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日本発の技術で高精度な時計が実現可能に。世界で「1秒の長さ」の定義が変わるかも?【Steenz Breaking News】

日本発の技術で高精度な時計が実現可能に。世界で「1秒の長さ」の定義が変わるかも?【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、2030年に予定されている「1秒の再定義」についてご紹介します。

2030年に「1秒」の定義が変わる?

いまから4年後の2030年、「1秒の長さ」の世界的な定義が変わるかもしれません。

メートル条約(※)の最高機関であり、約4年に1度の頻度で開催されている国際度量衡総会(CGPM)は2022年、「1秒の長さを2030年に再定義する」と告知しました。そのため現在、定義の基準となる時間の測定方法を新たに選ぶべく、議論と調査検証が進められています。

※メートル条約:1875年5月20日にパリで17カ国の代表が締結した国際条約のこと。長さや重さなどの単位の基準を世界で統一し、国際的に管理・普及させるための機関を設立することなどを取り決めている。日本は1885年に加盟した。

時代とともに変わってきた「時間の長さ」の定義

時間は絶対に揺らがず、狂わないもののように思えますが、実はその定義は、時代とともに大きく変わってきました。

わたしたちの社会はもともと、1秒の長さを地球の自転をもとに定義していました。自転の1回転にかかる時間を、24時間を秒換算した「8万6400」で割り、出てきた値を1秒の長さとしていたのです。

しかし、科学の発展により、地球の自転は地震や高山の氷解、潮の満ち引きなどの影響を受けて速度が微妙に変化していることが判明。時間の基準となる数値に変動が生じるのは不便だとして、1960年、地球の公転を軸とした定義に変更されました。

ただ、公転は1年という長い時間をかけて1周期が判明するため、1秒の定義には不向きだと判断されたそう。その結果、1967年に「原子時計」をもとにした定義が採用され、現在まで使われています。

セシウム原子による1秒の定義

物質を形作るのに欠かせない構成要素である「原子」。その中には「特定の周波数の電波を受けると状態が変化する」という特性を持つものがあります。

その特性を利用して、電波の振動する回数を時間の基準としたのが「原子時計」です。1945年にアメリカで考案され、その後1949年にアンモニア分子を使った原子時計が世界で初めて開発されました。

そして現在、1秒の定義に用いられているのは、自然界で放射能を出さずに安定して存在している「セシウム133」を使った原子時計です。セシウム133原子が91億9263万1770回振動する時間を1秒の長さと定めています。セシウム原子時計はおよそ3億年に1秒しかズレが生じないとされていることから、高精度な方法として時間の定義に長く採用されてきました。

次は何を基準に「1秒」を定義する?

しかし、これまでの研究により、現在ではセシウム原子時計よりもさらに高い精度で時間を定められる方法が複数開発されています。

そのうちのひとつが「光格子時計」です。これは、東京大学の香取秀俊教授が2001年に提唱したもの。仕組みとしては、レーザー光で作った格子状の枠にストロンチウム原子をひとつずつ閉じ込め、原子が吸収する光の振動回数を計測します。それを時間の基準として使用するのです。光は電波よりもさらに細かく振動することから、ズレは300億年に1秒ほどと、これまで以上に高精度な時計を実現できるといいます。

この光格子時計は現在、時間や距離の単位を管理する国際機関の国際度量衡局や理化学研究所などが共同で有用性を検証しています。もしも1秒の長さの再定義に有用なことが証明されれば、2030年以降、時間を定義する方法として採用されるかもしれません。

暮らしへの影響は?

1秒の定義が変わることで、わたしたちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか。

2030年に予定されている定義の変更は、より正確に1秒の長さを測るためのものですから、「日常での時計の利用」という意味では、大きな影響はないと考えられます。

一方で、データ通信やGPSなどには影響があるかもしれません。例えば、データ通信では、データの送信側と受信側の時計を合わせ、タイミングを合わせて送受信する必要があるため、高精度な時計でタイムラグが減れば、低遅延な通信が実現する可能性があります。また、GPSは人工衛星と地上の時間のずれをもとに位置を計算しているため、1秒の長さがより高精度に定義されれば、位置情報の精度も向上します。これにより、自動運転の発展や災害予測の精度向上なども期待できるかもしれません。

わたしたちの暮らしをより便利で豊かなものにしてきた、時間の測定手法の発展と定義の見直し。2030年の「1秒の再定義」では、日本発の技術がこれからの暮らしを支えることになるかもしれません。CGPMがおこなっている議論の今後の動向に注目必至です。

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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