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マニュアルだけが防災教育じゃない。防災をきっかけに自分の判断軸で動ける若者を増やしたい【久保壮太郎・18歳】

マニュアルだけが防災教育じゃない。防災をきっかけに自分の判断軸で動ける若者を増やしたい【久保壮太郎・18歳】

「気になる10代名鑑」の1266人目は、久保壮太郎そうたろうさん(18)。中高生の防災意識を高める学生団体を運営し、2026年3月には内閣府との共催イベントを成功させました。防災教育から発展して、主体性ある若者を増やしたいと語る久保さんに、防災教育のあるべき姿や今後のヴィジョンについて聞いてみました。

久保壮太郎を知る5つの質問

Q1.いま、力を入れていることは?

中高生主体の防災団体『NSF PROJECTs』を運営しています。

能登半島地震がきっかけで立ち上がって以来、学校や街頭での募金運動を通じて、能登への支援を続けてきました。ぼくが代表になった昨年からは、支援からステップアップして、防災啓発や実践の機会も増やしてきていて。イベント開催や教材開発、地域の防災訓練への参加、SNSでの情報発信など、事前防災のための活動を全国規模で展開しています。

特に大きなイベントは、内閣府との共催で今年3月に実現した『全国生徒会防災サミット』です。全国の生徒会、政治家や専門家が集まり、各地での防災の実践事例を共有したり、災害対策・避難所運営についてのコンペやディスカッションをしました。「自分たちの学校では何ができるのか」を具体的にまとめるまでをサミット内でおこなうので、それぞれの学校や地域に提案を持ち帰り、各地で実装が進められるイベントとしました。

災害がいざ起きたら、行政だけでは対応しきれません。地域住民、とりわけぼくたち若い世代の主体的な行動によって、被害を減らすことができるんです。知識インプットが中心の防災教育を超えて、いざという時に大切な存在を守る一人ひとりの行動を生み出すために、ぼくたちの活動があると思っています」

Q2.活動を始めたきっかけは?

「小学生のころからボーイスカウトの活動をしていて、防災はずっと身近な存在でした。ただ、ボーイスカウトとして地域社会で防災を呼び掛けても、なんとなく自分ごとにできていない感覚がずっとあって……。

転機になったのは能登半島地震です。テレビのライブ中継で、建物が瓦解していく様子を見て、呆気に取られてしまって。一方で、かつてのぼくと同じように、こんな大きな災害が起きても『遠い場所で起きた出来事』として受け止める人もいて、『自分の地域で起きたらどうするか』までなかなか想像が及ばないことに違和感を持ったんです。

従来の学校の避難訓練は、『とりあえず外に出る』といったようにマニュアルができてしまって、行動が目的化しているような気がします。でも本来は、校舎の構造や災害の状況によって、最適な行動は全く違います。柔軟な対応が必要なはずが、考える余白がないまま終わってしまう防災教育に疑問を感じて、若者の発想力を活かして、防災を考えられる場をつくろうと思い立ちました」

Q3.活動で大切にしていることは?

正直なところ、防災は『面白いからやりたい!』と思われるテーマではないし、日常的に主体的に取り組まれることもそこまで多くない気がしていて。だからこそ、防災を特別なものにしないことを大切にしています。

イベントも、自然と防災の要素を組み込むことで、参加者が意識しないうちに備えができているような設計を心がけていて。そんな感じで、いずれ生活の中に防災が自然に入り込むような状態をつくっていければ、意識して防災に取り組む空気感自体が変わっていくんじゃないかなって。

例えばですが、ライブ会場で避難訓練があったりしたら面白い(笑)。その場でみんなで同じ方向を向いて考えたり、選択したりする体験を通して、自分なりの判断軸を見つけていけるものをつくりたいです」

Q4.活動を通して、実現したいビジョンは?

「一人ひとりが主体的に考え、その意思が社会に反映されていく社会をつくりたいです。

いまの日本社会は間接民主制が前提になっていますが、ぼくはもっと参加型・熟議的な社会をイメージしていて。個人が考えや意見を持っていて、その価値が高まっていけばいいなと思います。そんな未来のために、自分の考えを持ち、少しでも表明したり誰かと話し合えたりできる環境をNSF PROJECTsも提供していきたくって。

そう考えると、防災というテーマは自分の考えを持ち、誰かに伝えるという実践のきっかけにすぎないものなのかもしれません。本質的に大事なのは、防災そのものではなく、自分なりの判断軸を持ち、状況に応じて考え、他者とすり合わせていく思考の枠組みなんだと思うんです。

防災を入り口として、最終的にはあらゆる社会課題に対して、一人ひとりが主体的に関わり、自分の意思を持てる社会になったら嬉しいです」

Q5.将来の展望は?

明確に将来を決めているわけではありませんが、若者がやりたいと思ったことに対して、全力で手を差し伸べられる存在でありたいです。

これまでの活動では、さまざまな省庁や関係者の人たちに支えられてきて。挑戦しようとする若者に大人や社会の力が加わると、できることの可能性が大きく広がると気づきました。だから次は、自分がその側に立ち、誰かの挑戦を支えられるような役割を担えたらいいですね。

また、近日中に団体のNPO法人化をする予定で。組織内の機能や全国各地から参加しやすい仕組みを整え、メンバーを1000人、1万人と広げていきたいです。

日本では今後防災庁が設置されて、防災体制の強化や防災教育の重要性がさらに高まっていきます。そうした状況下で、市民一人ひとりの声やニーズに応えながら、実践の場を引き続き提供し続けます」

久保壮太郎のプロフィール

年齢:18歳
出身地:東京都文京区
所属:NSF PROJECTs 5期代表、NPO法人未来会議
趣味:洋楽を聴くこと、キャンプ
特技:いろいろな人の意見を聞くこと
大切にしている言葉:Think big. We will go further.

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Photo:Nanako Araie
Text:Taishi Murakami

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Taishi Murakami

ライター

ライター。2025年4月にSteenzへジョイン。慶應義塾大学2年。大学生活の傍ら「気になる10代名鑑」での記事制作を担当。スタートアップ、パブリックアフェアーズ、終活やケア領域まで多様なテーマに跨って活躍している。

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