
世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、アフリカから仕事を求めてヨーロッパへ渡った人々の中で、人身売買が多発している現状について紹介します。
性的人身売買の被害者数は3年間で約6倍に増加
先週のSteenz Breaking Newsでは、リビアからヨーロッパを目指す移民が密航業者によって搾取されている現状について紹介しました。しかし、無事にヨーロッパに辿り着けたとしても、現地で人身売買に遭ったり、売春を強制させられたりするケースが多発していると言うのです。
EU(欧州連合)の調査によると、2024年、27カ国のEU加盟国における人身売買の被害者数は9,678人でした。そのうち、性的搾取をともなう人身売買の被害者は、全体の46%に当たる4,219人。売春目的に取引される外国人女性の中でも、最も多い国籍はナイジェリアとされています。
国連移民機関(IOM)は、2014年から2017年の3年間だけでも、イタリアに海上で到着した性的人身売買被害者数がおよそ6倍以上増加したと発表しています。また、ナイジェリアから到着した女性・少女の80%が性的人身売買被害者だと推定。さらに、被害者のほとんどは若く、13歳から24歳と言われています。地域としては、ナイジェリアのエド州が最も多く、2017年にはエド州の出身者が9割以上を占めたという記録もあるそうです。
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売春の仲介者は同郷の女性である場合も
アフリカからヨーロッパに渡航する人々の多くは、借金をして渡航しています。人身売買の組織や密航組織の主な手口は、この債務を利用して女性を騙し、売春を強制させるというもの。報道によると、「ヨーロッパで美容師として仕事がある」「家政婦の仕事がある」といった約束をされて渡航したものの、実際は売春を強制させられたといったケースが多く報告されているとのことです。

多くの女性たちが売春から抜け出せない背景には、「マダム」と呼ばれる仲介者の存在も関係しています。地域内で人身取引のネットワークが構築されており、被害女性と同じ地域の出身であることが多いと言うのです。さらに、全く稼ぎがない状態では帰国できない、売春を恥だとして家族などに相談できないといったことも、こうした状況に女性たちを縛りつける要因となっています。
地域特有の信仰を悪用した精神的な支配もあると言います。例えばアフリカの一部の地域では、宗教とは別に「呪術信仰」が存在しています。売春の仲介者や人身売買組織は、呪術を用いて被害者女性の債務契約や権力関係を認識させ、本人や家族を脅迫。被害者の脱走や通報を極めて困難にしているのです。
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被害者の女性をどう救う?
そんな中、2000年に設立された「Piam Onlus」は、人身取引の被害者である女性を救う活動をしています。
イタリアに拠点を持つPiam Onlusは、HIV/AIDSの予防を目的とした健康診断やカウセリングの提供、売春をやめたい女性が過ごせるシェルターハウスの管理などをおこなっています。また、彼女らが自由に将来を選択できるようになるために、識字率を向上させる活動と職業訓練を実施。地域の企業の支援により、就職先の紹介もしているそうです。
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こうした活動もある一方で、アフリカからヨーロッパに渡り性的人身売買の被害者となった女性の多くは、多額の利益を得る巨大な人身取引ネットワークによって支配されています。解決のためには、アフリカとヨーロッパの各国が連携し、実態の調査や被害者の保護・支援を進めていくことが不可欠です。
References:
Eurostat「9 678 registered victims of human trafficking in 2024」
IOM「UN Migration Agency Issues Report on Arrivals of Sexually Exploited Migrants, Chiefly from Nigeria」
PIAM Onlus「PIAM」
Text:Hao Kanayama






