Steenz Breaking News

Netflixの話題作『ハートストッパー』から、レプリゼンテーションの重要性を学ぶ【Steenz Breaking News】

Netflixの話題作『ハートストッパー』から、レプリゼンテーションの重要性を学ぶ【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする、「Steenz Breaking News」。今回は、Netflixで世界的なヒットを記録し、続編の製作も決定した『HEARTSTOPPERハートストッパー』の魅力について、見ていきましょう。

Netflixオリジナルドラマ『HEARTSTOPPERハートストッパー』もう見た?

Netflixのドラマシリーズといえば、ストーリーの面白さはもちろん、そこに込められた社会へのメッセージや、視聴者への問いかけも注目ポイントです。

そんなNetflixで、いま10代が見るべき注目作といえば、『HEARTSTOPPERハートストッパー』。引っ込み思案の高校生チャーリーと、心優しい花形ラグビー部員ニックの恋模様を描いた作品です。

 

 

今回は、そんな『HEARTSTOPPERハートストッパー』の魅力を語るのに欠かせない「レプリゼンテーション」について、解説していきます。

LGBTQ+の「レプリゼンテーション」

Netflixシリーズ「HEARTSTOPPER ハートストッパー」独占配信中

「レプリゼンテーション(representaion)」とは、メディアやエンタメにおいて、社会を構成する人々の多様性(人種やセクシュアリティなど)を正しく反映させ、マイノリティの公正な描写を目指すことを意味します。

昨今では、LGBTQ+の人々の姿を描いた作品も増えていますが、その描写がステレオタイプや偏見に満ちていたり、深く掘り下げられずに終わってしまうことが多いのも現実です。

原作を手がけたのは、アセクシャル・アロマンティック当事者でもある英国人作家、アリス・オズマン。作中では、自身の体験や綿密なリサーチ結果を反映し、LGBTQ+当事者の若者が直面する偏見や抑圧を、忠実に描写することにこだわったそうです。

Netflixシリーズ「HEARTSTOPPER ハートストッパー」独占配信中

また『HEARTSTOPPERハートストッパー』は、物語全体を通しての「明るさ」も注目するべきポイント。

LGBTQ+の人々の姿を描いた作品では、セクシュアリティやジェンダーが原因で起こる困難が多く描写される一方で、当事者がマジョリティと“同じように”、恋愛や友情を築くことができる、あるいは築いている人々がいるという現実が、あまり描かれていません。

自分に近い属性の人が、さまざまな生き方をしている姿を見られるということは、社会構造の歪みを描くことと同じくらい重要なのです。

人種の多様性も反映する現代作品

Netflixシリーズ「HEARTSTOPPER ハートストッパー」独占配信中

より積極的なレプレゼンテーションが求められているのは、セクシュアリティやジェンダーだけではありません。

白人中心の構造が根を張っている欧米の映画・ドラマ業界でも、近年の作品では、人種や文化の多様性も反映しています。

 

 

例えば、1961年に公開された映画『ウエストサイド物語』では、肌を茶色く塗った白人が有色人種の役を演じていましたが、2021年のリメイク版では、プエルトリコ系の人たちを積極的に起用するなど、役者のバックグランドや人種を反映したキャスティングとなりました。

 

 

また、ディズニーが2023年5月26日に公開を予定している実写版『リトルマーメイド』では、主人公のアリエルを、アフリカ系アメリカ人のハリー・ベイリーが演じます。予告編を見た黒人の女の子たちが「アリエルが(私と同じ)黒人だ!」と喜びの表情を浮かべる動画の数々が、ネット上で話題になっています。

HEARTSTOPPERハートストッパー』にも、セクシュアリティやジェンダーのみならず、多様な属性のキャラクターが数多く登場します。甘酸っぱい高校生のラブストーリーを見守りながら、ぜひ「レプレゼンテーション」にも注目してみてくださいね。

Reference:
リプレゼンテーションとは|PRIDE JAPAN
Heartstopper creator Alice Oseman on new Netflix series: ‘I hope it puts a smile on your face’|National World
LGBTQ用語解説・アセクシュアル|PRIDE JAPAN
スピルバーグ監督が「ウエスト・サイド・ストーリー」に字幕をつけなかった理由。「スペイン語に敬意を払うため」|ハフポスト
ハリー・ベイリー版「リトル・マーメイド」を見た“黒人の子どもたち”の反応、こっちまで泣ける…|FRONTROW
Netflixドラマ化『ハートストッパー』が祝福する、「希望」に満ちたクィアな若者たちの生|CINRA

Image:Netflix
Text:Kei Hayashi

SNS Share

Twitter

Facebook

LINE

Kei Hayashi

ライター

1997年まれ。2020年〜新卒でフリーライターに。興味関心:Z世代・メンタルヘルス・ジェンダー・消費社会 など。獨協大学外国語学部英語学科卒業。he/they。

View More