
「気になる10代名鑑」1356人目は、村澤心都さん(19)。長野県の小中高生に向けて、平和や国際問題を身近に感じてもらうためのプロジェクト「信州ピースラボ」を立ち上げ運営しています。長野と世界をつなぐ翻訳者になりたいと語る村澤さんに、活動を始めたきっかけや印象的だった出来事、実現したいビジョンについて話を聞いてみました。
村澤心都を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「今年の4月に立ち上げたプロジェクト『信州ピースラボ』の活動です。地元である長野県の小中高生に向けて、平和や国際問題を身近に感じてもらうためのSNS発信や、出前授業の企画をしています。基本的にはひとりで運営していて、いまは長野県内のふたつの中学校と、年内の授業実施に向けて調整中です。
大学ではアラビア語を専攻していて、パレスチナ問題や中東地域について学んでいます。中東って、紛争や貧困のイメージが目立ちがちな場所なんですけど、勉強してみると料理や服装、宗教の考え方にもそれぞれ深い意味があって、本当におもしろい世界なんです。
小学校への出前授業では、いきなり戦争の話から入るんじゃなくて、中東の料理や映画から興味をもってもらえたらいいなと思っています。そもそも中東ってどこ?って感じる子もいると思うので、世界地図を持っていって、国当てクイズをするのも楽しそうだなって考えているところです」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「小中高のころから、ひめゆりの塔や原爆ドーム、サイパン島、鹿児島の知覧特攻平和会館など、戦争について学ぶ場所に連れていってもらう機会がたくさんあって。知覧では、日本軍の特攻隊に韓国出身の人もいたことを知って、日本は被害者でもあるけれど、加害者でもあるんだって衝撃を受けましたね。
具体的に活動をはじめるきっかけになったのは、今年2月のイスラエルとアメリカのイランへの攻撃でした。本当はその時期に留学へ行くつもりだったんですけど、体調を崩して行けなくなってしまって。友だちが海外で学んでいるのを見ながら、いまの世界の状態の中で、日本にいるわたしにできることってなんだろうってずっと考えていました。
そのとき気づいたのが、わたしは昔からいろんな経験をして世界と少しずつつながってきたけれど、周りの長野の人たちには世界のことを知る接点がぜんぜんないという現状でした。地元の子たちに世界への入り口を届けたい。そう思って、信州ピースラボを立ち上げました」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「いちばん印象に残っているのは、活動の参考にするために『沖縄とガザの共通点』というテーマの講演会を聞きに行ったことです。
登壇していた沖縄出身の人が、自分はガザの問題を知るまで、地元の米軍基地問題について考えたことがなかったと話していて。生まれ育った場所の問題を、遠い国のことを通してはじめて考えたというエピソードにハッとしました。
沖縄とパレスチナには、外から来た人たちに土地を奪われた歴史や、いまでも米軍の所有する土地のお墓参りに行くだけで通行証がいるという理不尽な状況にも重なる部分があるんです。米軍の人が『お墓を掃除しました』とその上で写真を撮っていた、という話を聞いたときは本当に衝撃で。
わたしは毎日パレスチナのことを考えているのに、同じ日本である沖縄のことは考えられていなかったなって気づかされました。この体験があってから、遠い問題も身近な問題も、地続きなんだよって伝えていきたい気持ちがすごく強くなりました」
Q4. 活動を通して、実現したいビジョンは?
「長野県の子どもたちが、世界で起きている出来事を『遠い国の話』じゃなくて、自分とつながる問題として考えられるきっかけをつくりたいです。わたし自身長野で育って、留学生に会う機会もあまりなかったからこそ、世界への入り口になる出会いの大切さを実感しています。
長野にこだわるのは、純粋に長野が好きだからというのと、わたしが平和や戦争に関心をもてたのは、長野のお寺の方や学校の先生たちのおかげだからなんです。今度はわたしが、次の世代の子たちに恩返しをしたいなとおもっています。
国際問題ってどうしても難しく語られがちで苦手意識をもっている人もいます。でも、まだ学んでいる途中の学生のわたしだからこそ、身近な言葉で伝えられることがあると思っています。難しいことを難しいまま伝えるんじゃなくて、わかりやすくおもしろく届けたいです」

Q5. 将来の展望は?
「将来は、報道やメディア、広告など『伝える仕事』に就きたいと考えています。いまは新聞社で翻訳のアルバイトもしていて、この夏はイエメン大使館でインターンにも参加する予定です。大学で学んだことを現場で活かしながら、視野を広げていきたいと思っています。
信州ピースラボの活動としては、長野の中学校や高校で、世界への入り口になるような授業をたくさん届けていきたいです。まずは現在調整中の2校での実施を目指します。
わたし個人としては、情報伝達を通して人の心を動かせる人になりたいです。興味は国際問題にとどまらず、いろんなことをわかりやすくおもしろく伝えられる翻訳者を目指します」

村澤心都のプロフィール
年齢:19歳
出身地:長野県長野市
所属:東京外国語大学/信州ピースラボ
趣味:アンティーク雑貨集め、IVEのライブに行くこと
特技:初対面の人ともすぐ打ち解けられること、企画を形にすること
大切にしている言葉:知ることが行動の第一歩、Six Degrees of Separation(六次の隔たり)
村澤心都のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike






