「気になる10代名鑑」の253人目は、Aliceさん(19)。女子中から女子高という学生時代を過ごす中で自然とジェンダー問題への関心を抱き、現在は「女の子が、自分は何でもできると信じられる社会」の実現を目指して、さまざまなアクションを続けています。そんなAliceさんの活動のルーツや、大切にしている思いを聞いてみました。
Aliceの活動を知る5つの質問
Q1. いま力を入れていることはなんですか?
「フェミニズムやジェンダーについて勉強をしながら、さまざまな活動に参加しています。
いちばん最近でいうと、『ジェンカレ』というプログラムに参加しました。ここでは、ジェンダー問題について、さまざまな専門家に全12回の講義をしていただき、それと並行して自分自身がどういうアクションをしたいのか、メンターの方と一緒にプランを練り上げるんです。5か月もの間、かなり体力をかけて考えました」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「中学生ごろからテレビやニュースを見ていて、『女の子って前に出ちゃいけないのかな』という雰囲気を感じたんです。そのころから、何となくモヤモヤを抱くようになりました。
幼いころからよく遊びに行っていた父の職場の女性がかっこよくて、ずっと憧れていました。おそらく父の職場は、20年前にしては先進的だったんだと思います。子どもを連れて仕事をしているのも普通のことで、女性と男性が対等に活躍していました。だからこそ、そうではない現状を知ったとき、ショックを受けたんです。
ジェンダー問題について活動し始めたのは高校2年生のときです。同級生と『ur precious』という有志団体を立ち上げて、文化祭で記事の展示や物販をしました。この団体では、はじめから活動テーマをジェンダーだと決めていたわけではなくて。20人くらいのメンバーが集まってから、テーマ決めをしました。
みんなが共通して問題意識を持っていたのが、ジェンダーや女性の社会進出に関することで。中高一貫の女子高ということもあって、『今は男女の枠組みを意識することはないけど、社会に出たときに、“女性”として扱われるのってどんな感じなんだろう』っていう不安をみんな抱えていたんです」
Q3. つらかったことや壁を感じたことはありますか?
「大学受験のタイミングで『ur precious』の活動がストップして、それからはひとりで問題に向き合うようになったんです。それが、すごく孤独で心細くて……。違う団体の同級生がビジコンに出たり、大きいアクションを起こしたりしているのを見て、自分の無力さに落ち込む日々でした。
だけど、ジェンカレに参加したことで、行動を起こす前には知識が何より大事っていうことに気づいて。いまはインプットする時期なんだと前向きに捉えることができて、勉強を続けられています。アクションプランを考え抜いた経験も自信に変わって、次にするべき行動が見えてきたのも良かったんだと思います」
Q4. これまでの活動で印象的だった出会いは?
「以前、『ur precious』の活動で取材をさせていただいた櫻井彩乃さんとの出会いが大きかったです。櫻井さんは『#男女共同参画ってなんですか』というプロジェクトの代表をしていた方です。
オンラインでの取材でガチガチに緊張していた私に、『そんなに堅くならないで~』と声をかけてくださって。彩乃さんのフランクな感じと、人とのつながりを作るパワーに惹かれて、すぐに私のロールモデルになりました。いろいろなイベントにも誘っていただいて、そのひとつがジェンカレなんです。彩乃さんには、仲間と思える人との出会いをたくさんつくっていただきました」
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Q5. 活動をするうえで大切にしていることは?
「社会課題に対して何らかのアクションを起こしている人って、怒りのパワーが原動力になっていると思うんです。もちろん私自身もそう。だけど、怒りをそのまま発散するだけじゃ対立が深まるばかり。だから私は、ポジティブなパワーに変換することを大切にしてます。
特にフェミニズムって、Twitterでもしょっちゅう炎上してますよね。世の中が持っているフェミニストのマイナスなイメージを変えたい。男性も女性も対話して、手を取り合えるような“新しいフェミニズム”をつくりたいんです。だから怒りをそのまま発散しないようにしています。
いまはZINEをつくろうと思っていて。アートワークや言葉の力で、女性のエンパワーメントをしようと試みています。まずは仲間集めから! たくさんの人を巻き込めるようなアクションにしたいです」
Aliceのプロフィール
年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:一橋大学商学部、おとな研究所、ジェンカレ1期生
趣味:ダンス(チアダンス、ジャズ、シアタージャズ、テーマパーク)
特技:おいしそうにごはんを食べること
AliceのSNS
このアカウントはぬるま湯で生きてきた新大1が社会に揉まれ一喜一憂する様子をリアルタイムでそのままお届けするアカウントです。
— Alice (@AliceImHere) March 31, 2022
Photo:Eri Miura
Text:Minori Abe