
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカのポストハーベスト・ロス問題について紹介します。
収穫後の輸送に課題
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、2025年、アフリカでは3億人以上が飢餓に直面しています。紛争や貧困、気候変動などによる食料不足に苦しむ人がいる一方で、食べ残しや廃棄によるフード・ロスは世界中で問題となっています。
アフリカでは、収穫された食料の多くが輸送の間に腐敗し、廃棄されてしまう「ポストハーベスト・ロス」も、深刻な問題のひとつです。
この投稿をInstagramで見る
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、農場から輸送、保管、卸売、加工に至るまでの過程で、世界では収穫された食料の13.3%が失われています。なかでもサハラ以南のアフリカでは23.0%と、世界で最も高い割合に。特に果物や野菜は傷みやすく、輸送中の腐敗による廃棄の割合が高い食品です。その割合は2015年の23.2%から2023年には25.4%に増加し、食品カテゴリーの中でも最もロスが多くなっています。
ウガンダに住む筆者も、マーケットで買った果物や野菜がすでに腐っていた、という状況を何度も経験しました。

また、国連の研究では、ケニアの一部地域では40%もの作物が収穫後に捨てられているとのこと。このようなポストハーベスト・ロスは世界で4億7千万人の小規模農家の収入を15%減少させています。
この投稿をInstagramで見る
手のひらサイズの小さな袋が腐敗を防ぐ?
こういった問題にイノベーションで挑むのが、ウガンダ発のスタートアップ企業「Freza Nanotech」です。同社は輸送や保管中に作物が入った箱などに入れる小さな袋「Freza」を開発しました。
この投稿をInstagramで見る
Frezaは、成分を含んだ小さな袋を農作物の箱に入れて使用します。袋から放出された成分は、果実の熟成に関与する酵素を抑制。結果、5日ほどで腐る作物の鮮度を、冷蔵なしで最大30日間延ばすことができるのです。
1袋あたりの値段は40円とリーズナブル。有害な化学物質を含まず、安全性が確認された米国食品医薬品局(FDA)承認の成分を使用しているとされています。また、「Freza Nanotech」は2024年、国連食糧農業機関(FAO)の「FAO Innovation Award(FAOイノベーション賞)」を受賞しました。
この投稿をInstagramで見る
日本発のスタートアップもアフリカで活躍中

日本発の企業も、ポストハーベスト・ロス改善のため、アフリカで実証実験をおこなっています。九州大学発のスタートアップ、株式会社タベテクはプラズマ殺菌技術を用いて箱型装置「PLASMABOX」を製作。放電で殺菌と抗酸化を実現し、ミカンを用いた実験では、フードロスが1/3に減少しました。
今後、株式会社タベテクは冷蔵インフラが整備されていないアフリカや中東地域での需要を見込んでいます。
“冷蔵”以外の技術にも注目
農産物を低温に保ったまま、収穫・生産から輸送、保管、販売、消費者に届くまでつなぐ仕組みを「コールドチェーン」と言います。国連環境計画(UNEP)によると、途上国が先進国と同等のコールドチェーンを整備すると、年間1億4400万トンの食料が失われずに済み、何百万人もの人々を貧困から脱却させる可能性も指摘されています。
一方で、コールドチェーンの整備には、冷蔵設備や十分な輸送インフラを必要とします。多くの人々が農業に携わるサハラ以南アフリカ。収穫後に農産物に廃棄されれば、得られるはずだった収入も失われます。Frezaのような、冷蔵に頼らず農産物の鮮度を保つ技術は、ポストハーベスト・ロスを削減する新たなアプローチとして注目されています。
References:
Food and Agricultural Organization of the United Nations「Indicator 2.1.1 – Prevalence of undernourishment」
Food and Agricultural Organization of the United Nations「Indicator 12.3.1 – Global Food Loss and Waste」
UN Environment Programme「Can refrigerated vans and cold storage rooms help end an epidemic of food loss in Africa?」
Text:Hao Kanayama






