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釣り人だからこそ気づいたリアル。欧米で注目の「釣りライセンス制度」の実現を目指す高校生【山本詩・17歳】

釣り人だからこそ気づいたリアル。欧米で注目の「釣りライセンス制度」の実現を目指す高校生【山本詩・17歳】

「気になる10代名鑑」の1305人目は、山本うたさん(17)。大好きな釣りの未来を守るため、海外では一般的になりつつある「釣りライセンス制度」の日本での導入に向けて奮闘しています。海と釣り人が調和し合う関係性を夢見ている山本さんに、オーストラリアの留学で見えてきたリアルや、海への想いについて聞いてみました。

山本詩を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

日本で『釣りライセンス制度』を導入するための活動に力を入れています。

釣りライセンス制度というのは、釣り人が一定のお金を支払い、そのお金を海洋保全や漁場管理の資金として活用する仕組みのことです。オーストラリア、アメリカ等欧米ではすでに導入されている国も多いのですが、日本ではほとんど浸透していなくって。その現状について探究するため、高校2年生の夏に『トビタテ!留学JAPAN』奨学金制度を活用して、オーストラリアに留学しました。

現地には日本にはまだない仕組みや考え方がたくさんあって。専用のアプリで釣りが可能なエリアを確認した上で釣りに出かけられたり、釣った魚をカメラで撮影してサイズを判定できたりするんです。ただ釣りを楽しむだけではなく、『釣りを楽しみながら、海ももちろん保全する』という意識が制度として根づいていたことには感銘を受けましたね。

さらに、アブダビで開催されたIUCN World Conservation Congress 2025で各国の海洋保全や釣り制度について取材をおこなったり、所属している学生団体『Blue Campus』で、仲間とつくった海洋教育教材の海外展開に挑戦したりもしています」

 

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Q2.活動を始めたきっかけは?

「2050年には海洋ゴミの量が魚の量を上回るとされる、『2050年問題』について知ったことです。

ぼくは5歳から釣りをしていて、自転車で港へ通いつめるくらいに釣りが生活の一部だったんです。

でもその一方で、海洋ゴミや釣り人のマナー問題を目にすることが増えていって。アジの代わりに釣れたフグを海へ戻さず、堤防に放置していく人がいたり、落ちている釣具のゴミを見て、いたたまれない気持ちになったりすることもありました。そんな現状の中で、お気に入りだった金沢の港が立ち入り禁止になってしまって、寂しく感じたこともありました。

釣り人が環境負荷をかけているのは事実かもしれない。だからこそ、一人ひとりの意識が変わらない限り、大好きな釣り文化を未来に残していくことはできないと感じるようになりました。そんな危機感から、ぼく自身が行動を起こそうと思ったんです」

Q3. 活動で大切にしていることは?

自分自身の五感で直接感じ取った一次情報と、話し合いの姿勢を大切にしています

釣りライセンス制度を探究するためのオーストラリア留学では、自分が調べていた内容と実状とのギャップに悩んだことがありました。ライセンス制度が活用されていると思っていた州でも、ぼくが滞在した地域では海釣りにライセンスが必要なくて。自分のリサーチ不足や見込みの甘さを痛感しましたね。でも、その経験があったからこそ、二次情報だけでわかった気にならず、自分で足を運んでリアルを確かめようとする姿勢が身についたと思います。

アブダビで開催された『IUCN World Conservation Congress 2025』では、各国の専門家や関係者にも積極的に話しかけました。最初は高校生の自分が相手にされるのかなという不安もありましたが、実際話してみると、専門家の人たちが真剣に向き合ってくれて。とても嬉しかったですね」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

海を守ることが特別ではなく、当たり前になればいいなと思っています。

ぼくは地方で育ったので、海がすごく身近な存在です。対照的に、都会で暮らす人々は海洋問題をどうしても自分ごととして捉えにくい部分があると思っていて。海との距離が遠くなるほど、海を守るという感覚が薄れてしまう気がするんです。

だからこそぼくは、海を守ることが自然と行動につながる仕組みをつくりたいと思っています。釣りライセンス制度もそのひとつで、釣り人が楽しみながら海洋保全にも参加できるような仕組みが広がれば、釣り文化が海に海にやさしいかたちで未来に引き継がれていくんじゃないかなって。

理想は、海と人がちゃんと調和している関係です。釣りをする側も海のことを考えて行動することで、次の世代も当たり前に釣りを楽しめる環境が少しでも長く続いていけば、それ以上のことはありません。中高における総合型学習の時間でも、海洋教育を導入するなどして、小さい頃から海や自然に親しむ機会を当たり前に持てれば、海との距離感も変わっていくかもしれないですよね」

Q5.将来の展望は?

日本で釣りのライセンス制度の導入を達成したいです。

そのために大学では、環境法や公共政策を学びながら、制度をどう社会に実装していくのかを本格的に探究したいです。いずれは釣具メーカーや行政とも連携しながら、日本の釣り文化に合った制度のかたちを模索していきたいと思っています。

また最近は、環境にやさしいウッドルアーづくりにも挑戦しています。釣りではどうしてもルアーを海にロストしてしまうことがあるので、少しでも環境負荷を減らせるものを自分の手で作れないかと考えていて。まだ試行錯誤中ですが、実際に手を動かしながら考える時間はすごく楽しいですね。

ぼくにとって釣りは、自然とつながれる大切な居場所なんです。ひとりの釣り人として、大好きな釣り文化を未来に残すために、できることを少しずつ形にしていきます」

山本詩のプロフィール

年齢:17歳
出身地:新潟県上越市
所属:小松大谷高校、学生団体 Blue Campus 2026 グローバルチーム代表
趣味:旅行、野球観戦
特技:釣り
大切にしている言葉:Think globaly, Act localy

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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。慶應義塾大学2年。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」での記事制作を担当。スタートアップ、パブリックアフェアーズ、終活やケア領域まで多様なテーマに跨って活躍している。

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