
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、植民地時代にアフリカから持ち出された文化財の返還について紹介します。
アフリカの多くの文化財はどこにある?
サハラ以南アフリカの文化財の90%以上は、現在もアフリカ大陸外で保存・所蔵されています。この事実は、セネガル出身の経済学者と、フランス・ドイツの美術史家が共同執筆した報告書によって示されました。
報告書では、サハラ以南アフリカの90,000点もの文化財が、フランスの公共コレクションに所蔵されているとのこと。そのうち約46,000点は、1885年から1960年の間にサハラ以南アフリカから持ち出されたものだと推定されています。
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1885年、ベルリン会議が開かれ、フランスやイギリス、ベルギーなどは植民地支配を拡大しました。その後、1960年前後には多くのアフリカ諸国が独立。そのため、これらの文化財は植民地時代にフランス軍や植民地行政官によって持ち出された物品であると指摘されています。
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近年、ヨーロッパ諸国の中には、返還を推進している国もあります。2017年、フランスのマクロン大統領は「5年以内に、アフリカの文化遺産をアフリカへ一時的または恒久的に返還する条件を整えたい」と発言しました。2022年にはドイツから、ナイジェリアに文化財20点の返還がおこなわれています。
返還ではなく「貸与」
一方で、実際に文化財の返還は、大規模には進められていないのが現実です。
その代表例が、ガーナを中心に栄えたアサンテ王国の文化財です。1807年、イギリスが大西洋奴隷貿易を禁止すると、アサンテ王国は、奴隷貿易に代わってイギリスとの通商を拡大。しかし、両国の対立は深まり、1874年の戦争後にはアサンテ王国から黄金製品など数多くの文化財が略奪されました。高度な鋳造によって作られたアサンテ王国の黄金製品は、イギリスで高い評価を受け、博物館や個人収集家、王室などに渡りました。現在でも、これらは大英博物館やヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、英国王室コレクションなどに所蔵されています。
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これらの文化財は、いまだ多くが返還には至っていません。大英博物館などのイギリスの国立博物館は、イギリスの法令により、コレクション内の品物を返還することが禁じられているのです。
2024年、大英博物館とヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、アサンテ王国の黄金製品をガーナに“貸与”しました。しかし、貸与はたった3年間であり、延長が可能ではあるものの、国内外で議論を呼んでいます。
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このように、国立博物館などの公的コレクションは国の公有財産に属するため、法令により国外へ所有権を移転することができない、といったことも返還が進まない理由のひとつです。
文化財の尊厳を取り戻すために
2025年、UNESCOはエチオピアでアフリカ54カ国の代表が参加する文化財返還に関する会議を開催しました。この会議では、文化財の返還は単に物を元の場所へ戻すだけではなく、植民地支配によって失われた歴史や記憶、文化的な尊厳を取り戻す重要な取り組みであることが強調されました。
一方で、文化財の所有権をめぐる法的な問題など、植民地時代に形成された制度は現在も返還の大きな壁となっています。今後は、アフリカと旧宗主国が過去の歴史とどのように向き合い、アフリカの文化財返還をめぐってどう公平な将来を築いていくかが議題となっています。
References:
Felwine Sarr, Bénédicte Savoy「The Restitution of African Cultural Heritage.Toward a New Relational Ethics」
BANQUE des TERRITOIRES「Culture – Rapport Savoy-Sarr : les musées de collectivités sont-ils concernés par la restitution d’œuvres africaines ?」
The Guardian「France urged to change heritage law and return looted art to Africa」
Unesco「Reconnecting heritage: Voices from Africa on restitution of cultural property」
Text:Hao Kanayama






