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山梨の農場と東京の大学を行き来する、自称“遊牧民”。ジビエの会社を立ち上げた大学生【春姫・19歳】

山梨の農場と東京の大学を行き来する、自称“遊牧民”。ジビエの会社を立ち上げた大学生【春姫・19歳】

「気になる10代名鑑」1353人目は、春姫さん(19)山梨県北杜市にある農場での生活と、早稲田大学国際教養学部での大学生活を両立させながら「Amaterasu」というジビエの会社を立ち上げました。自身を「遊牧民」と呼ぶ春姫さんに、活動のきっかけやビジョンについて聞いてみました。

春姫を知る5つの質問

Q1. プロフィールを教えてください。

「半年ほど前から、山梨県北杜市の『Rooster Hen House(ルースター)』という農場と、東京を行き来する二拠点生活を送っています。

パンクロック・アーティストの夫妻が営んでいるルースターは、唐辛子農家とDJを兼業している人、天文博士、魔女、犬や子ども、そしてわたしのような居候がいたりいなかったりする、なんでもありの遊び場のような場所です。

普段から狩猟をするみんなの姿を見ていて、わたしが解体場を建ててこの遊び場をもっと面白くしたい、第二の家族のように迎えてくれる彼らに還元したい、という思いから『Amaterasu』というジビエの会社を立ち上げました。

わたしは都会で育ちましたが、バックパッカーの経験やルースターでの生活から、五感を最大限に使って生きる世界の豊かさを知りました。東京での消費社会に窮屈さを感じている人たちに、ジビエを通してこのライフスタイルを共有したいと考えています

Q2. 活動を始めたきっかけは?

大学1年生の夏、2ヶ月ほどヨーロッパを一周するバックパッカーの旅に出たんです。

旅では、イスラエル出身の無神論者と南アフリカ出身のキリスト教徒の人たちと信仰について熱く議論したり、イタリアのコモ湖で終電を逃して、イギリス人の女の子と公園でテーブルクロスをかけて寝たりと、本当に刺激的で密度の濃い経験をしました。

その途中で、1週間ほどスイスでの『ファームステイ』を経験しました。いちばん衝撃を受けたのは、広大なアルプス山脈に、牛たちが完全に放し飼いにされていること。 現地の農家さんたちは、牛は乳が張ると生理的な欲求で自発的に小屋へ帰ってくるし、首につけたベルの音で現在地を知らせてくれるから大丈夫なのだと説明してくれました。

わたしは、 人間が自然を支配するのではなく、動物の本能や自然のサイクルに美しく人間が乗っているということに、はかることのできない心の振幅、驚き、感動、そして恐怖といった、ありとあらゆる感情を全身で感じました。

帰国後、強烈な旅の禁断症状に駆られて、知人の紹介で辿りついたルースターに連絡すると、『とりあえず見においで!』と迎え入れてもらって。すぐにルースターでの自由で非日常的な暮らしに魅せられ、いまの二拠点生活に至ります。

そこで出会った、ルースターによく遊びに来る人が食用ジャーキーをくれて。その美味しさにあまりにも感動して、ジビエに興味を持つようになりました

Q3. 活動をする中でつらかったことは?

旅をしているとき、自分が完全体でなんでもできるという無敵な感覚があります。しかしそれが日常生活に戻ると失われてしまうことに、ずっと息苦しさを感じていました。

自宅に戻ると、頭の中にはやりたいことがたくさんあるのに、なぜか体が動かず、行動に移せなくて。その停滞感との葛藤は、いまでも大きな壁です。だから、わたしは遊牧民なのだと思います。

でもルースターでの同世代の写真家の子との出会いが、その葛藤からわたしを引っぱりだしてくれたんです。彼はルースターの近くの出身で、わたしと同じようにバックパッカーを経験し、同じレンズを通して世界を見ていると感じます。 Amaterasuも、彼が紹介してくれた友人にコンセプトビデオのディレクションと衣装制作をお願いすることになって。

頭の中で考えるだけで行動に移すのが苦手なわたしとは反対に、大胆なマニフェスト能力を持つ彼に刺激されて、Amaterasuの活動が一気に加速しました

Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?

未来ばかりを見て『いま』を見失っている同世代の子たちに、いまを徹底的に楽しむことを共有したいです。

わたしもバックパッカーやルースターでの生活を経験する前までは、横浜での便利で快適な暮らしの中で、自分で考えなくても、社会の中でいいとされているルールに従って進んできたように思います。特にわたしは俯瞰して物事を見がちで、ひとつを選ぶと他のことができなくなる気がして。何かを極めたり、没頭したりした経験がありませんでした。

でもルースターで人生のお手本たちに囲まれて過ごす中で、わたしの価値観は大きく変わって。

彼らの生き方に触れ、わたしは、日々の中で煩わしいと感じるものや、ささやかなものこそを大切に、もっと自由に生きていきたい、そしてその考え方を広めたいと思うようになりました」

Q5. 将来の展望は?

「人とのつながりによってどんどん新しい自分の目標が決まっていくので、正直まだ具体的な展望はなくて。幸せでいることと、周りの人を幸せにすること、という大きな目標はあります。

ひとつ考えていることとしては、東京に数多といるアーティストたちの活動を見て、とても面白いのにこの資本社会だとお金にならずに生活が困窮して、思うような表現活動ができていないと感じていて。その状況を変えたいです。

そのための一歩として、本格的に始動しようとしているAmaterasuを通して、アーティストたちとコラボする予定です。目の前の決められた社会に縛られないで『地球で自由に遊ぶ』ことを自ら、そして周りのみんなといっしょに、体現していきたいです」

春姫のプロフィール

年齢:19歳
出身地:神奈川県横浜市
所属:早稲田大学国際教養学部
趣味:旅 サーフィン 読書
特技:
大切にしている言葉:ありすぎて書ききれません。

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Photo:Nanako Araie
Text:Ririka Takashima

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Ririka Takashima

ライター

2006年生まれ。早稲田大学国際教養学部にて、英文学を中心に比較文化学や認知科学、国際関係学など多領域を横断して学ぶ。「一期一会」をモットーに、世界中の価値観に触れながら自らの感性をアップデート中。境界線のない自由な視点で、新しい世界の切り取り方を探求している。

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