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小児がんのリハビリでゲームを活用。『東京ゲームショウ2026』で出会った注目の取り組みに迫る【Steenz Breaking News】

小児がんのリハビリでゲームを活用。『東京ゲームショウ2026』で出会った注目の取り組みに迫る【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、『東京ゲームショウ2026』で出会った注目の取り組みについてご紹介します。

今年も『東京ゲームショウ』がスタート!

2026年9月17日、『東京ゲームショウ2026』が千葉・幕張メッセで開幕しました。『東京ゲームショウ』は、ゲームビジネスに携わる国内外の企業・団体が出展する大規模な展示会です。一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会の主催で1996年よりスタートし、今年で30周年を迎えました。

アニバーサリーイヤーの今年は、史上最大規模の開催に。PR事務局の発表によれば、出展社数は国内から540社、海外からは53の国や地域から598社、あわせて1,138社となったそう。また、会期も9月17日から21日までと、史上最長になったといいます(台風の接近により、9月21日の開催は中止となりました)。

今回、そのように大きな盛り上がりを見せた同イベントを取材しました。会場を巡る中で出会った注目の取り組みを、本稿から全3回にわたってご紹介したいと思います。

大盛況の2日目。数あるコーナーの中で注目したのは……

筆者が訪れたのは、9月18日。ビジネス関係者やメディア関係者が多く訪れるビジネスデイの2日目です。主催者の発表によれば、当日は52,545人が来場したとのこと。実際、会場の各ブースは大勢の人でにぎわいを見せていました。

『東京ゲームショウ2026』では、「一般展示」、「スマートフォンゲームコーナー」、「AR/VRコーナー」など様々なジャンルごとにコーナーが設けられ、出展社がブースを設置しています。そうしたコーナーの中で、今回特に注目したのが「オールアクセシビリティコーナー」です。これは、障害の有無や年齢などにかかわらずゲームを楽しめるようにするソフトウェアやツール、サービスを紹介するコーナーのこと。昨年から新たに枠が設けられ、今年はふたつの企業・団体が出展しました。

専門学校生が開発する、小児がん患者のリハビリ向けVRゲーム

2箇所のブースのうち、学生も携わっていたのが、日本電子専門学校と岡山大学病院による「小児がん患者向けVRゲームの開発プロジェクト」です。このプロジェクトでは、小児がんの患者が楽しみながらリハビリをおこなえるよう、VRゲームのコンテンツ開発をおこなっています。

プロジェクト発足のきっかけとなったのは、岡山大学で整形外科医として希少がんの治療と研究に携わる長谷井 嬢教授です。長谷井教授は、小児がんのリハビリで使えるVRコンテンツを作りたいと常々考えていたものの、市場規模や収益性など様々な問題から開発に着手できず、頭を悩ませていたといいます。転機が訪れたのは、2024年の東京ゲームショウです。同イベントを訪ね、専門学校や大学が集まる「ゲームアカデミーコーナー」でVRコンテンツの開発に共に挑戦できるパートナーを探していたところ、日本電子専門学校の教員と意気投合。同専門学校の電子応用工学科とゲーム制作科の学生が学科の垣根を超えてコラボレーションしたプロジェクトとして、コンテンツの開発に乗り出したのです。

リハビリで使うからこその制約も。開発で工夫したポイントとは

学生たちが開発したコンテンツは、すでに第1弾が完成。2025年より岡山大学病院で利用がスタートしています。日本電子専門学校の小栁圭司先生によると、第1弾は腕の上げ下げ動作をもとにおこなうゲームとして提供しているとのこと。そして現在は、そのゲームを子どもたちが実際に利用して得られたフィードバックをもとに、第2弾となる新たなゲームを開発。「VRさかなつり」と称して、自転車をこぐときのような足の運動と手の上げ下げの運動ができるコンテンツを、医療現場への提供に向けてブラッシュアップしている最中だといいます。

このゲームの開発には、「子どもがリハビリで使う」という条件があるからこその制約もあり、通常のゲーム開発とは違った難しさがあったそう。その難しさについて、ゲームの仕組みやプログラムの制作に携わったゲーム制作科の谷村竜一さんは次のように教えてくれました。

「リハビリには適正な負荷があり、その範囲内で運動をする必要があります。通常のゲームと違って、頑張れば頑張るほど高い得点が出る仕組みにはできません。決められた速度で、正しい負荷をかけて運動ができたら報酬がもらえるようなゲームにするためには、どのような遊び方にすればいいのか。それを考え、実際にゲームに取り込んでいくのが難しかったです」(谷村さん)

また、ゲームでは腕や足に専用デバイスをつける必要があり、そのデバイスの重さにも気を配っているそうです。充電池など必要な部品を組み込みながらも、小学校低学年などまだ力の弱い子どもが使うからこそ、いかに軽量化できるかを現在も検討しているところだといいます。

一筋縄ではいかないVRコンテンツの制作ですが、自分たちの作ったものが医療機関で実際に使われることに対しては、やりがいもひとしおだそう。電子応用工学科の鈴木晴仁さんは、次のように話してくれました。

「(作ったコンテンツが現場で使われることは)やはり純粋に嬉しいなという気持ちが大きいです。普段、大変なリハビリを頑張っている子どもたちが、このコンテンツを使って、少しでも楽しくリハビリに取り組めるようになれば嬉しいなと思います」(鈴木さん)

余暇に楽しむだけではない、ゲーム活用の可能性

日本電子専門学校と岡山大学病院のブースを取材して感じたのは、‟遊び”として余暇に楽しむだけではない、ゲーム活用の可能性でした。デバイスやソフトウェアに工夫を加えれば、医療機関で治療を補助するツールともなりうる。「ゲーム」という様々な技術を詰め込んで開発されたコンテンツが対応できる領域の幅広さに、改めて驚かされました。

今回は小児がんのリハビリで利用するゲームでしたが、取材後に調べた結果、最近では子どものADHD(注意欠如・多動性障害)の症状改善において、ビデオゲームを補助ツールとして取り入れる事例もあるようです。今後も医療分野でのゲームの活用がさらに増えていくのかもしれません。

次回、来週火曜日の記事では、「オールアクセシビリティコーナー」に出展していたもう1社の取り組みをご紹介します。脳波を捉え、手でコントローラーを操作せずとも遊べるゲームについて取り上げるので、来週の公開をお楽しみに!

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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