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新しい福祉のカタチ? 0~100歳までが集い交流する福祉施設とは【Steenz Breaking News】

新しい福祉のカタチ? 0~100歳までが集い交流する福祉施設とは【Steenz Breaking News】

世の中にあふれる情報から、10代が知っておくべき話題をお届けする「Steenz Breaking News」。今日は、0歳~100歳までの多世代が集う福祉施設についてご紹介します。

0~100歳まで、多世代がひとつの建物に集う福祉施設

高齢者や障害者、児童など、日常生活や社会生活の中で支援が必要な人々に対してさまざまなサービスを提供している福祉施設。保育園や学童保育、児童館、高齢者向けのデイサービスなど、多様な種類の施設がありますが、多くの場合、そのどれもが単一の独立した施設として運営されています。

ところが2024年、そうした既成概念を覆す福祉施設が東京・江東区に誕生しました。その名も「深川えんみち」。施設は2階建ての建物で、1階には高齢者のデイサービスと私設図書館が、2階には学童保育と子育てひろばが入居しています。

 

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高齢者と子どもたちの交流が日常風景に

「深川えんみち」では、施設のデザインに工夫を凝らし、学童保育に通う子どもたちがデイサービスの中を必ず通る導線を描きました。壁や仕切りも少ないことから、高齢者と子どもたちの間に自然とコミュニケーションが発生するように。学校から学童にやってきた子どもたちが高齢者に「ただいま」と声をかける姿も、ごく当たり前の日常の一コマになっているそうです。

また、子育てひろばに訪れた親子が高齢者と交流を持つことも。生後半年の赤ちゃんと104歳のおばあちゃんが直接触れ合ったこともあるといい、デイサービス利用者はもちろん、子育て世代も良い刺激を受けられる場所になっているようです。

設立の背景とは?

多世代がお互いにコミュニケーションをとりながら過ごす「深川えんみち」が生まれた背景には、施設に現在入っているデイサービスと学童保育、子育てひろばが、もともと同じビルの中で運営されていたことがありました。

デイサービスの運営者は、静かな空間になってしまいやすい高齢者施設の近くに子どもたちを預かる施設があることで、子どもの笑い声や泣き声が高齢者の刺激になっていると実感していたそう。そのため、ビルの老朽化で施設移転が決まった際、学童保育や子育てひろばと同居することを決めたのだといいます。

学童保育の運営者も、以前の場所から移転することで子どもや保護者に影響があることは理解しつつ、それ以上に子どもたちに濃い経験をさせられると、「深川えんみち」への入居を決定したそうです。

ともすると、安全性や近隣住民への配慮の観点により、地域社会から切り離された閉鎖空間の中で運営されることも多い福祉施設。それを各世代、そして地域に開かれた空間として作ったのは、子どもの育ちや高齢者のケアへのポジティブな効果を見込んでのことだったのです。

多世代が集うことで生まれたメリット

実際、オープンから1年以上が経ち、「深川えんみち」で生まれた交流は幅広い世代に良い影響をもたらしています。

例えば、高齢者から太平洋戦争時の経験談を聞いた小学生が、学校の授業や課題への理解をより一層深められた事例があるそう。また、子どもたちと手紙のやりとりをすることで高齢者がいきいきとしたり、高齢者同士のいさかいを見ることで子どもたちが「人間はみんな同じだ」と学ぶきっかけになったりもしているといいます。

また、異なる施設のスタッフ同士で助け合う文化も生まれており、多様な側面で相乗効果が生じていることがうかがえます。

海外から視察に訪れる人も

そんな「深川えんみち」には、最近、国内外から視察に人が訪れているといいます。福祉国家として知られるデンマークから学生が来訪したこともあるそうで、新たな福祉施設の形として、多くの人に学びと気づきを与えているようです。

近年、都市化や核家族化、デジタル化による人間関係の変容、少子高齢化の進行など、さまざまな理由により地域社会での人々の交流が希薄になった日本。かつては近隣の人から学べていた暮らしの知恵やコミュニケーションのあり方などが若い世代に受け継がれなくなり、さらには子育て世代や高齢者などの多くの人が孤立化リスクを抱えるようになりました。

そうした中で、「深川えんみち」の取り組みは、地域社会を再び開き、幅広い世代の交流を活発化するきっかけになるように感じます。地域を元気にするひとつの方法として、多世代が集う福祉施設を作るという選択をする地域が、今後増えていくことになるのかもしれません。

 

Text:Teruko Ichioka

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Teruko Ichioka

ライター・編集

フリーライター。好奇心の強さは誰にも負けない平成生まれ。得意領域もスタートアップ、ビジネス、アイドルと振れ幅が広い。

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