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ことばを探して、中米ジャングルへ。Mirei in Paris #15【Steenz Abroad】

ことばを探して、中米ジャングルへ。Mirei in Paris #15【Steenz Abroad】

こんにちは。2025年9月からフランスに留学しているMireiです。今回は、休暇中に訪れたパナマの民族「エンベラ族」の村で過ごした日々についてお話ししようと思います。

伝統を守ることが、仕事になる


パナマのジャングルで暮らすエンベラ族を訪れました。エンベラ族は、いまも伝統的な暮らしを続けている少数民族のひとつです。これまでわたしが訪れてきた少数民族のなかには、観光客向けに伝統的な踊りを披露したり、民族衣装を着て観光業に携わったりする人たちもいました。けれど、エンベラの人たちの暮らしは少し違っていました。

彼らは、政府と入域料の仕組みなどをつくり、外から人が訪れることで得られる収入を、コミュニティのなかに還元しています。だから、無理に都市へ出て働いたり、伝統文化を「見せるための商品」に変えたりしなくてもいい。エンベラ語を話し、伝統的な衣装を身につけ、昔ながらの暮らしを続けることそのものが、生活を支える仕組みになっているのです。

「伝統を守ること」と「経済的に自立すること」は、どちらかを選ばなければならないものだと思っていました。でも、エンベラの人たちは、そのふたつを両立させる方法をつくっていました。これは、これまで訪れてきた少数民族とは少し違う、印象的な言語と文化の守り方でした。

素足で歩く、ジャングルの日常


男性も女性も、伝統衣装がとにかくかわいい。体に施されたタトゥーや、色とりどりのビーズアクセサリーも印象的です。

そして、何より驚いたのが、みんなが素足で生活していること。ジャングルのなかの道も、砂利道も、子どもたちは当たり前のように裸足で歩いていきます。

わたしは途中の砂利道で足が限界を迎え、傷だらけになってしまいました。結局靴を履いて歩くことにしたのですが、ふと周りを見ると、小さな子どもたちまで平然と素足で歩いています。しかも、足にはほとんど傷がありません。長いあいだ、この土地で暮らしてきたエンベラの人々は、わたしたちとはまったく違う歩き方を知っているのか、それともたくさん歩いて皮膚が強くなったのか、どちらにせよ本当にすごい。

いつも食卓に並ぶのは、バナナを揚げたものや、川で獲れた魚など。そして午後になると、みんなで近くのきれいな滝へ水浴びに出かけます。水着を持っていなかったわたしは、服のまま滝に入りました。冷たい水に打たれたあと、そのまま服を着たまま歩いて帰ります。でも、なんせとっても暑いので、歩いているうちに服も少しずつ乾いていきました。


日が暮れると、今度はみんなで踊り始めます。女性たちは輪の中央で踊り、男性たちはその周りで楽器を奏でます。

「ふたつのことば」で育つ子どもたち


そして、もうひとつ驚いたことがあります。エンベラの人たちは、子どもからお年寄りまで、スペイン語とのバイリンガルとして暮らしているのです。もちろん、おばあちゃん世代になると、スペイン語を流暢に話す人ばかりではありません。それでも、子どもたちはエンベラ語とスペイン語の両方を自然に使いこなしています。

家やコミュニティのなかではエンベラ語を使いながら、外の社会とつながるためにはスペイン語を使う。「伝統を守る」というと、外の世界から離れて暮らすことを想像してしまいます。でも、エンベラの人たちは、外の世界とつながりながら、自分たちのことばと暮らしを手放さない方法を選んでいます。

ジャングルのなかで、エンベラ語が当たり前のように飛び交っていました。その光景を見ながら、少数言語が生き残るために必要なのは、ただ「保存する」ことではなく、そのことばを使って暮らし続けられる環境なのかもしれないと思いました。

巴山未麗(Mirei)のプロフィール

東京都出身。フランス・パリの言語大学に留学中の大学4年生。言語がとにかく大好きで、留学先の大学ではウォロフ語を専攻する他、ビスマラ語、マラガシ語、シンハラ語なども学んでいる。

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巴山未麗

2003年生まれ。これまで45以上の国を訪れ、現地家庭でホームステイをしながら調査した言語は50以上。セネガル人向けフランス語学習アプリLEUK STUDYの開発を経て、ビジネスやクリエイティブの視点で少数言語の新しい価値を生み出すことを目指しkotohaを立ち上げる。慶應義塾大学在学中。

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