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東南アジアの小国・ラオスで鉄道開通!その乗り心地は?そして出資した中国の狙いとは?【Steenz Breaking News】

東南アジアの小国・ラオスで鉄道開通!その乗り心地は?そして出資した中国の狙いとは?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今日は、ラオスで開通した初の高速鉄道についてご紹介します。

のどかな小国・ラオスに進出した“中国の”高速鉄道

東南アジアにある、ラオスという国をご存知ですか? 中国やタイ、ベトナムに囲まれた、人口710万人ほどの小さな内陸国です。日本の本州と同じくらいの国土には、山々や滝など、自然が豊かで、そこで暮らすラオス人は、性格もおおらかでのんびりしており、のどかな国として知られています。

そんなラオスの地に、2021年12月、初めての高速鉄道が開通しました。その資金の約7割を出資したのは中国。こうした東南アジアの小さな国で存在感を強める中国の真の狙いは、どこにあるのでしょうか。

まるで中国にいるみたい?オール中国製の高速鉄道

この高速鉄道は、ラオスの首都・ビエンチャンと、中国・雲南省昆明市を結びます。全長は約1,000km。ラオス区間はビエンチャン―中国国境のボーテンの約422kmで、最高時速160kmで走行が可能です。これまで、バスなどを利用しても1日がかりだった移動が、3時間半に短縮されました。

ラオスにはこれまでこうした高速鉄道はなく、今後、中国との間で、旅行客の往来や物流の拡大が見込まれます。ラオス人のオニダさん(36)は「鉄道が開通されて、観光客がもっと旅行しやすくなり、コロナなどの影響で悪化している経済を活性化できると思う」と、期待感を示します。

この鉄道の総事業費は約60億ドル(約8,700億円)。その7割を中国が負担したと報じられています。ラオスが負担した3割のうちの大半も、中国の融資によって賄われています。ビエンチャンにできた巨大な駅舎を見ると、ラオス語と中国語でビエンチャン駅の表示が掲げられ、英語の表記がないのが印象的です。まるで「中国」という国そのものが、ラオスでの存在感をアピールしているかのように見えます。

列車や運行システムも、すべて中国製。実際に乗ってみると、日本の新幹線のように快適で、時間どおりに目的地に到着することができました。乗客はラオスの中間所得層やタイ人旅行者が多く、列車の外や中で楽しそうに写真を撮っている人々の様子が見受けられました。

中国の膨大な出資…その狙いは?

なぜ、中国はラオスにおける鉄道事業を支援しているのでしょうか。中国は、この鉄道を巨大経済圏構想「一帯一路」の重要事業と位置付けています。

この構想では、アジアとヨーロッパを陸路と海上航路でつなぐ物流網を整備し、貿易を活発化させて、経済成長につなげようとする狙いがあります。ラオスの鉄道事業はその一環で、将来的にはタイやマレーシア、シンガポールにまで延伸させる計画があるのです。

こうした壮大なビジョンがある一方で、この鉄道の利用者がどれ程見込まれるのかは不透明で、事業の採算性には疑問の声も上がっています。鉄道事業費は、ラオスの国内総生産(GDP)の3割に上ります。今後、中国への債務返済に苦慮すれば、将来的には建設したインフラの権益を譲り渡さなければならない恐れもあります。

しかし、ラオスのような小国が経済成長を遂げるには、中国からの投融資に頼らざるを得ない状況にあることも否定できません。たかが鉄道と見過ごすことはできず、こうした鉄道事業の行方が、ラオスという国そのものの命運を左右することになるかもしれません。

Text&Image:Risako Hata

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Risako Hata

ライター

タイ在住のジャーナリスト。共同通信系メディアにて5年のタイ駐在を経て独立。現在は、アジアの経済や人道問題、SDGsに関連する記事を執筆。

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