Teenage Realities

絵の中ではフラットに生きられるから。劣等感をもつ全ての人に「孤独じゃない」と伝えるために描く美大生【中山ミユ・19歳】

絵の中ではフラットに生きられるから。劣等感をもつ全ての人に「孤独じゃない」と伝えるために描く美大生【中山ミユ・19歳】

「気になる10代名鑑」1283人目は、中山ミユさん(19)。油絵や水彩画で、日常にあるものを子どものような視点で描いています。「寝るよりご飯を食べるより絵を描いていたい」と語るほど、描くことが生活の中心にあり続けてきたという中山さんに、活動の原点やそして描き続ける理由について話を聞きました。

中山ミユを知る5つの質問

Q1.いま、いちばん力をいれている活動は?

油絵や水彩画で、日常生活のなかで目に映るものを子供のような目線でポップに描いています。

そばかすを星にみたてて描いたり、口紅をマッキーにしたり、タバコをシャボン玉にしたりと、お題のものを『お題じゃないもの』に見立てて描くのが好きです。

具体的に何かを見てテーマを決めることはなくて、アイデアが突然降ってくる感覚です。なので、作品の刺激になる瞬間や出来事を日常的に探しています。

最近は、場所を借りた作品展示やSNSでの発信など、作品を発表する場や機会もつくるようにしています。なんとか人目に触れなければ、絵は始まらないとおもっていて。ひとりにでも多くの人に見てもらえるようにと、コンクールに作品を応募したり、大学の先生からの紹介などを積極的に受けたりするようにしています」

Q2.活動を始めたきっかけは?

物心がつく前から絵を描くことが好きで、気づけば15年ほど描き続けています。ただ、勉強や運動、人と関わることは全然してこなくて、ときに周りの人たちのほうが正しい生き方をしているように感じることもありました。それでも、絵を描くと褒めてもらえることが多くて。そんな劣等感と自信の繰り返しの中で、ずっと描き続けてきたんだと思います。

昔から、自分のことがあまり好きではありませんでした。自分は周囲の人よりも劣っているのではないか、どこかズレているのではないかと感じることが多くて。自分の性別も、男性・女性のどちらにも当てはまらないと認識しているからこそ、そうした分類に当てはまらない自分を、どこか受け入れきれなかったんです。

でも、絵を描くことだけは違いました。絵の中では、容姿や性別、年齢といったものにラベリングされることなく、すべてがフラットに存在できるような感覚があって。うまく言葉にできない自分の内側も、そのまま表現できる気がします。特別な瞬間があったというより、描き続けること自体がずっと自分を支えてくれている存在なんです」

Q3活動する中で、印象的だった出会いは?

大学に入ってから、制作に熱心な友人と出会えたことです。いままで、何かをつくることが好きな人と深く関わる機会がほとんどなかったので、絵について当たり前に話せること自体が新鮮で。お互いに意見を言い合いながら制作できる環境が、すごく心地いいなと思っています。

友人は、前提とか普通とかそういったものがないフラットな人たちです。それに、自分の話をちゃんと聞いてくれます。これまでは自分のことを人に話すことがほとんどなかったのですが、友人はどんな話も否定せずに興味を持って聞いてくれて。控えめだったり、ちょっと普通とズレていたりする感覚も、そのまま受け取ってくれたんです。

そのときに、『ああ、自分ってこのままでいいのかもしれない』って思えて。絵の中だけじゃなくて、現実でも少しずつ自分を出していいんだなって感じられるようになりました。昔よりも、人とちゃんとつながれている感覚があります」

Q4. 活動の中で、悩みがあれば教えてください。

制作に入ると、本当にそれ以外のことがどうでもよくなってしまうんです。人に誘われても断ってしまったり、課題が疎かになったり、サークルに行かなくなったりします。周りから人がいなくなっていくのではないかという不安は正直あって、ちょっと怖いなとも思っています。

でも、それでもやっぱり描いてしまうんです。自分にとっていちばん価値があると感じる時間が、絵を描いている時間で。気づいたら何時間も経っていて、寝ることとか、お腹が空くことさえいまじゃなくていいのにって思ってしまうくらいです。喋ることとか食べることよりも、描いているほうが自然なんです。

もちろん、絵をうまく描けなくて心が折れそうになることもあります。でも、そこでやめるっていう考えはまったくありません。描くことは自分の生活の基盤で、生きることとほとんど同じなんだと思います」

Q5. 将来の展望は?

将来は、油絵の作家として生きていきたいです。

正直、それだけで食べていくのが難しいこともわかっているんですけど、それでも絵だけを描いて生きていたいなと思っていて。個展を開いて、いろんな人に作品を見てもらって、ちゃんと絵を売って生活してみたいです。

絵を描いている時間ってどこか孤独なんですけど、自分の絵を見てくれる人がいたり、誰かに影響を与えられたと感じられたりすると、ちゃんと社会とつながっているんだなって思えて、少し安心するんです。

だから、自分と同じように孤独を感じる人に向けて、ちょっとだけ救いになるような絵を描きたいです。暗いだけじゃなくて、でも明るすぎもしない。その間にあるような感情を、見る人がそれぞれ自由に受け取れるように残しておきたくて。絵を通して、ひとりじゃないかもしれないって思ってもらえたら嬉しいです」

中山ミユのプロフィール

年齢:19歳
出身地:長野県長野市
所属:筑波大学芸術専門学群
趣味・特技:探しもの
大切にしている言葉:楽しければ無駄じゃない

中山ミユのSNS

Photo:Nanako Araie
Text:Rinna Koike

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