
「気になる10代名鑑」1284人目は、安野美乃里さん(19)。東京都にある第五福竜丸展示館で学生ボランティアとして活動しています。被爆地である長崎県で生まれ育ち、平和や核を取り巻く社会問題について関心を深めてきました。活動を始めた背景や日々の取り組み、そしてその根底にある思いについて聞きました。
安野美乃里を知る5つの質問

Q1. いま、いちばん力を入れている活動は?
「第五福竜丸展示館でのボランティア活動です。
ビキニ環礁での水爆実験によって被ばくした(放射線を浴びた)漁船・第五福竜丸を保存・展示し、核兵器の問題や歴史を伝えている施設です。
来館者へのガイドをはじめ、イベントの運営補助や書籍の販売など、幅広い業務に携わっています。特に最近は、展示館が所蔵している資料の管理にも関わっていて、古い本や貴重な資料に触れられることは、わたしにとっても貴重な経験になっています」
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Q2. 活動を始めたきっかけは?
「長崎県出身で、幼い頃から平和教育を受けてきていて。戦争や平和について考える機会も多くあったので、自然と核の問題に関心を持つようになりました。
転機は、高校時代にロシアによるウクライナ侵攻をニュースで目にしたことです。遠い出来事でありながらも、その現実に強い衝撃を受けて。この出来事をきっかけに、高校生平和大使に応募し、3年間活動しました。
その後、大学進学で上京し、東京で参加できる活動を探す中で、高校時代に訪れた第五福龍丸展示館のことを思い出しました。調べていく中で、知人がボランティアとして関わっていることを知り、私自身もコミュニティに参加するようになりました」
Q3. 活動するうえで、大切にしていることは?
「もともと興味関心を持つことは多いですが、知識として知るだけで終わってしまうことに危機感を持っていました。だから、社会問題を考える時にはできるだけ現地に行き、人と直接関わることを意識しています。
今年の3月には、原子力発電や災害についてもっと知ろうと思って、福島県に足を運びました。そこで、福島の原発事故で帰還困難区域に指定されている浪江町に自宅がある人のお話を聞くことができて。避難先で向けられた悪気のない言葉に傷ついたこと、その土地に根付いていた暮らしを奪われた悔しさを知りました。現地を訪れたからこその出会いと学びがありました。
また、第五福竜丸展示館での活動でも、核兵器の問題は、いまもなお人々の生活や尊厳に影響を与え続けているものだと実感しています。実際にその体験を聞く中で、『ヒバクシャ』(原子爆弾による被爆者と放射線を浴びたことによる被ばく者の両方を含む表現)というひとくくりの存在ではなく、一人ひとり異なる人生や背景を持った個人として向き合うことも大切だと学びました。
こうした経験から、表面的な知識だけでなく、その背景にある人々の思い、そこから見えてくる社会の構造まで含めて、理解しようとする姿勢を大切にしています」

Q4. 影響を受けた人物は?
「長崎の被爆者である中村由一さんです。高校時代の活動を通じて出会い、現在も交流が続いています。
中村さんは差別部落出身者であることと、被爆者であるという二重の差別を受けてきました。この2つの要素は見た目だけではわかりません。しかし、その事実だけで勝手に判断され、苦しめられてきたのだと知って。
核兵器の問題は被爆の瞬間だけでなく、その前後の社会の中で生まれる差別や構造とも深く関わっていることに気づき、自分の認識が大きく変わりました」
Q5. 将来の展望は?
「核被害者をテーマに学びや研究を深めながら、NPOなどを通して社会と関わり続けていきたいと考えています。これまでの経験を一過性のものにせず、自分の人生と結びつけながら、できるかたちで行動を続けていきたいです。
いまは、同世代が社会問題について気軽に語り合える場づくりにも取り組んでいます。今後も自分の考えを発信できるコミュニティを広げていきたいです」

安野美乃里のプロフィール
年齢:19歳
出身地:長崎県諫早市
所属:立教大学、第五福竜丸展示館学生ボランティア
趣味:猫動画視聴、軽い登山
特技:野良猫にすぐ気付くこと
安野美乃里のSNS
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Photo:Nanako Araie
Text: Yuka Miyazaki






