
「気になる10代名鑑」1279人目は、深鳴紋さん(18)。MV制作やプロダクトデザインをはじめ、アプリの設計やプログラミングなど、マルチな分野で活動しています。iPadのプレゼンテーションアプリから制作をはじめたと話す深鳴さんに、その初めての作品や印象に残っている出来事について詳しく聞きました。
深鳴紋を知る5つの質問

Q1.プロフィールを教えてください。
「ミュージックビデオやアプリケーションの制作をメインに、特定のジャンルにとらわれずに創作活動をしています。
一貫して意識しているのは『体験設計』です。顧客体験を意図的にデザインし、顧客満足度やビジネス成果を高めるという、本来ビジネス文脈で使われるものです。わたしの活動のなかでは、作品そのものだけでなく受け手の一連の鑑賞体験がアートになるようなものをつくるという意味でとらえています。
今回顔出しをせずに自作のパネルを持ってきたのも、『体験設計』に近い遊び心があって。取材前に過去のSteenzの記事をいくつか見たのですが、顔を出している人が多いなと思ったんです。それが当たり前のなかで、ちょっと変わったサムネイルがあれば面白いんじゃないかと考えました。
サムネイルを見たときに、このかたちに何の意味があるのか疑問を持って考えてくれる人がいれば、ただの物質だったパネルにも新しい解釈が生まれるのではないかなと期待しています」
Q2.活動をはじめたきっかけは?
「好きなMVがどうやって作られてるのか知りたくて、自分で再現できる方法を手当たり次第に試したところが出発点でした。
小学4年生のときに初めて作ったMVは、NHKの『デザインあ』という番組に感動したのがきっかけでしたね。普段見慣れてるデザインを改めて深掘りするみたいな視点が多くて。学校で使う文房具とか、どこにでもある横断歩道のデザインってどうなっているんだろうというのを深堀りしていくもので、創作に対する好奇心が刺激されたんです。
当時は小さなiPadしか持っていなかったのですが、そこに入っていたプレゼンアプリを使って、1フレーム1スライドとしてコマ撮りのように映像を作っていました。結果、1曲のMVのためにスライドショーで1000枚分作っちゃって(笑)。Enterキーを早押ししまくって動画っぽくしたかったのですが、手動なので音楽とはテンポが合わなかったですね。
MVをコマ撮りで作るのは半年ほどで飽きてしまったのですが、中学校に入学したタイミングで、コロナ禍に入ったことでパソコンを触る機会が増え、そこから制作活動が本格化しました」

Q3.活動をしている中で、印象的だった出来事は?
「昨年制作した、『バイバイシンドローム』という曲のミュージックビデオが印象的です。動画がYouTubeに投稿されたときにはひと区切りというか、これで作品が完結したと思っていたのですが、あとから連絡が来て。大阪で開催されたVSingerフェスのインターバル映像として採用され、たくさんの来場者の目に触れることになったんです。作品が自分の手を離れて勝手に動き出したことを実感して、すごく嬉しかったですね。
ほかにも、高校生のときにグループワークとして制作した、小学生向けの地域探検アプリ『まちたん』も印象深いです。小学校3年生の学習指導要領には、地域を自分たちで歩いて体験することが書かれているのですが、ただ長い距離を歩くのではなく、もっと探検を楽しんでほしいと思って。歩いた道がそのまま絵になるという、GPSアートを活用したアプリを作りました。UIデザインとプログラミングを担当し、実際に地域の小学生に体験してもらいました」
Q4.活動の中で、悩みがあれば教えてください。
「何を作るべきかということで、悩んでいた時期はありました。年数をかけて道具も技術もある程度揃ってきたなかで、できることが増えるほどに選択肢が増えて。プロダクトデザインでも、映像制作でもいいし、アプリ設計もよさそうってなって、自分が何を作ればいいのかわからなくなったんです。
でも、美大に入学してからは、あまり深刻に悩まなくなりました。いろんな人と出会ってたくさんの世界観に触れたことで、直感で好きなものから始めていければいいやって思えるようになったんです。自分にないスキルを持っている人たちや、アートの第一線で活動されてる先生と交流しながら、楽しんで制作ができています。
でも、活躍している先輩方は、コミッションワークとして依頼を受けながらも、それとは別で自分のやりたい制作をちゃんとやっている人が多いんですよね。なのでわたしもこの1年間は体験設計をどういうかたちにしていくか考えて、自分のスタイルを模索していくつもりです」
Q5.将来の展望は?
「そもそも作家になりたいのかもまだ決まっていないのですが、まずは自分のコンセプトを確立していきたいと考えています。最終的には、効率化が追い求められがちな情報技術の分野でも、感動や感情が切り離されないようにしたいですね。アプリケーションやワークショップなど、美術の領域とは一見関係なさそうなものも、体験設計として芸術の文脈でデザインしていきたいです。
先ほど話したMVのように、投稿したら終わりではなく、自分のいる場所とは全然違うところで動き出す作品を作って、受け手の力で広がっていくようなアートを実現したいと思っています」

深鳴紋のプロフィール
年齢:18歳
出身地:千葉県
所属:多摩美術大学 情報デザイン学科
趣味:映画鑑賞、メロンパン集め
特技:欲しいアプリを一日でつくること
大切にしている言葉:SF(すこしふしぎ)
深鳴紋のSNS
★X
諸事情でポートフォリオサイトを改修中なので、behanceにて掲載しています
よろしくお願いします🙏https://t.co/gW8p8FE5Mc— 深鳴 紋 / Fukanaki Aya (@CSea2073) April 6, 2026
Photo:Nanako Araie
Text:Yuzuki Nishikawa






