ユニークなスタンスをもつ10代が、独自のポジションで活躍している人生の先輩に会いに行って、聞きたいことをなんでも聞いちゃう新シリーズ。初回ゲストは、“先入観に縛られないニュートラルな視点”を届けるメディア『NEUT』の編集長・平山潤さん。続いての質問者は、モデル・タレントとして奮闘するもえぴいさんです。
モデル・タレントを目指して奮闘中のもえぴいさんが、気になることを聞きます!
約1年前に岡山県から上京したというもえぴいさん(20)。モデル活動に取り組みながら、タレントとしても活躍できるよう奮闘する中で、個性を発揮することや、自分の強みを定めることに、悩みがあるよう。
見た目の偏見と、どう向き合えばいい?
もえぴい:私、今では暗髪だし、今日は服装もシックにまとめてみたんですけど、前までは金髪で全身ピンクみたいな格好をしていて。
平山:そうだよね。前にSteenzに出ていた記事を見ていたから、もっと派手なイメージだった。
もえぴい:今はいろんな自分になれるようにチャレンジしようと思って、黒っぽい大人っぽいのも似合えばいいなと思って、こういう服を着ているんですけど。派手にしていたときと周りの反応が全然違うなっていうのを、髪の毛の色を変えて余計思ったりしているんです。
平山:つまり、外見による偏見? ルッキズムの話かな。もちろんぼくも良くないとは思うんだけど。もえぴいさんは、外見で人を判断しないですか?
もえぴい:しない。自分がされて嫌だったから。前、髪色が派手だったときに焼肉屋さんでバイトをしていたんですけど、そのときに「包丁持ったことあるの?」って言われたりすることがありました。
平山:そのときは「やったことあるし」とか、自分の中身を話せる状況だった?
もえぴい:そのときは、バイトに入ってすぐとかだったんで、話せる状況じゃなかった。「何なの、この人」って思いました。でも今考えると、自分でもそう思われないような工夫とかはできたのかなとも思ったりもして……。
平山:それって、結局は誰のために自分の外見を作っているか、だと思うんだよね。ぼくは10年ぐらい、ずっとこんなファッションなんだけど、それはあんまり相手のイメージを揺さぶりたくないから。パブリックとプライベートの境目をなくしたほうが、自分は活動しているうえで、何回も自己紹介をしなくていいというか……。コミュニケーションコストを減らしたいというのもあるんだけど、他者からのイメージを自分でコントロールしたいんだよね。
もえぴい:そうなんですね。たしかに、直接お会いして、イメージどおりだと思いました。
平山:すべての人が外見で一切判断しなくなったらいいけど、それはなかなか難しい。だから、逆に外見が生む印象をうまく活用するっていう考え方もあるよね。派手な格好をしてて「包丁持ったことないんじゃない?」と思われた人が、実際は料理が上手だったら、いいギャップになる、みたいな。
だけど、自分が受け入れられていないときにそういうことを言われると苦しいし、怒りもあって当然だと思う。もし、言ってきた相手と真面目に話せる関係なら、しっかり話したほうがいいよね。
自分の強みがわからない・・・何で闘っていけばいい?
もえぴい:平山さんが編集長になるまで、何を強みに感じてやってきたのか、教えてほしいです。私自身、自分の強みみたいなのがわからなくって……。
平山:強み? 自信の源っていうことかな?
もえぴい:そうです。
平山:それでいうと、自信はずっとない。ぼくは何か秀でた一芸があってやってきたわけじゃないから。父親がもともと料理をやっていたからその道に進もうと思ったこともあったけど、大学行って、たまたま辿り着いたのが編集で。
もえぴい:そうだったんですね。
平山:でも編集っていうのは、特殊なスキルがなくても、ジャンルを超えて人と人を繋げられるとか、自分なりの視点があるとか、そういうことが強みになる仕事だから。専門誌だったら、その分野にすごい詳しい編集者が良いと思うけど。
最初に『Be Inspired!』ってメディアで働き始めたときも、すぐ編集長になったから、自分が人生でやってきたことを組み合わせていくこと以外できなかったけど、そうやってやりたいことを表現していくことで、それがアイデンティティになっていったと思う。
もえぴい:強みとか努力する方向を、ひとつに絞りきらなくてもいいってことですか?
平山:そう思う。社会って、役割分担だから。ひとりが全部を担ったり、逆に全員がひとつのことをやったりするのは不可能だから。
もえぴい:ひとつに絞らないとして、私の強みって何なんだろう。
平山:「誰とでも会話できます!」でもいいと思う。なんでもいいと思う。
もえぴい:それでいうと、私はまわりのみんなによく、「超ハッピーだね」って言われることが多いから、みんなをハッピーにできるのが強みになるのかな。
夢を叶えるために上京・・・必ず行っておくべきスポットは?
もえぴい:叶えたい夢とかやりたいことがあって上京した子が、行っておくべき場所ってありますか? 平山さんは取材を通して、東京のいろんな場所を知ってそうなので。
平山:東京で? うーん……どこだろうな。ぼくは18歳で東京に出てきたとき、大学の外の人たちと関わることを大事にしていたかな。バイトしたりとか、クラブ行ったりとか。垣根なく行ってたよ。
面白い大人を見つけたら、その人がやっているイベントとか、行っているイベントに行ってみる。そうすると、自然と面白い人たちが集まっている場所に辿りつけるんじゃないかな。
もえぴい:場所じゃなくて、人が大事?
平山:そうだね。まずはひとり、いい大人を見つけるのがいいと思う。自分が安全を感じて、信頼できる人。それは別に、性別とか関係なく、どんな人でもいい。
もえぴい:平山さんのまわりにも、面白そうな人が集まっていますよね。
平山:もうぼくらも知り合いだから、NEUTのイベントに来たときには、全然話しかけてね。今日ここにいるのだって、もえぴいさんが、自分が動いた結果だから。自分が少し勇気を出してがんばったら、面白い人に会えるかもしれないし、面白いスポットに辿りつけるかもしれない。
平山潤さんプロフィール
1992年神奈川県生まれ。『Be inspired!』の編集長を経て、現在は「既存の価値観に縛られずに生きるための選択肢」をコンセプトに発信するWEBメディア『NEUT Magazine』の創刊編集長、本誌を運営するNEUT MEDIA株式会社の代表を務める。
今回登場してくれた10代
もえぴいさん。岡山県出身。モデル活動に取り組む傍ら、タレントとしても活動の幅を広げられるように奮闘中。
Photo:Goku Noguchi
Text:Ayuka Moriya
Edit:Takeshi Koh