Teen's Snapshots

木の家具と同じように当たり前な世の中にしたい。3Dプリンターの未来を学校教育から変える高校生【永井健太・17歳】

木の家具と同じように当たり前な世の中にしたい。3Dプリンターの未来を学校教育から変える高校生【永井健太・17歳】

「気になる10代名鑑」の1285人目は、永井健太さん(17)。中学1年生で3Dプリンターと出会い、その感動を伝えるワークショップを開催しています。頭の中に描いたものが手元に出てくるあのワクワクを多くの人に届けたいと語る永井さんへ、ワークショップへの想いや将来への展望について聞いてみました。

永井健太を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?

3Dプリンターをもっと多くの人に知ってもらいたくて、3Dプリンターを使ったワークショップの開催と、学校内での有志団体『@clubファブラボ』の運営をしています。

ワークショップでは、小学生から高校生を対象に、学校や図書館、イベント会場など月に4回ほど開催していて。食品、住宅、ドレスにまで使われる3Dプリンターの世界を紹介したあと、参加者には実際にデザインして印刷するところまでを体験してもらいます。

先日は、5月に『こいのぼりを作ろう』というテーマで、子ども向けのワークショップを開催しました。年長のお子さんでも、簡単にパパっと作り上げてしまい、子どもならではの想像力もかたちにできることを改めて実感しました。中学2年生から始めたこのワークショップは、延べ250名以上が参加してくれています。

@clubファブラボは、3Dプリンターなどのデジタルファブリケーション機材が使える学内施設『FabLab』を拠点としています。3Dプリンターを使ってみたいけどやり方がわからない、ものづくりをもっと奥深くまで体験してみたいという生徒へ、使用方法を伝えながら自由なものづくりができる活動をおこなっています」

Q2. 活動を始めたきっかけは?

中学1年生の時に、入学と同時に学校へFabLabができて、そこで初めて3Dプリンターに触れたことがきっかけです。

幼い頃からダンボールや接着剤で工作するのが好きで、よく自宅で作っていたのですが、段ボールや紙だと、小さいものは難しいし耐久性にも限界があって。そんな時に複雑なかたちや細かい部分にわたるまで、待っているだけで作れてしまう3Dプリンターと出会い、こんなに簡単にものづくりができる手法があるんだって、感動したんです。

最初に作った作品は、公衆電話です。ちょうど公衆電話のガチャガチャを集めていたこともあり、校内を歩いていて目に入った瞬間、『これだ』と思ったんです。

下校する前に印刷を始め、翌朝登校すると作品は完成していました。自分が見ていない間にも、設計した通りにかたちになっている。頭の中に描いたモノが実際に手に入る。その体験に強い衝撃を受けると同時に、大きなワクワクを感じたのを覚えています。その感動を今度は誰かに伝えたいと思い、活動を始めました」

Q3. 活動をしている中で、印象的だった出来事は?

「高校2年生の時に出場した、3D造形・製造技術に関する研究者や専門家が集まる学会『4DFF2025』で大会実行委員長賞を受賞したことや、全国高校生マイプロジェクトアワードの全国summitで受賞した全国ロールモデル賞の時の出来事が印象に残っています。

マイプロジェクトアワードでは、審査員の中に、文科省でDXハイスクールという補助金の担当をしていた人がいました。3Dプリンターを中学校にも展開していきたいというお話をしたところ、ぼくの活動に共感してもらえて。ほかにも、石川県の高校の先生と縁ができて、授業や講演の依頼をもらいました。3Dプリンターへの想いやものづくりに対する姿勢が届いたと感じて、とても嬉しかったのを覚えています。

同時に、自分の活動が学校教育や社会の課題とつながっているんだと、はじめてリアルに実感した瞬間でもありましたね

Q4. 活動するうえで、大切にしていることは?

自分ができることで、誰かの役に立ちたいという思いです。

小学3年生から6年生まで学級新聞を発行していたり、生徒会に4年間在籍していたりと、自分が調べたことや伝えたいと思ったことで、誰かの支えや助けになれたらという気持ちが根底にあります。3Dプリンターもそのひとつになると思っていて、頭の中に描いたものが手元に入るという感動を、ひとりでも多くの人に届けたいという気持ちと同時に、日本のものづくりを次の世代につなぎたいとも思っています。

ものづくり大国と言われた日本が、人材不足・後継者不足に悩み、3D技術者の需要が高まっている中、使える仕組みづくりが必要だと感じていて。自分が感じたワクワクを次の誰かへ渡しながら、3Dプリンターの活動を通して、その課題へアプローチしていきたいです」

Q5. 将来の展望は?

3Dプリンターが当たり前に日常にある世界をつくりたいです。

木の家具を見て『これは木だ!』と驚く人はいないと思います。そんな風に、3Dプリンターで作られたものが日常に溶け込んでいたら、もう誰も『3Dプリンターだ』と驚かなくなる。そんな世界を目指しています。いまは3Dプリンターを見ると、みんな食いつくように見るんですよ。それって、まだ非日常だからで、その食いつきがなくなったときこそ、3Dプリンターが本当に日常に溶け込んだ証拠だと思っていますね。

そのためにも、まず学校教育の中から変えていきたいと思っています。国の補助金で3Dプリンターを導入した学校が増えていますが、『誰も使い方がわからない』まま眠っているケースが多いんです。せっかく機材があるのに、使われないまま終わってしまうのはもったいない。そういう学校に飛び込んでいって、使える場所に変えていきたい。

ワークショップで子どもたちが初めて3Dプリンターを見て、目を輝かせる瞬間があるんです。あの瞬間を増やすために、この活動を続けていきたいと思います」

永井健太のプロフィール

年齢:17歳
出身地:東京都板橋区
所属:聖学院中学校・高等学校グローバルイノベーションクラス(GIC)4期生、聖学院@clubファブラボ 会長
趣味:ものづくり、電子工作、バイブコーディング、写真撮影、旅行
特技:リサーチ力
大切にしている言葉:「可能性は無限大」「精神一到何事か成らざらん (朱子語類 学二)」

永井健太のSNS

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Photo:Nanako Araie
Text:Serina Hirano

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Serina Hirano

ライター/ディレクター

10代名鑑ディレクター兼ライターとして、2024年1月にSteenzへjoin。東京と伊豆の二拠点で活動中。インタビューを中心とした記事をはじめ、学生、スタートアップ企業、まちづくりの現場まで多方面で活躍。

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