っています」
Q10. 同じ時代を生きる10代に、メッセージをお願いします。
「私にとってはファッションがそうですけど、ファッションじゃなくても、好きなものを通して、さまざまな人が楽しく過ごせるように願っています。私が言えることかは分からないですが、自分の心に集中して、たまにはご褒美もあげながら、自分のワクワクするほうへ進んでいきましょう!」
■石月彩色羽の今日のファッション
「テーマはスポーツミックスです。最近はスリットが入ったワンピースやレースタイツといったフェミニンなアイテムを、スポーティーな素材やスニーカーと合わせるのが好きです」
■石月彩色羽のSNS
Photo:Eri MiuraText:Atsuko ArahataEdit:Takeshi Koh